ニュースリリース

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2016年10月3日

熱帯地方に生息する樹木「サラシア」
白米を食べた後の血糖値上昇抑制効果を確認
―2016年9月24日 日本生薬学会第63回年会(富山市)にて発表―

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、近畿大学薬学部(村岡修教授)との共同研究で、「糖の吸収をおだやかにする」特定保健用食品素材でもある「サラシア」において、ご飯やパンなどの炭水化物摂取量が多い日本人の日常食生活を想定した試験(ヒト・動物)により、食後に上昇する血糖値に対する強い抑制効果を見出しました

※本研究成果は2016年9月24日に日本生薬学会第63回年会(富山市)にて発表いたしました。

研究背景

近年、糖質制限食やベジファーストなどの、食事から摂取する糖質と食後血糖値の関係に着目した健康法が注目されています。その背景には生活者の健康意識の上昇があります。糖質を多く含む高カロリーの食事や運動不足などの生活習慣により、血糖コントロールが悪化して食後の血糖値が上昇しやすくなると、血管に負担がかかり、糖尿病のみならず動脈硬化や心筋梗塞などの血管障害のリスクも高まるとされており、日常の食事などに注意を向ける人が増えています。

弊社では、この食後血糖値の上昇リスクに着目し、長年研究を行ってきた熱帯地方に生息する樹木「サラシア」について、ご飯やパンなどの日本人が主食として摂取しがちな糖質(でんぷん)を多く含む食品を実際に用いて試験(ヒト・動物)を行い、食後血糖値とインスリン値の上昇に対する効果を評価しました。

サラシア

研究結果の概要

サラシアに下記の効果があることが明らかとなりました。

1.米飯・パン等に含まれるでんぷんの消化にかかわる酵素を阻害する。
その主要な有効成分はネオコタラノールである。

2.米飯・パン等を投与したラットの血糖値上昇を抑制する。

3.米飯を摂取したヒトの血糖値上昇を抑制し、なかでも血糖値が上昇しやすいヒトではその効果がより顕著である。

研究結果

1.サラシアおよびネオコタラノールの糖質消化酵素阻害作用

麦芽糖(でんぷんの消化過程産物)および消化酵素(ラット小腸組織を粉末化したもの)に、サラシアエキスまたはネオコタラノールをそれぞれ添加して水溶液中で反応させ、酵素による麦芽糖の消化に対する阻害率を求めた。結果、サラシアエキスに濃度依存的な阻害活性が認められた。またその有効成分として見出されたネオコタラノール単独でも強い阻害活性が認められた。

サラシアエキスの阻害活性 サラシアエキスの阻害活性

2.糖質として米飯・パンを投与したラットでの血糖値上昇抑制作用

ラット(SD、雄性、6週齢)に、米飯もしくは食パンをすりつぶして水に懸濁したものとサラシアエキスを同時に経口投与し、経時的に採血して血糖値を測定した。結果、米飯や食パンの投与により上昇する血糖値に対して、サラシア投与による上昇抑制効果を認めた。

米飯投与の場合 食パン投与の場合

3.米飯を摂取したヒトでの血糖値上昇抑制作用

空腹時血糖値が100〜125mg/dLの正常高値または糖尿病境界型の被験者(32名)を対象に、プラセボ※1またはサラシアエキス配合食品の摂取に続いて米飯を摂取させ、経時的に採血して血糖値とインスリン値を測定した。結果、米飯による食後血糖値とインスリン値の上昇が、プラセボと比較してサラシア摂取時に有意に抑制された。またその効果は、食後に血糖値が上がりやすい被験者※2(14名:下図)での層別解析おいてより顕著であった。

※1:サラシアエキスを配合せず、それを判別できないように着色した食品
※2:日本糖尿病学会による境界型の予備診断基準である血糖値1時間値が180mg/dL以上の者

食後に血糖値が上がりやすい被験者(14名)での結果

*:p<0.05、**:p<0.01でプラセボに対して有意差あり

用語解説

○サラシア
東南アジアや南アジア一帯に広く分布しているサラシア属(Salacia)の植物で、その幹や根の抽出物は伝統的に地域の住民により糖尿病の予防や治療に用いられています。
○ネオコタラノール
サラシアに多く含まれる成分で、でんぷんなどの糖質を消化する酵素に対する強い阻害作用があります。

ネオコタラノールの構造式

○食後血糖値
食事から摂取した糖質により上昇する血糖値のことです。急激な食後血糖値の上昇は血管を傷害し、これが繰り返されることで動脈硬化や心筋梗塞などの血管障害のリスクが高まるとされています。

以上