紅麹事案を受けた再発防止策とその進捗状況

当社は、当社の紅麹関連製品にて一部の紅麹原料に当社の想定していない成分が含まれている可能性が判明した件(以下「本件事案」といいます。)について、2024年9月17日付当社プレスリリース「再発防止策の策定に関するお知らせ」にてお知らせしましたとおり、事実検証委員会による調査報告書を通じて提言された内容を踏まえ、再発防止策を取締役会にて決議し、公表しました。
再発防止策の概要につきまして、3本の柱に沿って以下に記載いたします。

2024年9月17日発表

再発防止策の概要(3本の柱)

1.品質・安全に関する
意識改革と体制強化

・「品質・安全ファースト」を徹底して当社の役職員の品質・安全に関する意識改革を図る
・品質・安全責任部署の役割と責任を明確にし、品質保証体制とマネジメント体制を強化する

2.コーポレート・
ガバナンスの抜本的改革

・新小林製薬の経営を監督する取締役会構成を刷新する
・ステークホルダーの皆様からの信頼回復と、新小林製薬の実現を目的として、正しいことを正しく行う会社となるための体制の確立を図る

3.全員が一丸となって
創り直す新小林製薬

・リスク感度を高め、また新たな価値を作り出す力を高めるため、当社が抱える同質性を排除し多様性を確保する施策を実行する
・全役職員が力を合わせて一丸となり、新しい小林製薬を創り直す

当社としては、これまでにいただいた社外からの厳しいご指摘も踏まえ、再発防止策の具体化を検討し、また、実施済みの再発防止策についても不断に見直しを行う必要があると考えています。加えて、二度と本件事案のような事態を起こさぬよう、今後も誠実かつ着実に再発防止策を実施し、「品質・安全ファースト」の風土を体現した企業となるべく歩みを進める所存でございます。
上記3本の柱それぞれについて、現在実施または検討している再発防止策の概要を、下記にてご説明いたします。

再発防止策の進捗状況一覧(2025年8月5日時点)

1.品質・安全に関する
意識改革と体制強化

本項目における活動の概要は図表①のとおりです。これまでの主な活動としては、まず、全社員教育や経営幹部と現場従業員との双方向の対話の増加を通じて、『品質・安全ファースト』の意識改革を推進してまいりました。次に、品質・安全責任部署の役割と責任の明確化を図り、より専門性を発揮できる品質管理体制とするべく、2025年1月1日付で関連する組織再編を行いました。また、工場のマネジメント体制の強化に加え、製造部門および研究開発部門との連携を加速させ、ものづくりの協働体制およびガバナンス体制の強化を進めております。
今後は、ものづくりの現場の力を強化し、品質マネジメント体制を再構築していくとともに、品質管理基準や製品検査等の精緻化も図ってまいります。

