ニュースリリース

<< 一覧に戻る

印刷
2011年10月

- News Letter -
オーラルケア市場に活きる小林製薬のマーケティング
〜口内に広がる未充足ニーズ〜

オーラルケアは『健康投資』

歯・口には、食べる・話すという基本機能があります。食べて栄養として吸収するためには、丈夫な歯で食物を細かく咬み、飲み込むことが必要です。これらの生理的な動作以外にも、大きな力を使う際には奥歯をかみ締める必要がありますし、コミュニケーション上では、話す際の美しい発音や表情にも関わります。また、最近では、歯周病など歯を失う病気が認知症や動脈硬化、糖尿病などの生活習慣病との関連性もうたわれていますから、オーラルケアは、体全体をも守る「健康投資」と言っても過言ではありません。

ますます広がるオーラルケアへのニーズ

厚生労働省や日本歯科医師会が推進する8020運動などの効果もあり、現在では、生活者の歯の健康意識が向上し、店頭には、たくさんのオーラルケア関連製品が溢れています。しかし、それ以上に、就労形態や食事、睡眠などの生活スタイルがさまざまに変化し、歯と口内に関する悩みが尽きることはありません。生活変化・市場変化に伴って、オーラルケアのニーズは大きく2つの方向で進化を続けています。

進むパーソナル化:歯槽膿漏用、ホワイトニング用など使うものは別々ケア範囲の広がり・工程の複雑化:糸ようじなどアイテムも増加

1.進むパーソナル化

家族みんなが同じ歯磨き粉を使う一律のケアから、それぞれの年代・性別・症状に合わせた「個人別」のケアが求められています。歯肉炎や口臭、歯茎の老化、ホワイトニング・・・歯の健康から美容まで悩みは細分化し、その原因の違いや改善方法を比べ、自分に合うケアを捜し求めているのです。

2.ケア範囲の広がり・工程の複雑化

歯の表面のブラッシングから、歯の間や歯茎の溝ケア、さらに舌苔や口内全体のケアなど、一口にオーラルケアと言っても、その範囲や工程は、ますます広がっています。「健康日本21」でも、糸ようじのような歯間清掃具の使用率(40、50歳)を50%以上にする目標が立てられ、実際に歯間清掃具の使用率は、策定時から現在にかけて40歳19.3%⇒44.6%、50歳で17.8%⇒45.7%と大きく上昇しています。

* 厚生労働省が国民の健康づくりに対する課題に対して目標などを提示し、国民の健康づくりに関する意識の向上及び取組を促す運動

歯間部清掃用器具の使用の増加:使用する人の割合(H23厚労省「第4回健康日本21評価作業チーム資料」)

成熟市場とも言われるオーラルケア分野ですが、小林製薬は、この2方向の進化によって、「オーラルケア」の潜在ニーズ・未充足ニーズは、まだまだ多く、新たな需要を創造することができると考えています。生活者ニーズを掘り起こし、市場を創造し続けてきた小林製薬のマーケティング力が、最も活かせる分野だと言えます。

小林製薬のオーラルケア市場創造ストーリー

では、小林製薬ではどのようにしてオーラルケアの未充足ニーズを探求し、市場を開拓・育成し続けているのか、その一端をご紹介します。

1) 小林製薬のマーケティングの鍵は、「飽くなきニーズ探求」

小林製薬のニーズ探求活動は、製品開発の最初の段階だけではありません。「生活者のニーズは絶えず進化する」ことを前提に、製品アイデアを生み出し、カタチにし、育てていく、全ての過程でニーズを追い続けます。実際にご家庭に伺ってお話を聞かせていただく「家庭訪問」や生活者に試作品・製品を使用していただく「ユーステスト」など、ニーズを掘り起こす手法はさまざまですが、大切なのは、そこから真のニーズを見つけ出す「視点」。そして、仮説を立てては検証し、検証過程で生活者と向き合うことで、また新しい仮説を立て、何度も何度も確認しながら育てていく「粘り強さ」。これが、小林製薬のマーケティングの特徴なのです。

