歯科医療関係者向け情報
※小林製薬から杉原先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
根面う蝕とは、歯肉退縮により露出した歯根面(セメント質や象牙質)に生じる、デンタルプラーク(細菌)の酸産生による脱灰病変です。(写真参照)
以下の図に示すように歯肉退縮をおこす歯の数は加齢により急激に増加し、歯肉退縮歯数の増加に伴い根面う蝕の発病リスクも高くなっていくことが分かっています。
その他の根面う蝕発症リスクとしては根面う蝕の既往、デンタルプラークの付着量、唾液の分泌量などがあげられます。
根面う蝕の予防については、歯科医院でのプロフェッショナルケアと家庭でのセルフケアの両方を継続的に行うことが大切です。セルフケアでは、特に、歯ブラシや歯間清掃用具によるプラークコントロールが重要になります。歯間部清掃を行うことで根面のプラークを除去できるので、歯磨剤中のフッ化物が行き届きやすくなると考えられます。歯磨剤には高濃度のフッ化物配合の歯磨剤をおすすめします。
また、歯肉が退縮し根面が露出した隣接面の清掃にはデンタルフロスよりも歯間ブラシが適しています。歯間ブラシは歯間スペースの大きさに合ったものを選択することも重要ですので、軽い力で挿入できる程度の大きさのものを選択してください。根面はエナメル質がなく、象牙質でできているため、使用する際に過剰な力がかかると根面が削れてしまうことがあります。そのため、やわらかいゴムでできていて根面をやさしくケアできるゴムタイプの歯間ブラシを選択するのも良いでしょう。
参考文献・出典
杉原直樹、高柳篤史 監修
「サイエンス」×「超高齢社会」で紐解く根面う蝕の臨床戦略 クインテッセンス出版、2018
グラフは出典を参考に作成。