【図表①】

番号 再発防止策 ステータス 実施・
導入時期
計画立案 着手・
導入準備
実施
・導入済
(1) 意識改革:「品質・安全ファースト」
(1)-ア 品質・安全に関する教育・研修
品質・安全に関する教育・研修の全役職員向け実施 実施済
(2024/6)
(1)-イ 品質・安全に関する代表取締役社長メッセージの発信
代表取締役社長が旗手となっての定期的なメッセージ発信 実施済
(2024/8)
(1)-ウ 従業員との対話の機会の増加
経営幹部と品質・安全の維持・管理に従事する従業員との定期的対話 実施済
(2024/8)
(1)-エ 「品質・安全ファースト」を最重要視した事業計画の策定
事業計画への「品質・安全ファースト」の組み込み 実施済
(2024/11)
中期経営計画への品質・安全に関する施策の中軸的配置 実施済
(2025/8)
品質・安全向上に必要な投資を行える環境整備 2025/8
必要な事業の選択と当該事業へのリソースの集中 2025/8
(2) 体制強化①:品質保証体制
(2)-ア 責任部署の明確化
信頼性保証本部の役割の明確化 実施済
(2025/1)
(2)-イ 品質管理体制の改善
第1線の専門性強化 機能別本部制への移行 実施済
(2025/1)
品質管理部署の品質管理専任化 実施済
(2025/1)
人事ローテーションの見直し 2025/12
第1線と第2線の双方向的連携の強化 品質関連の組織の整理 実施済
(2025/1)
品質関連の会議体の整理 実施済
(2025/1)
(2)-ウ 専門部署の新設
製品の開発・製造関連法規を専門的に扱う部署の新設 実施済
(2025/1)
(3) 体制強化②:マネジメント体制
(3)-ア 工場のガバナンス体制の充実
(3)-ア -(ア) 品質マネジメント部および第三者による定期監査
製造本部による工場の定期監査の実施 品質総点検(自主点検)
※経口製品、肌に触れる製品
実施済
(2024/7)
社内定期監査の実施 実施済
(2025/4)
第三者機関によるチェックの仕組みの構築 第三者機関による工場の監査の実施 実施済
(2024/10)
第三者機関による定期的な監査の継続 2025/10
(3)-ア -(イ),(ウ) 「ものづくり推進室」の新設
・工場の統括機能の強化(ものづくり推進室の新設)
・製造本部と工場の連携/コミュニケーション強化
実施済
(2025/1)
(3)-ア -(エ) 統括的な衛生管理基準の策定
経口製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定 実施済
(2025/7)
肌に触れる製品群(医薬品以外)での衛生管理基準の策定 2025/12
全製品カテゴリーでの衛生管理基準の策定 2026/12
(3)-イ 関連ルールの整備
製品カテゴリーに応じた法令・各種ガイドラインの一元化 2025/12
品質保証方針の浸透の徹底 実施済
(2024/10)
製造・研究・品質部門の品質活動同期化 ものづくり品質行動方針の明文化 実施済
(2025/3)
(3)-ウ 業務フローの見直し
(3)-ウ-(ア) 開発部門と工場の協働
「量産化見直し会議」の定期開催 実施済
(2025/4)
開発部門と製造本部の部門横断的な品質強化チームの立ち上げ 実施済
(2024/12)
(3)-ウ-(イ) 新規技術領域における製造管理・維持管理等の向上
新規技術領域への進出や事業拡大時におけるPMIプロセスの再考 実施済
(2024/10)
取得事業に関わる人材の育成・外部専門家の意見聴取体制の構築 2025/12
取得事業に係る継続生産開始後における製造管理・品質維持管理体制の強化 2025/12
(3)-ウ-(ウ) 製品検査の強化
製品特性に応じた複数検査・特定成分以外の成分混入の検出手順の検討・導入 2025/8
※本検査に関し、まず今回開発した手法につき導入準備中。
 要求レベルや技術水準に合わせた継続アップデートを予定
(3)-エ 人事評価制度の刷新
品質・安全に貢献する活動を評価対象とすることを軸とした人事制度の改定 2025/12

※2025年2月10日以降、ステータスが新たに完了した部分を、みずいろとしております。

2.コーポレート・ガバナンスの
抜本的改革

本項目における活動の概要は図表②のとおりです。これまでの主な活動としては、当社の現状を鑑み、あるべき取締役会構成の見直しを行い、社内外から様々な知見を有する人材を選定し、第107期定時株主総会及び取締役会において、代表取締役及び取締役が選任され、新たな取締役会構成がスタートいたしました。また執行体制としては、専門性を高め意思決定の質とスピードを向上させる目的で、執行会議体の見直しを行っています。
併せて、危機管理体制強化の観点から、有事の対応組織およびリスク情報のエスカレーション体制を強化しました。
今後は、新しい取締役会のもと、監査役と連携をさらに強化して内部統制や品質管理の監督を充実させてまいります。