■Case 1 「糸ようじ」 1987年発売「やわらか歯間ブラシ」 2004年発売

糸ようじ

“デンタルフロス”と“つまようじ”の融合「糸ようじ」

1980年代、欧米で主流の歯間清掃具“デンタルフロス”は、日本でも歯科医の推奨などがありましたが、なかなか定着しませんでした。小林製薬は、日本では伝統的に「つまようじ」を使っていることに着目。そこで日本の「つまようじ」と海外の“デンタルフロスを上手く融合させた、新しい歯間清掃の開発を開始しました。試作とユーステストを何度もくり返した結果、かき取り力と切れにくさを両立した「柄が付いた」現在の形に行き着きました。生活者の声と開発の熱意で生まれた「糸ようじ」は大ヒット。日本に新たな歯間清掃具市場を切り拓きました。

飽和状態の中にも、新たなニーズは必ずある。「やわらか歯間ブラシ」

歯間清掃具市場が拡大するなか、生活者調査を重ねると歯間ブラシに対する「歯ぐきを傷つけたくない」というニーズを発見。その解決策としてゴム製の「やわらか歯間ブラシ」を発売しました。現在では歯間清掃具ブランドトータルで売上23億円にまで成長しています。

≪拡大傾向にある歯間清掃具市場≫

拡大傾向にある歯間清掃具市場

望月 真理子

<ブランドマネージャーからひと言>

望月 真理子 (糸ようじ・やわらか歯間ブラシ担当)

ここ1〜2年、「生活者をしっかり見よう」という取り組みがさらに積極化しています。アイデア出しの段階から生活者の声を想定したシートを作るなど、何に困っている、どんな人に向けた製品かを明確に意識し、チームで共有して、開発しています。検証の過程で自分の仮説に確信が持てた瞬間が一番うれしいです。

■Case 2 「タフデント」 1996年発売

タフデント

“洗浄”から“除菌”へ。入れ歯洗浄剤の隠れたニーズ。 「タフデント」

これまでの入れ歯洗浄剤は、他社も含め「付着した“汚れ“をいかに除去できるか」という、洗浄力が製品戦略の要でした。果たしてニーズは洗浄力だけなのか? 他に隠されたニーズはないのか?
入れ歯洗浄を恥ずかしがる生活者も多い中、丁寧に対話することで、「タフデント」の潜在ニーズを探ろうとしていた時、ある生活者がこんな発言をされました。「殺菌・消毒のために使っています。」洗浄剤で落としたいのは「汚れ」ではなく「菌」だと言うのです。この声をきっかけに、その後もヒアリングを重ね、「タフデント」のコンセプトを「洗浄」から「除菌」へ大胆にリニューアルしました。その結果、生活者に受け入れられ、1995年に13億円だった売上は、現在17億円と拡大を続けています。
このヒアリング活動で足を運んだご家庭は50件以上。半年以上をかけて、全国津々浦々のご家庭を訪問した記録は現在でも小林製薬の大切な資産です。

鳥原 宏之

<ブランドマネージャーからひと言>

鳥原 宏之 (タフデント担当)

この事例からも思うのですが、 「現場主義」「答えはすべて生活者の心の中にある」ということが、小林のDNAではないかと思います。これから、団塊世代の多くが60代を迎え、入れ歯利用者も増加していく中、小林製薬がどんな価値を提供していけるか?経営理念に掲げている通り、生活者の声に耳を澄ませ、製品を通じて、入れ歯をお使いの方々に素晴らしい「快」を提供し続けていきたいと思います。

■Case 3 「ブレスケア」シリーズ 1997年発売

ブレスケア

息へのニーズを顕在化し、その効果感を明確に伝えて成功。「ブレスケア」

“息が気になる”時の対処法として歯みがきやガム、スプレーなどがありましたが、「飲んでおなかの中から息をリフレッシュさせる」という新しいコンセプトで開発したのが「ブレスケア」です。
今までの対処法では生活者が満足していなかった「ニンニク料理・アルコールの後に」という“息が気になる”時の使用シーンに絞ったことに加え、“おなかの中から”リフレッシュする効果感を明確に伝えることに成功。生活者に受け入れられることができました。
その後も、生活者の“息”に対するニーズを捉え続け、“息が気になる”様々な使用シーンに対応した「噛むブレスケア」や「スピードブレスケア」を発売していきました。「ブレスケア」シリーズとして製品が拡がる中、既存品より好評価を得られるよう、厳しくテストを行い、製品開発を進めています。
このこだわりがあるからこそ、お客さまが納得できる効果感のあるブランドとして信頼をいただき、発売から14年で、56億円にまで成長しています。

