頭痛がひどい、目の奥が痛い、虫歯でもないのに歯が痛む……。こうした顔の奥に広がるつらい痛みは、副鼻腔炎(ちくのう症)でよく見られる症状です。副鼻腔炎は顔の広い範囲に炎症を起こすため、場所ごとに特徴のある痛みを感じることがあります。痛みの原因や見分け方、セルフケアの方法について、耳鼻咽喉科専門医の長友孝文先生にうかがいました。
<長友孝文先生>
池袋ながとも耳鼻咽喉科 院長
浜松医科大学卒業後、自治医科大学附属病院耳鼻咽喉科に入局。東京大学で4年間のがん研究、自治医科大学附属病院で病棟医長・外来医長を経て、2022年に池袋ながとも耳鼻咽喉科を開院。大学病院レベルの検査機器を取り揃え、アレルギー疾患や副鼻腔炎からがん検査まで、幅広い治療を行う。患者さん一人ひとりに寄り添った丁寧な診療を心がけ、近隣だけでなく遠方からの患者さんからの信頼も厚い。
池袋ながとも耳鼻咽喉クリニックホームページ※弊社から長友先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。
副鼻腔炎(ちくのう症)で
起こる痛みとは?
副鼻腔炎の患者さんがよく訴えるのは、「目の奥の痛み」「額や眉間の痛み」「歯の痛み」「頭や顔の奥の重い痛み」です。痛みが生じるのは、炎症によって鼻腔と副鼻腔の間の空気の通り道がふさがれ、「副鼻腔」に炎症が起きたり、膿がたまって副鼻腔内の圧力が低下したり、高くなったりします。この圧力変化が起きることや、圧力の上昇によって周囲を走る三叉神経が刺激されるためです。副鼻腔は顔の骨の中に複数あって広い範囲にわたるため、膿がたまる場所によって痛む部位が異なります。
そもそも副鼻腔炎(ちくのう症)
ってどんな病気?
副鼻腔炎とは、副鼻腔に炎症が起きて膿がたまることでさまざまな不快な症状が現れる病気です。「ちくのう症」とも呼ばれます。
<おもな症状>
- 黄色〜緑色で粘り気のある鼻水
- 鼻づまり
- 目の奥や歯、額や眉間などの顔の痛み
- 頭痛
- 嗅覚障害、味覚障害
- 咳
- 倦怠感
副鼻腔炎には急性と慢性があります。急性副鼻腔炎の場合は、風邪などがもとで荒れた鼻粘膜に細菌が感染して炎症が起こり、強い痛みや発熱を伴うことがあります。慢性副鼻腔炎になると、急性副鼻腔炎の強い炎症は多少収まるものの治りきらずに長引き、鼻づまりや重だるい頭痛などの症状が続いたりします。一般的には急性から慢性へと移行しますが、慢性からまた急性と、何度も繰り返すケースもあります。
【関連記事】ちくのう症(蓄膿症)と副鼻腔炎の違いって?
長友先生
風邪のウイルスや細菌、花粉やハウスダストなどが鼻に入り、鼻の粘膜で炎症が起こることが発端になりやすいです。慢性副鼻腔炎を患っている方は、これらの要因が加わって急性副鼻腔炎を発症しやすいため、要注意です。
副鼻腔炎(ちくのう症)は
どこが痛くなる?
目の奥・歯・額・顔の痛みの特徴
副鼻腔は、私たちの顔の骨の中にある空洞で、前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)に分けられます。これらの副鼻腔は、それぞれ狭い小さな出口で鼻腔(鼻の穴の中の空間)とつながっています。どこの部位が痛くなるのかは、どこの出口がふさがれ副鼻腔に膿がたまるのかによって異なります。
副鼻腔の位置と
痛みが起こりやすい場所
目の奥の痛み
- 原因
- 篩骨洞の炎症が多く、前頭洞や蝶形骨洞の炎症が関係することも。
- 特徴
- グーッと押されるような痛みです。炎症が強い場合は、目の周囲が腫れたり視力に影響することもあります。眼科疾患では鼻水や鼻づまりを伴うことは少なく、副鼻腔炎では鼻の症状と連動して痛む点が特徴です。
額や眉間の痛み
- 原因
- 前頭洞の炎症です。
- 特徴
- 重苦しい圧迫感があります。また、頭を下げるとズキンと響くような頭痛を伴います。片頭痛や群発頭痛は顔を押しても痛みませんが、副鼻腔炎では圧迫で痛みが増すのが特徴です。
歯の痛み
- 原因
- 上顎洞の炎症が上の奥歯の根に近いために痛みを感じます。
- 特徴
- 歯が浮くような鈍痛があり、虫歯と間違える方も少なくありません。虫歯では鼻水や鼻づまりは起こらないため、悪臭を伴う膿性の鼻水がある場合は副鼻腔炎を疑いましょう。
頬や顔全体の痛み
- 原因
- 頬は上顎洞、顔全体が圧迫されるならば前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞の炎症も考えられます。
- 特徴
- 顔を押すと痛みを伴うほか、腫れや赤み、しびれを伴うこともあります。
後頭部や頭頂部の痛み
- 原因
