決算説明会資料

DX方針説明会

DX方針説明会

■本日の流れ

本日の流れ

CDOの石戸です。

本日の流れですが、小林製薬について改めましてご説明させていただき、そしてDXの戦略を、三つありますので、そちらをお話させていただいて、目指すべき姿、こういった流れでお話させていただきます。

■CDOユニット新設

CDOユニット新設

まずご説明の前に、今年の1月から、資料の右側にありますような体制でDXを推進しております。今年2月の決算発表でも、社長の小林から体制変更について簡単に触れさせていただきましたが、左側昨年の12月までは、本社統括グループの中に業務改革センター、システム部がございまして、経営企画の中にDX推進担当という組織がございました。

106期となる今年の1月からは、社長直下にCDOユニットを新設しまして、これまでのシステム部とDX推進担当からDX推進グループへ組織化し、現在約70名ぐらいの組織で始動しております。

私自身は、2021年からデジタル戦略の、外部のアドバイザーという立場で、小林製薬とはご一緒させてもらっておりまして、今年の1月から、小林製薬に正式にジョインしております。

個人的な自己紹介は、今日は割愛させていただきますが、去年の11月に小林製薬からもリリースを出させてもらっておりますので、ご覧いただけるとありがたいです。

■小林製薬グループのパーパス

小林製薬グループのパーパス

こちらが今年発表しました当社のパーパスです。先ほど社長の小林からもパーパスの説明がありましたので、DX方針説明の中では細かくご説明はいたしませんが、DXに関しても、小林製薬のパーパスを実現するための中期経営計画の大事な役割や戦略として推進している状況でございます。

■これまでの小林製薬の進化

これまでの小林製薬の進化

小林製薬は経営理念にもあります、絶えざる創造と革新によって新しいものを求め続けて人と社会に素晴らしい「快」を提供してまいりました。2008年に卸事業を売却したことで、大きな戦略転換をして、トランスフォーメーション(変革)をしてきた会社でございまして、卸事業から製造業に変革し、ビジネスモデルや収益体質も変わってきました。

昨今の世の中でも言われておりますDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、小林製薬のこの変革の原体験は、デジタル時代において、間違いなく変革や進化できるだろうと確信しております。

そして右側、製造業として当社で象徴的なのが1969年発売のブルーレットです。製造業としての礎や躍進となり、今もなお、当社の主力製品としてあります。デジタル時代においても、我々は、創造と革新で、このような新しい価値を作っていきたいと思っています。

■小林製薬の特長

小林製薬の特長

ブルーレットをはじめとしまして、「環境変化によって新たなニーズをいち早く捉え、あったらいいなをカタチにする」というブランドスローガンの下、今期も30品目出しておりますが、コンタクトレンズの普及や、メタボリックシンドローム、女性の社会進出、高齢化認知症社会、天候不順という形で、半歩先、一歩先を行くようなニーズを、いち早く捉えて、形にしてまいりました。

■デジタルを伴う環境変化

デジタルを伴う環境変化

デジタルを伴った変化が我々の業界および消費者や技術進化が社会の中で加速度的に起こっておりまして、我々としては様々な機会があります。

一方で、これを機会としてとらえるべく、まだまだ追いついていないところがありますので、DXを推進しております。

簡単にご説明しますと、左側が購買行動や販売チャネルの変化、小売様が直接顧客データをもとに製品開発や価値提供をされたり、店頭では、オンラインとオフラインが融合されておりますし、真ん中は、消費者の方々もヘルスケアデータを見て、健康促進、そして特にコロナ禍でさらに変化しました、手軽なオンライン診療なども変化してまいります。

右側の技術進化に関しまして、ヘルスケア、トイレタリー、様々なウェアラブルデバイスを消費者が使い始めており、我々も機会としてとらえておりますし、仮想空間の技術進化、当社で言うと、工場の研修に関して、VR/ARなどを既に使っているのですけれども、様々このような技術進化、あるいは消費者の変化が起きております。こういったところを機会ととらえています。