井上 秀敏

<ブランドマネージャーからひと言>

井上 秀敏 (ブレスケア担当)

生活者インタビューでは「ブレスケアがあるから、助かっている。」「ブレスケアを持っている人は、気遣いができる人だと思う」といった嬉しいお言葉をいただいています。「ニンニク料理・アルコールの後に」「おなかの中から息リフレッシュ」する製品としてブレスケアは生まれました。今後は使用シーンの拡大を目指し、「息をきれいにする」代表製品として、皆様に愛されるブランドに育てていきたいと思っています。

■Case 4 「生葉」2002年発売

生葉

生葉が愛される理由。答えは、ひきしめ実感。「生葉」

歯磨き粉の中では高価格帯に分類される「生葉」は、「天然由来」と「歯槽膿漏対策」という明確なコンセプトと、“熟れ過ぎたトマト”を使った問題提起型のCMなどにより、ゆっくりとしかし着実に評価されていきました。売上が軌道に乗り始め、次の新製品を投入する際に徹底したのが、既存ユーザーへのヒアリング。その中で何度も出てきた「歯ぐきをより強く“ひきしめたい”」という生活者の声から「ひきしめ生葉」は誕生しました。
開発にあたって最も重視したのは、ひきしめ実感。「歯ぐきが“ひきしまる”」使用感・効果感でニーズにしっかり答えた「ひきしめ生葉」は、現在、「生葉」と売上を競うほどに成長しました。「歯医者さんに歯ぐきを褒められた」「これでないとだめ」そんな効果を実感する消費者の声に支えられて、「生葉」は昨年度、ブランドトータルで34億円を売り上げるブランドに成長しています。

福田 覚

<ブランドマネージャーからひと言>

福田 覚 (生葉・トマリナ担当)

今秋、「生葉」は出血予防成分配合の新処方へリニューアル。歯槽膿漏の方の気になる症状「出血」に対する新たな付加価値を付けることができました。小林製薬は生活者ニーズを捉え、しっかりお答えします。歯ぐき関連のプロブレムは全て、小林製薬の製品で解決できるようにすることが、これからの目標です。

これからも新たなニーズの掘り起こし・育成を目指して

「小林製薬のマーケティング」― 製品を生み出し、育てる過程での飽くなきニーズ探究。それこそが、新たなブランド新たな市場開拓、そして、ひいては、生活者にとっての必需品ブランドとなるために必要なことだと考えています。
この秋、「歯ぐき下がり」という新しいニーズに対応した新製品「トマリナ」が誕生しました。歯ぐきのニーズに着目し、新たな視点から歯と歯茎の健康に貢献していきます。
このように、小林製薬のオーラルケアへの挑戦はまだまだ続きます。これからも、生活者おひとりお一人の暮らしを見つめ、声に耳を傾け、オーラルケアの“あったらいいな”をカタチにすることで、QOLの起点とも言える口内の健康にお役に立ち続けたいと願っています。

トマリナ

“トマリナ”開発
〜生活者ニーズとの接点を探し続けた5年間

「トマリナ」は岡山大学との共同研究により生まれた製品です。成分の1つである“ピクノジェノール”は、抗酸化剤成分として化粧品などにも使用されているため、「美容」をテーマにしたこともありますが、わかりづらく、製品化にまで至りませんでした。生活者の歯ぐきに対するニーズとの接点を探る日々が続き、そんな中で、「年をとって歯ぐきが下がってきた」ことを気にする方が多くいらっしゃることを発見。
そこで、「歯ぐき下がりを予防する」というコンセプトで生活者へアプローチする製品へ行き着きました。時間にして5年。
生活者のニーズに合ったコンセプトになるまで時間はかかりましたが、その分きっとお役に立てると信じています。

以上