- 蝶形骨洞の炎症がおもな原因。目の奥の篩骨洞の痛みが頭痛と感じられることもあります。
- 特徴
- 急性の炎症では強い頭痛があり、慢性化すると頭が重く感じたり、だるさや集中力の低下を伴うこともあります。
長友先生
他の疾患との判断に迷うかもしれません。そんな時は、痛みが出ている部分を指で軽く押してみて、ズキッと響くようなら副鼻腔炎の可能性が高いです。また、左右どちらかに痛みが出ることも副鼻腔炎の特徴です。
副鼻腔炎(ちくのう症)の
つらい痛みを
やわらげる
対処法・セルフケア
副鼻腔炎で起こる痛みを根本的に改善するには、副鼻腔内の炎症を鎮め、神経を圧迫している膿を排出することが大切です。ただし、痛みが強いときには、セルフケアや市販薬を活用して一時的に症状を和らげることも有効です。ここでは、自宅でできる主な対処法をご紹介します。
入浴で温める
鼻腔に蒸気が入ることで、乾燥で傷んだ粘膜の痛みや不快感を和らげる効果が期待できます。また、炎症によって荒れた粘膜のむくみが少し引き、たまっている膿や鼻水が排出されやすくなります。ただし、長風呂は体が温まりすぎて炎症が悪化するため避けましょう。
蒸しタオルで鼻の周囲を温める
入浴と同様に、乾燥による痛みや不快感、粘膜のむくみの軽減が期待できます。手軽にでき、即効性のあるセルフケアです。
部屋の湿度を40〜60%に保つ
乾燥は粘膜を傷め、症状を悪化させます。加湿器を使用するなどで、湿度は40〜60%に保つと粘膜の潤いが保たれます。
少し口を開けて、やさしく鼻をかむ
強すぎる鼻かみは鼻腔内の圧力を急激に高めてしまい、鼻水が耳管を逆流して中耳炎を起こしたり、副鼻腔の方へ押し込まれて炎症を悪化させたりする可能性があります。少し口を開けて口腔内に空気の逃げ道を作ることで、圧力の上昇が和らぎます。
市販薬の活用
薬局で購入できる市販薬も活用できます。痛みが強い場合は、鎮痛薬で一時的に痛みを緩和させましょう。アセトアミノフェンやNSAIDs系鎮痛薬(イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)がよいでしょう。その他にも、鼻づまりを緩和したいときの点鼻薬や、原因である膿の排出効果がある漢方薬などがあります。用法・用量をよく守り、正しく使用しましょう。
長友先生
副鼻腔炎を繰り返しやすい人は、予防にも力を入れましょう。アレルギー性鼻炎や花粉症などの適切なケアや、十分な睡眠や栄養バランスのとれた食事、帰宅後の手洗いを徹底してウイルス感染を防ぐことが重要です。タバコの煙、粉塵、大気汚染物質といった鼻粘膜に刺激を与えるものは炎症を悪化させる原因となります。マスクで鼻をカバーしたり、喫煙者の方はすぐに禁煙を!
病院へ行くタイミングと
受診のポイント
軽い風邪によるウイルス性の副鼻腔炎であれば、多くの場合、10日前後で自然に治癒することが期待できます。セルフケアで改善が見られない場合や、以下のような症状がある場合は、耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。
- 風邪症状が出てから10日以上経っても鼻水が止まらない
- 膿のような黄色〜緑色の鼻水が出ている
- 目の奥や額、頬、歯といった顔面の痛みが強く、3日以上続いている
- においや味を感じない
さらに、38.5℃以上の高熱や顔面に赤み・腫れがある場合は早めの受診が望ましいです。目の周りに腫れが見られる、物が二重に見えるといった眼の症状や、嘔吐を伴う、首が前に曲がらない、といった神経症状がある場合も、迷わず受診をしましょう。
つらい副鼻腔炎の痛みは、
早めのケアが回復の近道
副鼻腔炎(ちくのう症)による頭痛や顔の痛み、不快感は、経験した方にしか分からない辛さだと思います。痛みがひどいときには鎮痛薬などの一時的な対応も必要ですが、根本的な改善のためには副鼻腔炎による炎症を鎮めて、圧迫の原因となっている膿を排出することが大切です。医療機関を受診ができないときなどに、市販薬を上手に活用して早めの対処するのも賢い方法です。適切な対処と治療で、早く辛い症状から解放され、スッキリとした毎日を取り戻してください。
製品情報
チクナインは、膿を排出して、炎症を鎮めることで、顔の奥の痛みを引き起こす副鼻腔炎・ちくのう症を改善していく内服薬です。眠くなる成分を含まないため、1日をアクティブに過ごせるのもうれしいですね。顆粒と錠剤の2タイプからお好みに合わせてお選びください。
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※専門家のコメントは商品の推奨及び、商品の効果効能を保証するものではありません。