【図表②】

番号 再発防止策 ステータス 実施・
導入時期
計画立案 着手・
導入準備
実施
・導入済
(1) 創業家依存経営からの脱却
代表取締役会長・社長の辞任 実施済
(2024/7)
社外取締役が過半数を占める取締役会による監督機能の更なる強化 実施済
(2025/3)
(2) 機関設計の再検証
指名委員会等設置会社等への移行の検討 2026/3
取締役会構成の刷新・社外取締役増員・取締役会長外部招聘による監督機能強化 実施済
(2025/3)
(3) 取締役会による監督強化
(3)-ア 社外取締役による監督の強化
取締役会の運営の見直し 取締役会議長体制の変更 実施済
(2024/7)
取締役会アジェンダの見直し 実施済
(2024/7)
社外取締役と監査役間の情報共有の仕組みの充実 実施済
(2025/3→2025/7)
社外取締役の任期ルールの制定 実施済
(2025/3)
(3)-イ 取締役会と執行サイドの連携強化(定例会議の新設等)
取締役会への適時適切な情報提供の仕組み作り 取締役会と執行サイドの連携強化 実施済
(2024/7)
リスク情報のエスカレーション体制の構築 実施済
(2024/8)
(3)-ウ 監査役への適時の情報共有
監査役会と取締役会・執行サイドのコミュニケーションの促進 実施済
(2025/6)
(4) 執行部の会議体の見直し(GOMの廃止等)
会議体の再構成 経営執行会議の新設
(執行の意思決定機関の明確化)
実施済
(2024/11)
グループ協議会の新設
(多様な意見の収集)
実施済
(2025/1)
各種専門委員会の新設
(専門協議強化/第三者視点採用)
実施済
(2025/3)
(5) 危機管理体制の整備
(5)-ア 代表取締役社長を責任者とする対応体制
専門性をもって迅速に意思決定を行う仕組み構築
(品質安全専門委員会・品質安全緊急会議の設置)
実施済
(2025/3)
(5)-イ 有事を想定したリスクマネジメント
組織再編によるリスクマネジメント部門と取締役会事務局の連携強化 実施済
(2025/1)
平時におけるリスクマネジメント体制の構築 実施済
(2025/3)
(5)-ウ 有事の際の社内情報共有体制
有事におけるリスク情報のエスカレーションフローの再整備 実施済
(2025/3)
取締役会にエスカレーションすべきリスク情報の考え方の策定 実施済
(2025/3)
(6) リスク・コンプライアンス体制の強化
(6)-ア ガバナンス推進会議の再整理
リスク・コンプライアンス専門委員会の設置 実施済
(2025/3)
(6)-イ 誠実さを行動準則とした組織運営
インテグリティ経営の推進 インテグリティ経営推進の専門部署の新設 実施済
(2025/1)
役員向けインテグリティ研修実施 実施済
(2024/6)
インテグリティ経営の風土の醸成 2025/12
(7) 対外的なコミュニケーション・情報発信の改善
専門性を高めた組織編成による社内・対外コミュニケーションの活性化 実施済
(2025/1)
(8) 品質・安全を最優先とした事業運営
事業ポートフォリオ戦略の再構築・やめるべきことの決定
(事業の選択とリソースの集中)
2025/8
SKU数の削減の検討 2025/8
必要な人員や予算等のリソースの再分配 2026/1

※2025年2月10日以降、ステータスが新たに完了した部分を、みずいろとしております。

3.全員が一丸となって
創り直す新小林製薬

本項目における活動の概要は図表③のとおりです。まずは、専門性と多様性を重視した人材の確保や配置、育成に向けた人事制度改革に着手しています。次に、今後の当社のあるべき姿と、それを実行できる組織風土の構築を目指した全社横断のプロジェクトを発足しました。
また、本件事案を公表した3月22日を「品質・安全の日」とし、本件事案を決して風化させることなく、全員が一丸となって新たな小林製薬を創り直してまいります。

【図表③】

番号 再発防止策 ステータス 実施・
導入時期
計画立案 着手・
導入準備
実施
・導入済
専門性と多様性を重視した人材の確保・配置・育成 2026/1
組織風土の見直し(組織風土改革プロジェクトの推進) 2025/11
本件事案を風化させない取り組みの継続
(3/22(本件事案公表日)を「品質・安全の日」と制定)
実施済
(2025/3)

※2025年2月10日以降、ステータスが新たに完了した部分を、みずいろとしております。

改めて、2024年9月17日に公表した再発防止策で掲げた各アクションに関しては、全ての項目で計画立案に着手しており、施策の実施・導入が完了しているものも多くあります。しかしながら、品質と安全を向上させる取り組みは、ここで完成というものではなく、実施・導入が完了したアクションに関しても継続的に改善・改良を加え続けていかなければならないと考えています。
今後も、決算報告などに合わせて、定期的に進捗を報告してまいります。

なお、再発防止策の進捗の詳細に関しては、2025年8月5日付当社プレスリリース「再発防止策の進捗に関するお知らせ」をご参照ください。