歯科医療関係者向け情報

ゴムタイプ歯間ブラシの
有用性

監修:高井歯科クリニック
副院長 高井靖子先生
歯学博士
日本歯周病学会 歯周病専門医

※小林製薬から高井先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。

ゴムタイプの歯間ブラシは、金属ワイヤーを使用したタイプの歯間ブラシと比べてプラークの除去効果が劣る、という声をよく耳にします。しかし、ゴムタイプの歯間ブラシの有用性については論文報告や学会発表がされていますので、その内容についてご紹介します。

ゴムタイプの歯間ブラシについては、複数の研究を解析するシステマティックレビューにおいて(出典1)、計6件の研究論文を元に、ゴムタイプの歯間ブラシの有用性が検証されています。ワイヤータイプの歯間ブラシの方がゴムタイプの歯間ブラシよりも歯肉炎症スコアをより軽減させたという1件の報告があるものの、プラーク除去や歯肉出血への有効性については、ワイヤータイプと比べて差がないことが示されています。そのうえで、ゴムタイプの歯間ブラシを使用した方が歯肉への傷が少ないことや、使用感において患者に好まれることが報告されています。以上から、本システマティックレビューでは文献情報を元に、ゴムタイプの歯間ブラシは歯肉炎患者において歯肉炎症やプラーク除去に有用であること、安全性や嗜好性が支持されると結論づけられています。

出典1:Fridus van der Weijden, et al., The efficacy of a rubber bristles interdental cleaner on parameters of oral soft tissue health‐a systematic review‐, Int J Dent Hyg., 2022, 20(1), 26–39

また本邦では、ゴムタイプの歯間ブラシに関する臨床評価が学会にて報告されています(出典2)。各種歯間ブラシを約1ヶ月間使用した後のプロービングデプス(PD)およびプラークスコアの変化を比較した研究において、ゴムタイプの歯間ブラシでもワイヤータイプと同等に臨床データの有意な改善が認められました。これにより、ゴムタイプであっても歯周ポケットの深さやプラークの除去に対して十分な効果が期待できることが示されています。

出典2:プラスチック芯とエラストマー毛でできた歯間ブラシの臨床評価第119回日本補綴歯科学術大会(2010年6月)ポスター発表(大嵩医科大学高齢者歯科学講座 柿本ら)


DATA

発表データ

プロービングデプス(PD)の変化 プラークスコアの変化

【試験方法】
対象:協力を得た9つの歯科医院来院患者の中で、歯間ブラシの使用が適切と考えられ、かつ本研究に賛同を得た48人(男性25人、女性23人、平均年齢49.1歳)
被験品:ゴムタイプ歯間ブラシ(I字型、小林製薬製)、ワイヤータイプ歯間ブラシ(I字型、某社製)
調査方法:歯科医師もしくは歯科衛生士が歯周精密検査を行った後、歯周基本治療に加え歯間ブラシの使用法を指導し、指導後にサンプルと調査票を渡した。患者自身で左右どちらの側をゴムタイプ歯間ブラシで清掃するかを決め、反対側をワイヤータイプ歯間ブラシで自宅において清掃するように指示した。そして、再来院時に2回目の歯周精密検査を行った。尚、歯周精密検査は患者が左右どちらの側でどの歯間ブラシを使用したかを知らされない状態で行い、その後に患者から調査票を回収した。
倫理的配慮:本研究は大阪歯科大学「医の倫理委員会」の承認(大歯医倫 080505号)を得て行った。