リスクマネジメント

リスクの管理

当社では、リスクを3つに分類し、それぞれに応じた体制を整え、リスク管理を行っています。
中長期的なリスク(潜在リスク)については、長期的な視点で経営リスクを洗い出し、具体的な問題として顕在化する前に手を打つべく、毎年、社長を委員長とする「リスク管理委員会」において「全社重点リスク」を選定しています。全社重点リスクについては、事業部長クラスが実行責任を担い、リスク低減プランの策定や進捗管理、取締役会への定期報告を行う体制を整備し、具体的なリスク低減活動を行っています。

事業等のリスクや顕在化する恐れのある短期的なリスクに関しては、各部門におけるリスク情報を月1回の「マンスリーレポート委員会」で集約し対応を検討することに加え、その中から経営の関与が必要と判断したリスクに関しては、経営会議に上げて対策を講じる体制を敷いています。このほかに、目前で発生している顕在化したクライシスに関しては、顕在化とともに速やかに「危機管理本部」を立ち上げ、スピーディに対応を図る体制を取っています。

  リスク管理委員会 マンスリーレポート委員会/グループ執行審議会 危機管理本部
主に扱うリスク 中長期的なリスク(潜在リスク) 短期的なリスク 顕在化したクライシス
委員長 社長 グループ統括本社本部長/社長 社長

事業等のリスク

主要なリスク リスクの概要 主な対応策の実施状況
(1) 事業環境のリスク
  • 消費者ニーズの急激な変化
  • 競争環境の変化による広告宣伝費等のコスト増大
  • 消費者ニーズを捉えた新製品の開発
  • 環境変化を捉えた既存品の戦略策定
  • 多種多様な製品ラインナップによる影響の低減
  • メディアミックスによる広告宣伝費の効率化
(2)積極的に新製品を投入するビジネスモデルのリスク
  • 新製品の発売品目数の減少
  • 競合参入による発売時の競争激化
  • 全従業員対象の提案制度によるアイデア創出
  • 新製品ポートフォリオ活用による発売品目の確保
(3) 天候不順、気候変動による需要変動のリスク
  • 季節性の強い製品の売上減少
  • 温室効果ガス削減の潮流に伴う炭素税の負荷
  • エシカル意識の高まりによる需要低減
  • カイロ事業におけるヘルスケア領域での製品開発
  • 各種データ活用による出荷調整
  • グループ環境委員会による中長期のリスク対策の検討
  • Scope3視点での温室効果ガスに関して部署横断での削減プロジェクトの立ち上げ
(4) 海外事業のリスク
  • 各国の経済成長の鈍化や規制の変更による投資回収効率の低下
  • 為替レートの大幅な変更
  • 毎週の経営会議の場での、中国担当執行役員による状況報告
  • 段階的・合理的な投資判断と投資計画の見直しによる改修リスク低減
  • 主要通貨レートのモニタリング
(5) 事業買収・提携のリスク
  • 想定外の事象や環境変化による不首尾
  • のれんや無形資産の減損
  • 精緻なデュ―・ディリジェンス
  • 成長機会と残存リスクを議論した上での投資判断
(6)人的資本確保・活用のリスク
  • 性別・国籍等を問わない多様な人材の活躍推進の停滞
  • 労働市場の競争激化への対応の遅れ
  • 従業員の企業貢献意識向上施策の不足
  • フラットな企業風土
  • 上司と部下の成長対話による成長実感の醸成
  • 女性のキャリア志向の醸成を目的とした具体的活動の推進
  • 多様なライフスタイルの人が活躍できる環境を整備するために、テレワーク制度、フレックス、副業制度、服装自由化を導入
(7) 製品安全性のリスク
  • 設計不良
  • 品質不良
  • 副作用報告に応じた対応の誤り
  • 品質監査の専門部門(信頼性保証本部)によるリスク低減の取り組み
  • 重篤な設計・品質不良が疑われた場合のタイムリーな判断
(8) 製品原材料調達のリスク
  • 為替相場の変動による調達コスト増大
  • 原油価格の急騰等による原材料価格の上昇
  • 災害発生時の生産・流通停滞による市場への製品供給阻害
  • 多品目販売による限定的な原材料価格高騰のコスト吸収
  • 「製品BCPシステム」による速やかな原材料確保
  • 「調達方針説明会」での CSR調達方針の説明
(9) 法的規制等のリスク
  • 法規の変更による製品の開発中止、販売中止
  • 輸出入の規制変更等による売上変動
  • 法務知財部を中心とした情報収集と迅速な対応
(10) 情報セキュリティ関連のリスク
  • 個人情報漏洩による補償と信用失墜
  • サイバー攻撃によるノウハウの流出と事業活動の一時中断
  • 情報セキュリティ体制の整備
  • 社内教育の徹底
  • 情報セキュリティの第三者評価
  • 重要なデジタルデータの遠隔地サーバでのバックアップ
(11)コンプライアンス関連のリスク
  • 当社グループ、または従業員による重大なコンプライアンス違反
  • 従業員及び社外取引先担当者対象のコンプライアンスアンケート
  • コンプライアンス問題の専用受付窓口(従業員相談室)の設置
(12) 知的財産、及び訴訟関連のリスク
  • 知的財産権を管理する仕組みの導入遅れ
  • 知的財産権に関する第三者侵害
  • 当社の知的財産権侵害による補償と信用失墜
  • 知的財産権の侵害、非侵害のチェック
  • 製品の開発段階における積極的な知的財産権の創出と戦略的出願
(13)自然災害、人為的災害によるリスク
  • 自然災害、人為的災害発生による業務停止・遅延、資産喪失、人的被害等の発生
  • 事業継続計画(BCP)の策定
  • 危機管理体制の構築
  • 有事の際、毎週の経営会議の場での迅速な協議と対応
(14) 深刻な感染症流行によるリスク
  • 現地行政による外出規制による外出機会の減少に伴う売上減少
  • 感染症拡大の長期化・常態化による経済状況悪化
  • 事業所内での感染者発生による製品生産等の事業活動停止
  • 感染症拡大により発生した新常態に対応した新製品の開発と発売
  • 危機管理本部による感染リスクの把握と対策の事前立案
  • 操業停止リスクを抑えた運営

BCP(事業継続計画)

小林製薬グループでは、東日本大震災の経験を踏まえ、BCP(事業継続計画)を策定しました。大規模地震、水害などの自然災害によって予期せぬ緊急事態に遭遇した場合、重要業務に対する被害を最小限にとどめ、最低限の事業活動の継続、可能な限り短期間に復旧を行うことを目的としたものです。業務プロセスを見直し、緊急事態の際の各事業のリスクの大きさ、優先して継続・復旧すべき事業を定めています。

  • BCP(Business Continuity Plan)
    さまざまなリスクによって生じる事業活動の中断に対して、重要な業務・機能を継続する、あるいは可能な限り短時間で再開するよう事前に取り決める手順。