普段から食生活やスキンケアに気をつけていても、突然ニキビができることも。
ニキビは人によって差はあるものの、思春期にほとんどの人が経験する、とても一般的な疾患です。
ニキビの種類やニキビ跡の原因、ニキビの治し方、ニキビ・ニキビ跡の予防につながるスキンケア方法を解説します。


<黒川先生のプロフィール>
黒川 一郎(くろかわいちろう)

専門分野:尋常性痤瘡、皮膚感染症
資格認定・専門医:日本皮膚科学会認定専門医
日本皮膚科学会尋常性ざ瘡治療ガイドライン作成委員
日本美容皮膚科学会、日本化学療法学会(評議員)、
日本褥瘡学会(評議員)、日本痤瘡研究会(理事)
日本臨床分子形態学会(評議員)、化膿性汗腺炎財団(Medical&Scientific advisory Board)、日本がん治療認定医機構認定医、抗菌化学療法認定医、インフェクションコントロールドクター(ICD)、緩和ケア研修会 修了

※弊社から黒川先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。

ニキビの原因と種類

ニキビができる原因、ニキビができてからニキビ跡になるまでのニキビの種類と過程を解説します。

ニキビができる原因

ニキビができる主な原因は以下の4つがあげられます。

  1. 原因1

    皮脂の分泌が過剰になること

  2. 原因2

    男性ホルモンが増え、ホルモンバランスが乱れること

  3. 原因3

    毛穴の出口で角質がたまり、詰まりやすくなること

  4. 原因4

    アクネ菌(ニキビ桿菌かんきん)の増殖と、それに伴う炎症

ニキビの進行過程とニキビの種類

ニキビの初期段階は毛穴が角栓でふさがり、皮脂がたまった状態で、この状態を「面皰めんぽう」と呼びます。

まず目に見えない「微小な毛穴詰まり(微小面皰めんぽう)」から始まり、その後、目に見える「白ニキビ(白色面皰めんぽう)」や黒っぽく見える「黒ニキビ(黒色面皰めんぽう)」になります。炎症が起こると「赤ニキビ(紅色丘疹こうしょくきゅうしん)」や、膿がたまった「黄色ニキビ(膿疱のうほう)」へと進行します。

ニキビの種類

その後、炎症がおさまってくると、ニキビ跡が残ったりすることがあります。また、炎症が深くなると、皮膚がへこんだ跡(萎縮性瘢痕いしゅくせいはんこん)になる場合もあります。

時には、毛穴の内壁である毛包壁が広がって、中に角質や皮脂、細菌がたまる嚢腫のうしゅやしこり(結節けっせつ)、傷が赤く盛り上がる肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんなどができてしまうこともあります。

これらがニキビ跡と言われるものです。ニキビの重症度は、皮脂の分泌量と関連すると考えられていて、脂性肌の人はニキビが悪化しやすい傾向があります。

ニキビ跡の原因と種類

ニキビ跡は、ニキビの炎症が長期間続いたり、深い部分にまで広がったりする場合に起こりやすいと考えられています。

凹凸を伴うニキビ跡

凹凸ができるニキビ跡は主に真皮の炎症やダメージが原因で、種類は2つあります。

  1. 萎縮性瘢痕いしゅくせいはんこん

    皮膚がへこんでしまう跡。

  2. 肥厚性瘢痕ひこうせいはんこん

    皮膚が盛り上がる跡。

萎縮性瘢痕いしゅくせいはんこんは、さらに次の3種類に分かれます。

  1. アイスピック型

    細く深いV字型のくぼみ。治療が難しいとされています。

  2. ローリング型

    U字型で、なだらかにへこんでいるくぼみ。

  3. ボックスカー型

    ニキビ跡の底面が平らになっているへこみ。

特にアイスピック型は治療が難しいため、早期のケアが重要です。

クレーター(凹み)の種類

ニキビ・ニキビ跡の対処法

ニキビ跡を残さないための対処法やニキビを予防する方法、医療機関で受けることができるニキビ跡の治療法をご紹介。

ニキビ跡ができないようにするためのポイント

ニキビができたら、できるだけ早い段階で皮膚科専門医を受診し、適切な診断を受けることが大切です。早めに治療を始めることで、ニキビを悪化させず、跡を残さないようにすることが目指せます。赤ニキビや膿を持った黄色ニキビをできるだけ早く改善することが、ニキビ跡にならないための最善の方法です。

早期に適切なスキンケアの重要性

ニキビが悪化する前に正しいスキンケアを行うことでニキビを改善し、ニキビ跡の発生を抑えましょう。

スキンケアのポイント

  • ニキビを手でつぶさないこと。無理につぶすと跡が残りやすくなります。
  • 1日2回の洗顔を行うこと。
  • 洗顔や保湿はやさしく行い、強くこすらないようにすること。
  • 洗顔料は毛穴を詰まらせにくい「ノンコメドジェニック」と表示されたものがおすすめです。

医療機関でできるニキビ・ニキビ跡の治療方法

ニキビの初期段階に効果的な治療薬として、毛穴の詰まりを改善し、ニキビの進行を防ぐアダパレンやBPO(過酸化ベンゾイル)が使われます。
赤ニキビ・膿疱のうほう(黄色ニキビ)には、BPO配合の治療薬や抗菌剤の内服・外用が効果的です。
ニキビ跡を防ぐためには「急性期」にできるだけ早く炎症を抑え、その後は茶色ニキビや色素沈着を防ぐため、毛穴の詰まりを中心にケアする「維持期」に移行することが重要です。

なお、抗菌剤はニキビ菌の耐性を防ぐために、3カ月以内の使用が推奨されています。場合によっては、漢方薬の内服も有効です。また、皮膚科で専用の器具を使い、毛穴に詰まった内容物を取り除くことも行われます。

医療機関でできるニキビ跡の治し方と治療法

医療機関で受けることができるニキビ跡の治療法の代表例を3つご紹介します。

  1. ケミカルピーリング、イオン導入

    炎症後の色素沈着や萎縮性瘢痕いしゅくせいはんこんの改善を目指します。

  2. フラクショナルレーザー

    萎縮性瘢痕いしゅくせいはんこん(クレーター状のにきび跡)に効果が期待されます。

  3. ステロイドの局所注射や外科的治療

    肥厚性瘢痕ひこうせいはんこんに対して行われます。
    ただし、ニキビ跡の治療は一般的に難しいため、悪化させないことが最も大切です。

ニキビ・ニキビ跡の予防方法

最後に、ニキビ・ニキビ跡を予防するために心がけるべきこと・スキンケアについて解説します。

日常生活での予防方法・有効なスキンケア

ニキビの発症を完全に予防することは難しいですが、悪化させないためのスキンケアや生活習慣を意識することが有効です。

日常生活で心がけたいこと

  • 1日2回の洗顔を心がける
  • ノンコメドジェニックと表示された化粧品や薬用スキンケアのアイテムを取り入れる
  • 油性のファンデーションを避ける
  • 脂っこい食事は控えめにする
  • 糖質も控えめに
  • 野菜を取り入れたバランスのよい食事をとる
  • 睡眠をしっかりとる

ニキビができたらそのまま放置せず、早期に皮膚科専門医で適切な診断を受け、ニキビ跡にならないよう、正しいスキンケアを心がけましょう。


※専門家のコメントは商品の推奨及び、商品の効果効能を保証するものではありません。