「ちくのう症(蓄膿症)」は正式な医学的用語ではなく、古くから使用されている「俗名」です。
一般的にちくのう症(蓄膿症)は慢性の副鼻腔炎を指すことがほとんどですが、副鼻腔炎の急性と慢性の境界線が曖昧なため、単に副鼻腔炎の意味で使用されることもあります。
副鼻腔は、頬、顔、目のまわりの骨の空洞部分のことです。副鼻腔は鼻腔の約3倍の体積もあります。
普段は空っぽの状態ですが、この「副鼻腔」の炎症が長引き、膿がたまって起こる症状が「ちくのう症(蓄膿症)」と呼ばれます。
「急性」の状態では主にウイルスや細菌が原因であり、これらが副鼻腔に感染し、炎症を起こすことで、「副鼻腔炎」が起こります。
対して「慢性」の状態では、副鼻腔が炎症を起こし、中に溜まった膿が排泄できなくなることで炎症が悪化し、それが原因でさらに膿が溜まるという悪循環に陥った状態を指します。
このため、治療には副鼻腔の菌を減らしながら炎症を鎮め、たまった膿を排出することが重要です。
ちくのう症(蓄膿症)・副鼻腔炎と風邪との違いは、発熱があるかないかで判断できます。風邪は発熱を伴う場合が多いですが、ちくのう症(蓄膿症)は発熱はありません。また花粉症との違いは、鼻水の違いです。花粉症の鼻水は、サラッとした水のような透明な鼻水ですが、ちくのう症(蓄膿症)の鼻水は、粘り気のある鼻水で、色も緑色っぽくなる場合があります。
ちくのう症 | 花粉症 | 風邪 | |
---|---|---|---|
鼻水 | ドロッとした | サラッとした | ○ |
くしゃみ | △ | ○ | ○ |
かゆみ(目) | ✕ | ○ | ✕ |
発熱 | ✕ | ✕ | ○ |