■小林製薬の特長を活かした変革

小林製薬の特長を活かした変革

先ほどお話しましたが、環境変化をアイデアにするのが我々の特徴というところで、少し定量的な話をさせていただきますと、真ん中にあります全社員提案は、昨年一年間で5万7,100件のアイデアが集まってきております。このうち、約3万5,000件ぐらいが製品アイデアで、残りが業務改善アイデアです。

これは、全社提案のシステムがありまして、そこに全社員のアイデアのデータベースが入っております。

40年ほど続いている文化ですので、これは他社も簡単に真似のできない、我々の文化であり仕組みだと思っております。

結果的に、この多種多様な商品数、157ブランド、1,017SKUが、世の中にご提供できている形でございます。この特徴を生かして、我々のDXをどうしていくのか、後ほど少し触れさせていただきます。

■「あったらいいなDX」の絵姿

「あったらいいなDX」の絵姿

「あったらいいなをカタチにする」というブランドスローガンの中で、あったらいいなDXの絵姿、この1枚が、我々のDXの全体像を物語っているものになります。

この真ん中の戦略1、2、3は、後ほどお話させていただきますが、大きく二つ、上にあります、顧客体験の向上と従業員体験の向上を実現するために、この戦略三つを推進していく。

そして、下にありますのが、我々の業務の流れです。業務の流れ自体もより円滑に行っていくと考えております。

■DXロードマップ

DXロードマップ

そして、このDX戦略1、2、3ですが、ロードマップという形でフェーズを考えております。今年の2月に発表した中期経営計画の中にもあります2030年のありたい姿を目安に、ノーマル期と書いてありますが、最終的にはという形で、DXと言わなくても当たり前になるような状態というところを、まずは考えています。

その中で、フェーズが四つ、フェーズ1からあるのですけれども、フェーズ1、導入期は、今期CDOユニットが新設されましたが、2017年頃から、先ほどありましたシステム部は、守りのITに加えて、攻めのITというものを始めております。製造本部では、おもしろ技術大会という、工場では自動化やロボティクスというのは、もうDXが言われる前から当たり前でしたので、毎年おもしろ技術大会を行って、AIや自動化などをたくさん生み出してきております。

そして、ここ1年ぐらいでは、経営企画を主体に、DX推進担当を中心に、全社的なDXを推進してまいりましたので、市民開発と言われる、システム部ではないユーザー部門が、ノーコードでの開発をするような方々が、今100名弱、Tech部と言われているプログラミングなどを活発に情報交換するような部が、今100名ぐらいいます。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の情報交換をするような部、部というのは少し可愛らしい名前ですが、そういった形で、今既に、デジタル人材と言われているような中にも人もいますし、勉強中の人もいるのですが、延べでもありますけれども、300人ぐらいの方々が、既に積極的な参加をしている状況でございます。

今後は、この2023、2025、2027というのは少し大雑把ではありますが、これまで3年間ぐらい活動してきた導入期が、今、フェーズ2に入って、より実践をしていき、調整というのは、ややバラバラと動いているムラがあるところがありますので、調整をすることによって、ガイドをし、トレーニングをするというようなフェーズ、そして、それを展開、創造し、飛躍していくという、こういったイメージ感を持っています。

実際の戦略1、2、3の内容に関しては、社内では要素分解をして、役割やスケジュールを決めながらロードマップを具体的に進めています。風土改革、これは、後ほどまた触れさせていただきます。

■戦略01 あったらいいな開発のDX

戦略01 あったらいいな開発のDX

まず戦略1、一つ目です、あったらいいな開発のDX。

■人力では見過ごしがちな“お困りごと”をAIの活用でスムーズに発見

人力では見過ごしがちな“お困りごと”をAIの活用でスムーズに発見

二つありまして、一つがデータ、AIを活用したあったらいいな開発のDXです。開発というと、アイデア創造からその後工程含めプロセスがたくさんあるのですけれども、ここで触れていますのは、まずはアイデア創造のところです。

今までは、上の四角にありますように、アイデア創造のインプットや評価は、自分たちの経験や身近な物事・人物が主な情報源でした。もちろんリサーチもしておりますが。そうすると、新規性の高いお困りごとを見過ごしてしまったり、多様性に欠けてしまうことがあったと。ただ、それでも、これまでたくさん商品を出してきました。これからさらに良質な商品を多く生み出していくためには、このこれからというところですね。

