痔のタイプ
痔は年齢・性別を問わず起こる疾患です。
日本人の3人に1人が痔の経験者であるとも言われており、とても身近な疾患の一つです。
また、痔の種類は大きく分けると、
「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」の3つのタイプに分かれます。
なかでも一番多い疾患が「いぼ痔」です。
アンケート結果※によると1年以内にいぼ痔を感じたと回答した人は、
30代~60代男女の約10%もいます。
「いぼ痔」「切れ痔」「あな痔」にはどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
いぼ痔(痔核)
いぼ痔は「痔核(じかく)」とも呼ばれ、肛門部にいぼ状の腫れものができた状態で、痔の中で最も多い疾患と言われています。肛門の歯状線という部分より内側、粘膜部分にできる「内痔核」と歯状線より外側の皮膚にできる「外痔核」の2種類があります。
「内痔核」ができる粘膜部分には知覚神経が通っていないので痛みを感じることはほとんどありませんが、出血を伴ったり、進行すると痛みを感じることもあります。一方で「外痔核」は痛みを伴うことが多く、肛門付近に違和感があって気づいたり、手で触って確認したりすることができます。
いぼ痔は、男女共に幅広い年代で発症する
弊社で実施したアンケート調査によると、一年以内にいぼ痔になったことがある人の割合は男性が50%、女性50%でした(図1)。男女ともにやや30代の割合が高い結果(図2)でしたがその比率に大きな差はありません。男女ともに幅広い世代でいぼ痔を発症しているという結果がうかがえます。
いぼ痔の主な症状
・排便時に出血することがある
・排便時に痛みを感じることがある
・残便感を感じる
・肛門周囲に「いぼ」のようなものがある
・肛門に何か挟まっているような違和感がある など
いぼ痔になりやすいのはこんな人
・便秘がちである
・排便に時間がかかる
・妊娠・出産経験がある
・あまり運動をしない
・あまり食物繊維をとらない
・長時間の座り仕事をしている
・重いものを運ぶことが多い など
おしり(肛門)に負担のかかる生活習慣がいぼ痔の発症に影響します。とくに偏った食事や食物繊維不足などによって便が硬くて出にくい状態を繰り返すと排便時にいきむ時間が長くなり、肛門に負担がかかります。肛門に負担をかけない生活習慣を心がけましょう。
切れ痔(裂肛)
切れ痔は「裂肛(れっこう)」、「裂け痔」とも呼ばれます。肛門の出口付近の皮膚が排便などの刺激で切れてしまった状態のことを言います。出血や痛みがありますが急性の場合1週間前後で自然治癒します。慢性化すると皮膚がただれることもあります。
また、女性に多い症状であるとも言われています。
切れ痔になりやすいのはこんな人
・便秘がち
・下痢を繰り返す
・食生活が不規則 など
あな痔(痔瘻)
あな痔は「痔瘻(じろう)」とも呼ばれます。細菌が歯状線のくぼみに入り込むことで化膿を起こし、肛門周囲に膿がたまって直腸から肛門の外へトンネル状の膿の管ができる疾患です。ずきずきとした痛みや、時には熱が出るなどの症状があると言われています。また、「あな痔」は男性に多いと言われているのも特徴の一つです。
あな痔になりやすいのはこんな人
・下痢を繰り返す
・アルコールをよく飲み、軟便を繰り返す など