- HOME
- 企業情報
- ニュースリリース一覧
- ニュースリリース2010
“がんペプチドワクチン療法”の効果を
「シイタケ菌糸体」が増強させることを初めて確認
―2010年12月9日 第23回日本バイオセラピィ学会(大阪市)にて発表―
小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林 豊)は、島根大学医学部(教授:原田守 免疫学)と共同で研究を行い、シイタケ菌糸体が、「がんペプチドワクチン療法」の効果を増強させることをマウスで確認しました。この研究成果について、2010年12月9日に大阪市で開催された日本バイオセラピィ学会のシンポジウム1「がんペプチドワクチン療法の進歩と課題」において発表いたしました。
【研究の背景】
弊社は、シイタケ菌糸体が「α-グルカン」「アラビノキシラン」など特徴的な成分を多く含有していることに着目し、研究を進めて参りました。
現在までに、シイタケ菌糸体が「がん患者の低下した免疫力を改善する作用」「制御性T細胞*を減少させる作用」を持つことを確認しています。
この度、最新のがん治療法として注目されている「がんペプチドワクチン療法」において、「制御性T細胞を減少させる作用」を持つシイタケ菌糸体を併用することが、有用ではないかと考え、研究活動を進めて参りました。
その結果、マウスでの試験においてシイタケ菌糸体が、「がんペプチドワクチン療法」の働きを増強させる作用があることを初めて確認しました。
*制御性T細胞 : 免疫細胞をブロックしてがん細胞を守る細胞(=がんのバリア機能)
シイタケ菌糸体は肉眼では、白い糸状にみえます。菌糸体が栄養を溜め込み成長がピークに達すると、子実体(私たちが食用にしている笠の部分)を作り出す。
【がんペプチドワクチン療法とは】
現在、「がんペプチドワクチン療法」は、手術・抗がん剤・放射線治療に次ぐ、新たながんの治療法として注目を集めており、2010年度より、国から「高度医療」にも認定されました。「がんペプチドワクチン療法」は、無害ながん細胞の小さな断片(ペプチド)をワクチンとして投与して、「がん細胞を攻撃する免疫細胞(CTL細胞)」を増加させる最新の治療法で、副作用が少ないのも特徴です。
しかし、免疫細胞をブロックする「制御性T細胞」が多いと、「がんペプチドワクチン療法」の効果が十分でない場合があると考えられており、近年「制御性T細胞」を減少させる方法の開発が活発に行われています。

【研究詳細とその結果・考察】
がん細胞(メラノーマ・皮膚がん細胞)を移植したモデルマウスを作成(足裏にがん細胞を接種)し、作成翌日より、21日間、餌に2.0%シイタケ菌糸体を配合して与えました。その間、週1回の頻度で3回がんペプチドワクチンを投与しました。モデルマウスを作成21日目に解剖し、腫瘍重量、脾臓*細胞中の制御性T細胞の割合を測定しました。
その結果、下記2点を確認することができました。
1)シイタケ菌糸体併用マウスでは、「がんペプチドワクチン療法」単独よりも腫瘍の増殖が抑えられた。(図1)
2)シイタケ菌糸体併用マウスでは、免疫細胞をブロックする制御性T細胞の割合の減少が見られた。(図2)
*脾臓 : 胃の下にある免疫細胞や赤血球を貯蔵する機能を持つ臓器。全身の免疫状況が反映されやすい。

未治療:がんペプチドワクチン療法もシイタケ菌糸体投与もしなかったマウス
療法単独:がんペプチドワクチン療法単独処置マウス
併用効果:がんペプチドワクチン療法処置とシイタケ菌糸体を与えたマウス
P<0.05:統計学上、危険率5%未満で、有意差あり
この結果より、シイタケ菌糸体に、「がんペプチドワクチン療法」の効果を増強させる作用があることを、初めて確認することができました。これにより、シイタケ菌糸体は、食品成分として「がんペプチドワクチン療法」の課題である「制御性T細胞による治療効果の阻害」を解決することで、同療法の治療効果を高める作用が期待できることがわかりました。
弊社は今後とも、食品成分である「シイタケ菌糸体」の研究をさらに進めていくとともに、生体における有用性の研究も合わせて進め、その成果を社会に還元してまいります。