真ん中の、あったらいいなAIというものを我々としては開発していこうと思っています。左側を見ていただくと、先ほどお話しさせていただきました、社内提案という、我々の財産と捉えているのですけれども、それが5万7,000件ありますし、今後、今日本語でしか行っていないのですけれども、中国語、英語にも展開していきますので、多様性のあるアイデアが出てきます。

この我々のアセットとともに、左下の世界中のSNSやトレンドの情報を、真ん中で掛け合わせることによって、有望なアイデアを生み出せるような形を目指しております。早く生み出せたり、新しい、いろいろなアイデアが出てきたり、そういったところを目指しています。

■生成AIなど、新しいツールをアイデア創出に積極活用

生成AIなど、新しいツールをアイデア創出に積極活用

少し関連するところですけれども、昨今非常に話題になっている生成AI、ChatGPTを、我々は国内3,200人の全社員が使っております。

海外は、セキュリティやガイドラインがありますので、整理中ですが、8月22日の創立記念日に毎年開催している全社員アイデア大会という、全社員がアイデアを考える日に、今ChatGPTを使うなど、全社員にも、デジタルフレンドリーな環境を用意しています。

ChatGPTも、環境を用意して、ただ渡して、ただ検索してといった形では使いこなせませんので、プロンプトという指示文を、今後しっかり拡充したりして、様々なプロセスで生かせるような形で、業務にしっかりと定着化を図っていきたいと思っています。

■多様な新規事業アイデアからまず1つ、成功事例を生み出す

多様な新規事業アイデアからまず1つ、成功事例を生み出す

戦略1で、もう一つありまして、デジタルサービスです。デジタルサービスと言いますと、左側四角いところ、IoTデバイスやWebサービスアプリ、検査診断、データ、こういったものをテーマにとらえながら、我々のビジネスモデルのヘルスケアに取り入れたりなど、新規アイデアが現在32件ほど出てきております。

一気にこれを進めることではなくて、ここから、まずは成功事例を生み出すと。我々としては、基本的には店頭で販売する、ECもありますけれども、使っていただいて、効果を感じていただくもの、こういったサービスを、まず成功を作っていくと。

右側が、新組織、会議体も今期から設立しております。ヘルスケア事業部内には、ヘルステック開発グループという、こういったサービスを企画するグループが発足しまして、CDOユニット内にも、1月をめどに、新規サービス開発グループと、こういったアプリケーションやデバイスデータをしっかりと形にできるような組織を、もう既に動き始めているのですが、正式には1月に組織化いたします。会議体としても、ヘルステック報告会をスタートしています。

■戦略02 全社員でDX

戦略02 全社員でDX

戦略の二つ目です。全社員でDXです。

■4つのEを主要アクションとして推進

4つのEを主要アクションとして推進

先ほどありました導入期で、各部門、各社員の主体性があり、様々なトレーニングや研修、活動がありました。一方で、バラバラしていたところもありますので、少し整理し、全社で何をするのか、各事業でどういったことをするのかを整理したものになっています。

四つのアルファベットのEを、主要アクションとして推進していきます。

Education、人材育成、デジタル人材の役割やスキル定義ですね。社員のレベルやスキルに応じた研修プログラムの横展開。

二つ目がEnvironment、主体性も大事ですが、環境がないと、しっかりとそのデジタルの活動を生かせなかったりしますので、そういった実践の場を用意しておく。

三つ目がEngagement、情報発信、ブランディング。小林製薬と聞くと、テレビCMで見たことある会社だよねというイメージは、多くの方々が持っていると思うのですが、DXやIT、デジタルと聞くと、小林製薬はおそらく第一想起に上がってくる会社ではないと思いますので、実際、中ではDXやITの活動をしていますので、そのような社内外の発信、ブランディングというのも、今のこれまで培ってきたブランドに加えて発信していきたいと思っています。

四つ目がEmployment、やはり最優先なのは、社内の人材育成ではあるのですが、やはり外部の経験者の採用も、我々としても、ある一定していくことを、もう既に進めております。デジタル人材の採用を強化すると、今までいなかったような、後ほど少し触れますけれども、データとか、アプリケーションを開発する人材が入ってくると、オンボーディングの仕方や評価制度も変わってきますので、こういうことを今、人事と共に整理しております。

