小林製薬は、世の中にこれまでなかった製品を生み出すことを大切にし、健康で快適な生活の実現や、社会での活躍をサポートするという思いをカタチにしてきました。
そこで、これまで20年にわたり小林製薬の製品開発を手掛けてきた奥山に、大切にしていることを話してもらうことで「おっ!?小林製薬、なんかええやん」と、少しでも感じてもらえたら嬉しく思います。
また、現在全社を挙げてDXを推進しており、奥山はDX推進グループのグループ長(課長)を務めています。新製品開発の秘話とともに、小林製薬の魅力やDXの現状を、同グループで働く卷尾(まきお)がインタビューしました。
卷尾
それではまず、入社される前後のことを教えてください。
奥山
子どもの頃から「人を幸せにする発明家になりたい」っていう夢があったこともあって、本当に自分がやりたいことをできる企業はどこだろう?と思いがありました。
色んな企業の選考を受けていくなかで、当時の小林製薬の社長に僕の夢をお伝えしたら「君の夢を実現させるんやったら、間違いなくうちの会社が一番や、保証する」って言ってくださって、それが決め手になりましたね。
卷尾
すごいエピソードですね!入社当時は研究職でしたよね?
奥山
そう、入社して1年でマーケに異動になりました。夢だった新製品開発にダイレクトに携われる部署だけど、研究職の面白さがようやく分かってきた頃だったから、嬉しさもありつつ、またゼロからのスタートか、、、と思うところもありました(笑)。
短い時間でしたけど、自分で手を動かして物作りをする楽しさをその1年は濃密に味わったんですよね。
卷尾
マーケでは、どんな役割だったんですか?
奥山
小林製薬のマーケティング職には、大きく2つの役割があるんですね。
1つはブランドマネージャー。担当するブランドの広告や販促を含む戦略を考える仕事。
もう1つはコンセプトやターゲットを考えて、研究や製造とともに製品を生み出していく開発の仕事。配属されてからしばらく食品カテゴリーの開発をやっていました。
卷尾
実際やってみてどうでした?
奥山
アイデア出すっていうのはすごい泥臭い作業なんですよ。もうずーっと「何かないか」と考えている感じ。アイデア会議も当時は模造紙に殴り書きしながら発表してたり、本当に泥臭くて大変で、面白い時間でしたね。
それに、自分一人から出る発想なんてたかが知れてますからね。いかに取りこぼさず、アンテナを張り巡らせられるかが大切。自分一人で考えて、生み出せた製品やアイデアなんてほんと少ないですよ。
卷尾
その後、新製品開発のグループ長として、自分以外のアイデアを評価・助言する機会も多かったと思うんですが、気をつけていた点はありますか?
奥山
人のアイデアを見る時に、そのアイデアが机上の空論になっていないか、ターゲットがきちんと、「生々しく」浮かぶかというところですね。
卷尾
生々しく設定するために心がけていたことはありますか?
奥山
ターゲットにはできる限りの手段を使って会うようにしていました。
自分以外のことってやっぱりわからない。だから、色んな経験をして自分以外のキャラクターをたくさん持つっていうことを意識していましたね。
卷尾
会社でハイヒールを履いてた時期ありましたよね?
奥山
あったね(笑)。
「ヒールだこ」というお悩みを見つけて。アイデアや製品につながるかもと思ったんだけど、自分が経験しないとわからないと思って。
いざ履くと、ヒールだこはすぐできて痛いし、マンホールにやたらヒールが刺さるし。でも、朝玄関でハイヒールを履くと戦闘モードに入ったような、これまでにない気分を味わえたことも新鮮な経験で、自分以外のキャラクターをまた一つ持てるようになったんですよね。
左:ハイヒールを履いていた当時の写真 右:ハイヒール試着中
卷尾
小林製薬は、どう売るかではなくて、どこが足りていないか、満たされていないものはないかというのを探しに行きますよね。
奥山
どう売るかももちろんすごく大事なんだけど、小林製薬はやっぱり「小さな池の大きな魚」という考え方を重視していて、未充足のニーズをいかに発見するかということに重きを置いていますね。
卷尾
次にDXの状況についてお願いします。
奥山
小林製薬でもDXと紐付きそうな取り組みが多くできているけど、個別最適で動いていることが多いなと。なので、会社全体として
DXの方向性をまず定めました。僕もそうだけど、
デジタルに苦手意識を持ってる社員もまだまだいますしね。
卷尾
このチームに来るまで、デジタルへの苦手意識が強かったんですよね?
