ニュースリリース
紅麹関連製品をめぐる当社対応の検証について
小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、2024年3月22日付「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」の第1報から4月8日付の第9報までのお知らせにてご報告した件に関し、本日開催の臨時取締役会において、当社による一連の対応の適切性を事後的に調査・検証するべく、その方針、体制および方法を決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
記
1.臨時取締役会決議の背景
当社は2024年3月22日、当社販売の紅麹関連製品にて一部の紅麹原料に当社の意図しない成分が含まれている可能性が判明したことを発表しました。
この度は、国内外の多くのお客様、お取引先様に多大なご迷惑をおかけし、また、当社を取り巻くすべてのご関係の皆さまに不安や恐れを感じさせ、大変な思いをさせてしまったことと、今回の件が社会問題にまで至ってしまったことにつきまして、あらためて深くお詫び申し上げます。
上記の発表以降、当社におきましては全社を挙げて、紅麹関連製品の使用中止の呼びかけ、自主回収、想定していない成分の特定、想定していない成分を含む可能性がある製品の特定、紅麹関連製品と腎疾患等との関連性の有無の検証などに注力してまいりました。いまだ解明できていない点が多々残されておりますが、引き続き、これらの対応を鋭意進めてまいります。
これとは別に、
・最初に症例報告がなされて以降の一連の対応につき、健康被害の発生防止の観点、また、お客様・お取引先様・株主様をはじめとするステークホルダーの皆様方のご信頼に応えるという観点で、適切な対応がなされたと言えるのか、
・これまでの食品衛生法違反による行政処分のほか、その他の法規制の遵守に問題はなかったか、
・当時の意思決定やその基盤となるコーポレートガバナンスに問題はなかったのか
を検証し、再発防止策を練り上げるとともに、経営責任や法的責任の有無を明確化し、その結果を踏まえ、今後の経営体制についても検討しなければなりません。
これらの検討を一次的に行うべきは、株主様から当社の経営を委ねられた取締役会の職責といえます。そこで当社取締役会はその職責を果たすべく検討を重ね、本日、次のように調査・検証を進めることを決議いたしました。
2.調査・検証の方針、体制および方法
(1)紅麹問題における一連の当社対応につき、取締役会が主導的に調査し、事後的検証を行う。
(2)取締役会は3名の社内取締役と4名の社外取締役の合計7名で構成されているところ、取締役会による事後的検証に独立性と客観性を確保すべく、小林一雅代表取締役会長、小林章浩代表取締役社長、山根聡専務取締役には特別利害関係があるとみなし、当該3名は紅麹問題の事後的な検証においては審議・決議に加わらず、残りの社外取締役4名のみにて調査・検証を進める体制とする。
また、取締役会が実効的に調査・検証を行うことができるよう、取締役会にて独自の法務アドバイザーを選任する。
(3)本件の事後的検証においては当面、次の事項を重要な検討課題と位置づける。
① 症例報告後の事実経過の調査
当社に腎疾患等の症例が報告されたのは2024年1月中旬であったところ、同年3月22日に上記発表を行うに至るまで、社内でいかなる観点でいかなる検討、情報共有がなされ、どのように意思決定がなされてきたのか、証拠に基づく詳細な事実認定が必要となる。
② 内部統制システム・品質管理体制の精査
平時より内部統制システムや品質管理体制がどのように構築・運用されていたのか、それらの構築・運用状況は実効的であったといえるか、本件への対応はそうした内部統制システムや品質管理体制から乖離する点はなかったのか、証拠に基づく事実認定が必要となる。
③ 法規制への適合性確認
これまでの食品衛生法違反による行政処分のほか、本件にいかなる法規制が適用される可能性があり、上記の事実認定を前提とした場合、関連法規制を適法・適切に遵守したといえるか、検証が必要となる。
④ 公表時期の是非
当社は2024年3月22日に、想定していない成分を含む可能性がある製品が販売・流通したことを発表し、使用中止の呼びかけと自主回収を開始したところ、消費者の健康被害の防止という観点で公表時期は適切であったといえるか、検証が必要となる。
(4)上記4点の主要検討事項のうち、①症例報告後の事実経過の調査と②内部統制システム・品質管理体制の精査については、一連の対応についての事後的な検証の土台となることから、できる限り早急に独立性・客観性・実効性のある調査・検証を行うべく、法曹三者出身の専門家からなる事実検証委員会を次のとおり設置する。
<事実検証委員会の構成>
委員長 貝阿彌 誠(弁護士 大手町法律事務所所属(元東京地方裁判所所長・東京高等裁判所部総括判事))
委 員 北田 幹直(弁護士 北田幹直法律事務所所属(元大阪高等検察庁検事長))
委 員 西垣 建剛(弁護士 GIT法律事務所所属)
<事実検証委員会の独立性>
上記委員の独立性につき、当社と何ら関係がないことを確認した。
<事実検証委員会への主たる委嘱事項>
i.症例報告後の事実経過の調査
ii.内部統制システム・品質管理体制の精査
その他、調査の進捗等を踏まえ必要に応じ、委嘱事項を追加する
(5)上記4点の主要検討事項のうち、③法規制への適合性確認と④公表時期の是非については、当社取締役会としても真摯に検討すべきであるところ、(i)健康被害の原因物質の特定、腎疾患等の発生との因果関係・関連性などがいまだ特定されておらず、医学的見地その他の専門的な知見による検証が必要となること、(ii)それらの検証には長期間を要す可能性が高いこと、(iii)一次的な評価と判断は行政と司法に委ねるべき事項でもあること、(iv)実際にも行政庁による調査がすでに一部で行われていることなどの事情を考慮し、当面、当社が行政による調査に公正かつ全面的に協力するよう、取締役会としての監督義務を尽くすことに注力する。
もちろん、取締役会としても外部専門家の意見を得るなどしながら、法規制への適合性や公表時期の是非について独自に検討を深める。
事実検証委員会の調査の過程で、当社による組織的な隠蔽、恣意的な対応、法規制違反などが判明した場合には当然、事実検証委員会への委嘱事項を追加するなどし、厳格な調査・検証を直ちに行い、行政庁にも即座に報告する。
(6)取締役会の主導による調査・検証の結果は随時、監査役にも共有し、監査役による調査・検討に協力する。
3.今後について