この四つのEを主力に、全社員でDXを進めています。

■社員それぞれが、自分にフィットする学習の機会を選択できる

社員それぞれが、自分にフィットする学習の機会を選択できる

それぞれのEの、トピックをいくつかご紹介ですが、一つはEducationです。全社員それぞれが、当社で言うと、研究所で働く方、工場で働く方、本社で、いろいろ仕事がありますので、それぞれの社員にフィットするような、学習機会を選択できるような形で、既に動いているもの、検討しているものがあります。

縦軸を見ていただくと、全社員が選択できるものは、文字が少し小さいのですけれども、オンライン学習のプラットフォームだったり、ITのいろんな便利ツールの研修だったり、最近で言うと、IT企業やベンチャー企業の方に社内で講師になっていただいて、勉強するとか、セキュリティに関しては、皆行っています。

真ん中の列で言うと、より高度なデジタルの仕事をするメンバーに関しては、例えばプロトタイピングやプログラミング、データサイエンスの研修を用意したりなどします。

そして、さらにチャレンジ意欲のある人に関しては、社内のCDOユニット内での副業だったりとか、右側ですね、越境学習という形で、ベンチャー企業やIT企業に期間を決めたり、リソースを決めて、留学するような制度なども考えています。

■企業で初めて「プロトタイプの学校 for Biz」(IDEO社)を実施

企業で初めて「プロトタイプの学校 for Biz」(IDEO社)を実施

Educationの中で、5月に、プロトタイピング研修を30名ほど、ヘルスケア事業部、日用品事業部、CDOユニットで参加しました。その後、私も、それぞれのこのデバイスや、アプリケーションのプロトタイプで試作品を作った、アウトプットを全部見たのですけれども、やはり小林製薬の社員は、アイデアを見つけてきて形にするのが元々得意というのがありますので、こういったアプリケーションも、とても手触り感があって、手応えを感じていますので、しっかりとガイドして、トレーニングしていくと、小林製薬のポテンシャルは最大化できると感じています。

■デジタル人材に向けた情報発信と魅力的で生産性の高い環境づくりを推し進め、積極的な採用を行う

デジタル人材に向けた情報発信と魅力的で生産性の高い環境づくりを推し進め、積極的な採用を行う

Environmentです。先ほどあった情報発信に関しましても、今年の6月にLinkedInとnoteというSNSとブログのようなものを開設しまして、我々の製品以外の社内にあるような魅力を発信したりしております。

そして9月には、企業のオウンドサイトという形で、noteというのは、主に採用目的の発信なのですが、オウンドサイトは、会社のあらゆる魅力を発信していくようなサイトが開設します。よろしければ、ぜひこちらもフォローいただいたり、見ていただけるとありがたいなと思っています。

オフィス環境づくりですが、今年の11月に当社で言うとシステム部が入っているオフィスが本社の近くにあるのですが、そこのオフィスが、ちょうどタイミング良く、増床するタイミングですので、この画像のような雰囲気、毎日会社に行って楽しいとか、生産性が上がるような、そういったオフィスづくりなどもしてまいります。

■デジタル人材が注目するメディア、イベントに積極的に露出

デジタル人材が注目するメディア、イベントに積極的に露出

そして、先ほどEngagement、ブランディング、発信のところですが、既に今年、いろいろなメディアさんや、イベントなどでも、小林製薬の露出を増やしておりまして、去年の1~8月、今年の1~8月、比較すると、約10倍ぐらいのメディアさんへの記事や登壇などの露出が増えております。

ですので、実際、面接もたくさんしているのですが、こういった記事を見ました、この企業研究をしていますということで、当社に、デジタルに関心を持った方々も、実際増えてきています。

■デジタル新規事業を遂行する人材の採用を強化

デジタル新規事業を遂行する人材の採用を強化

Employmentです。先ほどのデジタルサービス開発というと、これまでの店頭製品の開発とはやはり異なります。大きく、この立ち上げ期と育成期、それぞれいろいろな、こういうふうにサービスを作っていくのですが、そのサービスを作っていく上で、組織づくりや採用は、まだ当社、ノウハウが強くありませんので、Sun Asterisk様というデジタルサービス開発と人材組織づくり、採用が両方得意な会社さんと協業をして、組織体制や採用のプロセスなども緻密に今、進めております。

