ニュースリリース

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2016年8月19日

「ヒト型セラミド1,2,3」の肌への有効性を新発見
セラミド産生促進効果を確認
―2016年8月6日・7日 第34回日本美容皮膚科学会総会・学術大会にて発表―

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林 章浩)は、東京工科大学応用生物学部(前田憲寿教授)との共同研究で、ヒト型セラミド1,2,3混合物が、肌に存在する保湿成分・セラミドを合成する遺伝子発現に作用し、セラミド産生促進効果を発揮することを発見いたしました。本研究成果は、2016年8月6日・7日に京王プラザホテル東京で開催された「第34回日本美容皮膚科学会総会・学術大会」において発表いたしました。

研究背景

人の皮膚は、外部からの刺激や、細菌の感染から体を守るとともに、体の内側からの水分蒸散を防ぐバリア膜として重要な役割を担っています。バリア膜としての機能のほとんどを表皮最外層である角質層が担っており、その角質層は角質細胞とその間隙を埋める角質細胞間脂質で構成されています。セラミドは角質細胞間脂質の主成分であり、バリア機能に非常に重要な役割を果たしています。当社は、化粧品の保湿成分として知られているヒト型セラミド1,2,3混合物が優れた水分蒸散抑制機能をもつことを2014年に発表いたしました
今回、ヒト型セラミド1,2,3混合物が、新たな機能を持つ可能性について検討いたしました。

*第113回日本皮膚科学会総会にて発表済。

研究結果 概要

ヒト型セラミド1,2,3混合物について、今回下記の結果が明らかになりました。
ヒト型セラミド1,2,3混合物は

1.セラミド合成に関与する遺伝子の発現を促進する

2.セラミド合成を促進する

3.バリア機能を改善する

研究結果

1.セラミド合成に関与する遺伝子の発現を促進する

2.セラミド合成を促進する

今回、セラミド合成に関与する遺伝子のうち、de novo経路におけるSPT(セリンパルミトイル転移酵素)、CERS(セラミド合成酵素)、ELOVL(脂肪酸伸長酵素)と、Salvage経路におけるβGCase(β-グルコセレブロシダーゼ)、SMase(スフィンゴミエリナーゼ)の遺伝子発現への影響を調べました。また、βGCase、SMaseの発現に影響を与えると考えられている脂質代謝の調節因子、PPAR-αの遺伝子発現および、セラミド量の測定を行い、実際にセラミドが増えているかどうかについて調査いたしました。(図1)

セラミド生合成経路
図1 セラミド生合成経路

角層バリア機能に重要なセラミドの生合成には2つの経路が存在する(de novo経路、Salvage経路)。de novo経路では、パルミトイルCoAとL-セリンから3-ケトスフィンガニンを経て精製されたスフィンゴイド塩基、ジヒドロスフィンゴシンと、生体内でアシル基が伸長された極長鎖脂肪酸や超長鎖脂肪酸が結合し、ジヒドロセラミドを経てセラミドが合成される(セラミド合成酵素CERS1〜6)。
合成されたセラミドを生体内でプールするために、グルコースやホスフォリルコリンが付加され、グルコシルセラミドやスフィンゴミエリンとして貯留される。Salvage経路では、グルコシルセラミドやスフィンゴミエリンからセラミドが再合成される。

その結果、下記の点が明らかになりました。

ヒト型セラミド1,2,3は、

ELOVL1, ELOVL3, CERS3, CERS4, PPAR-α, βGCaseの遺伝子発現を高める(図2)

ELOVL6, CERS2, SPT, SMaseの遺伝子発現には影響しない(図3)

セラミド1, 2, 4を増加させる(図4)

セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の増加
図2 セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の増加

試験方法:
三次元培養皮膚モデルに、ヒト型セラミド1,2,3を添加し、3日間培養した後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて遺伝子発現量を調査した。ELOVL1, ELOVL3, CERS3, CERS4, PPAR-α, βGCaseの遺伝子発現を高めることを確認した。

セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の変化
図3 セラミド合成関連酵素遺伝子の発現量の変化

試験方法:
三次元培養皮膚モデルに、ヒト型セラミド1,2,3を添加し、3日間培養した後RNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて遺伝子発現量を調査した。ELOVL6, CERS2, SPT, SMaseの遺伝子発現には影響を与えないことを確認した。

セラミド量の変化
図4 セラミド量の変化

試験方法:
三次元培養皮膚モデルに、ヒト型セラミド1,2,3混合物を添加し、3日間培養した後、脂質を抽出し、TLCプレートに展開後、3%硫酸銅(II)-15%リン酸溶液にて発色させた。画像処理ソフトでコレステロールに対するセラミドのスポットの濃さを計測し、細胞あたりのセラミド量を比較。セラミド1,2,4の増加を確認した。

セラミド量の増加 蛍光抗体染色
図5 セラミド量の増加 蛍光抗体染色

試験方法:
三次元培養皮膚モデルに、ヒト型セラミド1,2,3を添加し、5日間培養した後、凍結切片を作成。蛍光ラベルした抗セラミド抗体にて、蛍光抗体染色を行い蛍光顕微鏡で観察した。顆粒層でのセラミド量の増加を確認した。

3.バリア機能を改善する

ヒト型セラミド1,2,3混合物のバリア機能への効果を検証するため、ヒト表皮モデルを用いて角層水分蒸散量(TEWL)の抑制効果を調べました。その結果、ヒト型セラミド1,2,3混合物にTEWLを抑制する効果が認められました。(図6)

TEWLの抑制効果
図6 TEWLの抑制効果

試験方法:
三次元培養皮膚モデルに、ヒト型セラミド1,2,3を添加し、3日間培養した後、Tewameter(Courage+Khazaka)でTEWLを測定した。TEWL抑制効果を認めた。

これらの結果から、ヒト型セラミド1,2,3混合物に肌のセラミド産生を促進する効果があることが明らかとなり、バリア機能を改善する可能性があることが示唆されました。

以上