当社取締役会としては今後、上記のような方針・体制・方法での調査・検証を進め、事実検証委員会による調査報告、行政庁による調査・処分の進捗や見通し、法規制への適合性や公表時期の是非についての取締役会独自の考察結果などを踏まえ、事実経過の認定、経営責任の明確化、再発防止策の策定、今後のコーポレートガバナンスや経営体制などを検討し、できる限り早期に、その結果を公表することができるよう最大限、努めてまいります。
以上
(ご参考)事実検証委員会委員略歴
氏名
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年
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経歴内容
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貝阿彌 誠
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1978年
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裁判官任官
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2000年
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東京地方裁判所 部総括判事
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2007年
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法務省大臣官房 訟務総括審議官
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2009年
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和歌山地方・家庭裁判所 所長
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2011年
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長野地方・家庭裁判所 所長
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2012年
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東京高等裁判所 部総括判事
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2014年
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東京家庭裁判所 所長
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2015年
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東京地方裁判所 所長
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2017年
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弁護士登録
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北田 幹直
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1976年
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検察官任官
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2002年
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外務省大臣官房監察査察官
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2005年
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津地方検察庁検事正
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2008年
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千葉地方検察庁検事正
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2009年
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公安調査庁長官
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2010年
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札幌高等検察庁検事長
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2012年
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大阪高等検察庁検事長
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2014年
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弁護士登録
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西垣 建剛
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2000年
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弁護士登録
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2004年
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ニューヨーク大学ロースクール(LL.M.)修了
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2005年
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ニューヨーク州弁護士登録
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