■デジタル人材の採用強化中。現在10職種を募集中であり、順次募集職種を拡大中

デジタル人材の採用強化中。現在10職種を募集中であり、順次募集職種を拡大中

そして今年の6月に新たに10職種、こういった形でリリースいたしました。

文字は小さいですが、上のほう、HRBPというデジタルの経験があるような人事労務、先ほどありました制度も変わってきますので、そういった職種から、新規サービス開発をするような、新規サービス開発プロダクトマネージャー、UIのデザイナー、システムに関しても、我々は、比較的各事業部に紐づいて、システムを作ってきました。今後、グローバル化など、全体の戦略や整理整頓が必要になりますので、ITのプロジェクトマネージャー、引き続き強化していくセキュリティ、こういった形で今、採用を進めています。

この2カ月ぐらいですが、非常に多くの募集も増えていますし、こちらから、ダイレクトリクルーティングという形で、積極的に今、行っていますので、私自身も毎週相当な数の面接や新たな方々に会っております。

■戦略03 生産性向上

戦略03 生産性向上

戦略3が生産性の向上です。

■従業員体験の向上によりDXを推進

従業員体験の向上によりDXを推進

こちらは、従業員体験の向上によりDXを推進するというところで、大きく三つ掲げております。

一つ目が、働き方改革とデジタルワークプレイス、DWPと略させていただいておりますが、時間、場所、デバイスにとらわれない、デジタルワークプレイスの拡充です。

当社、ここ20年ぐらい、様々な製品や事業が増えてきましたので、システムが全て滞りなく繋がっているか、スムーズかというと、決してそうではありません。ここがスムーズになってくると、従業員の生産性、働き方が変わってきますので、そういったところをまず、一つ目に置いております。

二つ目は、先ほどもありましたように、国内外、様々な事業や拠点が広がっていっておりますので、いろいろな国からいろいろな製品を、例えば情報やデータにアクセスできるかというと、まだ完全にスムーズではありません。こういったことを我々のロードマップに落としながら、タイムリーな情報提供やデータを見られる活用基盤などを行っていこうと思っていますし、全てカスタムで開発するだけではなくて、SaaSやパッケージの活用も既にしているのですけれども、さらに強化をしていこうと思っています。

三つ目が最先端のセキュリティです。昨今、ランサムウェアなどのニュースも多いですし、当社でいうと、今後、サービス開発で消費者向けのサービスを作っていきますので、こういったところで、セキュリティもまた一段、二段とレベルアップしないといけないと思っています。

■戦略03 生産性向上

戦略03 生産性向上

こちらも、ここ数年いろいろな活動をしてきていますので、少しトピックとしてお伝えさせていただきます。

一つ目の、先ほどの働き方変革とDWPですが、既にRPAを活用して14万時間ぐらい、業務を削減しております。ネットワークも、この3年で、コロナ禍で、全社員がWeb会議を使うようになったりすると、ネットワーク関係も実はしっかりとやっていかないと生産性が上がりませんので、こういったところも行っています。

二つ目が、全従業員の3,500人ぐらいから、システムで様々な問い合わせが来ます。年間数千件の問い合わせが来ます。これも整理されていないわけではないのですが、個別対応が多いので、そこもしっかりナレッジ化、システム化をしております。データ基盤も、先ほど触れた通り、今期から、今後どのようなデータを整理して、今後どういったアーキテクチャにするかも考えております。

セキュリティに関しても、先ほどお話しました生成AI、ChatGPTを使いましょうということは、簡単にできるのですが、ある一定のセキュアな環境や、ポリシーがないと、安心して使えませんので、そういったものを担保しながら、新しいテクノロジーやツールを使っていこうと思っております。

最後、セキュリティに関しましては、2011年からセキュリティオペレーションセンター、SOCを準備しておりまして、24時間365日体制で監視しておりますが、今後、拠点や事業が広がりますので、これも引き続き拡大していきます。