奥山
苦手どころじゃないですよ!
はじめは、オンラインとオフラインのハイブリッド会議ですら恐怖。
卷尾
でも、当初デジタルに苦手意識があったから、そういう人の心も分かって意見くれますよね。
奥山
そう言ってくれると嬉しいですね。配属が決まった時はすごく不安でしたからね。でも色んな方からコメントをいただいたりして、僕なりに小林製薬を進化させる一翼を担いたいなという気持ちがあったから。
卷尾
このチームに来てからはどうですか?
奥山
苦手意識はある一方で、新しいものに取り組んだりするのは好きなんですよ。だから苦手だからと食わず嫌いしている人たちに「こんな便利な世界があるんだ!」ということを伝えたい。僕は今まざまざと実感しているところだから(笑)
卷尾
デジタル関連のサービス等で、印象に残っているものはありますか?
奥山
タクシー配車・フリマアプリに感動しましたね。
一番最近だと、アイデアを生み出すきっかけに自社開発した、社内AIチャットボット「
kAIbot(カイボット)」かな。
アイデアは量が質を生むっていう持論があるんです。
今は量だけならkAIbotが出してくれるなと。そこからブラッシュアップさせていくことで、これまでよりもスピーディーに良いアイデアが生み出せるよね。
卷尾
でも忙しさが理由でデジタルに触れなかったりする方もいますよね。
奥山
そうそう。やっぱり忙しいと心の余裕がなくなるから、新しいものに挑戦する気持ちが湧かないよね。そういう根っこの部分を解消することもDXの役割だと思います。
卷尾
DX推進をしていく上での課題ってありますか?
奥山
DXと言っても結局人が大きな領域を占めるんだなと思っています。
デジタルスキルとかではなくて、人の心をどう動かすかが課題。いくら良いツールやシステムを入れても、使う人のやる気とか心のスイッチを押せないと結局使われずで、役に立たないものになってしまう。
卷尾
人の気持ちを変えるっていうところが重要ですよね。
奥山
とにかくみんなが何を求めているのか知るために、1on1で話したり、グループインタビューで意見を聞いたり、全社にアンケートを取ったりしています。そうやっていくと、みんな危機感や課題意識を持ってるのが分かりますね。
卷尾
今後、デジタルが当たり前になったとき、僕らのチームが製品開発にも関わることもありますかね?
奥山
そうだね、今取り組んでいる諸々が軌道に乗ったら「あったらいいなをカタチにする」何かをデジタルで生み出すことには挑戦したいね。アプリ開発とか。
卷尾
奥山さんは入社して20年程ですが、小林製薬の魅力ってどんなところですか?
奥山
さっきDX推進の課題として人と言ったけど、この会社の魅力も人ですね。お客さまにとっての分かりやすさを本気で大事にしてる。あったらいいなをカタチにするという想いに真摯に向き合っていると思います。
卷尾
課題や改善点はありますか?
奥山
何かピンチや問題が起きた時に、すぐにたくさんのアイデアを出して、乗り越えようとする文化がありますよね。
すごく良い部分でもあるんだけど、根っこの解決になっていないこともあるので、変えていかないといけない部分かと思いますね、自戒も込めて…(笑)
卷尾
DX推進グループに来たからこそわかる課題や改善点はありますか?
奥山
小林製薬って25期連続で増益を達成してて、会社としてうまくいってる。だから今までのやり方で良いというか、新しいものに積極的に触れようとしないところはあるかも。それをこのチームに来て、今まで以上に世の中を広い視野で見て、色んな人と話すようになって痛感しました。
世の中は広いし、すごいスピードで変化している。このままじゃダメだと思っていて、もっと変わっていこうという意識をみんなに持ってもらいたい。そのために、僕らのチームがムードの醸成や最新情報を伝えていくっていう役割は果たせるんじゃないかと思ってる。
卷尾
お話しありがとうございました!これから長いお付き合いになると思いますが、よろしくお願いします。
奥山
こちらこそ!僕のことは、上司じゃなくて同志だと思って接してください(笑)