■デジタルで従業員体験の向上

デジタルで従業員体験の向上

このデジタルで、従業員の体験の向上ということで、この従業員を、前半は顧客に対してでしたが、従業員を真ん中にとらえて、ビジネスアプリケーション、コミュニケーション、コラボレーション、セキュリティ、クラウド、こういったところで、デジタルワークプレイスを充実するか、こういったイメージを考えています。

■プロセスと情報を統合管理

プロセスと情報を統合管理

先ほどありました問い合わせですね、これも一例です、いろいろ取り組んでいる中で。こういったプロセスと情報を統合管理というところで、左側、各事業部から、色々な問い合わせが来て、年間数千件の社内の問い合わせが来ています。

これを様々なルート、電話やポータルによるチャット、ある程度しっかりとログを取ったりとか、一元化して、この下にナレッジのデータベースのようなものを作ると、今の数千件の問い合わせというのは、同じような問い合わせが来たりとか、本当は情報が見つけやすければすぐに解決できるような内容もありますので、こういった形でナレッジデータベースを作り、一次窓口、二次窓口、そして問い合わせの傾向だったりとか、そもそも問い合わせ自体が減っているかどうかというのもモニタリングしていくような仕組みを作っていこうと思います。

資産管理に関しましても、できていないわけではもちろんないのですが、サーバーやこのサービスですね、最近ノーコードのツールやSaaSの導入は、当社に限らず各社とても広がっていますが、そのサービス、デバイス、こういったところの資産管理、棚卸というのも、改めて強化していかないと、結構作りっぱなし・導入しっぱなしになってしまったツールも増えてしまうので、整理をしていくという形でございます。

■セキュリティ対象の拡大と対策強化

セキュリティ対象の拡大と対策強化

3番、セキュリティです。セキュリティに関しては、これまでは情報セキュリティを中心に強化してきたのですが、工場や研究所を含めた、制御セキュリティを拡大していきます。

そして、先ほどありました消費者向けのサービスを展開しますので、製品・サービスセキュリティといったところ、ですので、今までは左が中心だったのですけれども、この三つをより拡大していくといった形です。

そしてセキュリティに関しても、何か起きた時に対応するということはもちろんですけれども、やはり、戦略的なセキュリティのプランが必要だと思っていますので、このようなアセスメント、脆弱性管理、セキュリティ体制強化、インシデント対応というところで、しっかりと組織を構築していこうと考えています。

■DXを推進するための風土改革も、様々な施策で実施

DXを推進するための風土改革も、様々な施策で実施

冒頭で触れた風土改革です。DXとなると、何となくデジタルの手段の話が多くなってしまうかと思うのですが、やはり、こういった風土や考え方自体も、一緒にみんなで進化していこうということが大事だと思っています。

既に社内で取り組んでいるものですので、成長対話だったり、心理的安全性研修、従業員が会社の未来を語る場、最近積極的に増やしているのは、外部の企業見学、こちらも先月、とあるベンチャー企業の経営者の方が、当社の講演に来ていただいて、社長、役員以下300人ぐらいがオンライン、リアルで参加し、その後は、みんなで学びになったり、こうしたいという、こういった取り組みをしております。

■目指す姿

目指す姿

最後は、目指すべき姿というか、少し宣言めいた形になってしまうのですが、3年以内には関西でデジタルの仕事をするなら小林製薬、と言われるような状態を目指しておりますし、2030年には、メーカーでデジタルの仕事をするなら小林製薬、という状態を目指しています。

資料化はしてないのですが、この、関西というキーワードを使っている理由も、私は、東京のIT企業などで働く期間が長かったのですが、関西と東京だと、企業数で3~4倍ぐらいの差があると思います。実際デジタルの情報や人材は、10倍、20倍ぐらいの差があるので、これだけ優良企業が関西にも多いにも関わらず、情報と人材の偏りが多いなと。

他にも頑張っていらっしゃる会社さんはいますが、小林製薬が、デジタルで働くなら関西というイメージを作ると、関西自体も盛り上がると思っています。到底当社だけではできないと思っていますが、この関西の企業の皆様と、関西自体を盛り上げて、こういった状態を目指していきたいと思っております。