ニュースリリース

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2018年7月3日

殺菌消毒成分の"ヨウ素"に、
のどから感染するウイルスを幅広く殺菌できる効果を確認

日本防菌防黴(ぼうきんぼうばい)学会誌(2018年4月号)に掲載

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、特定非営利活動法人(NPO)バイオメディカルサイエンス研究会と協力し、殺菌消毒成分"ヨウ素"に、のどから感染するウイルスを幅広く殺菌できる効果を確認いたしました。本研究成果は学術誌『日本防菌防黴学会誌』に掲載されました(2018年4月号)。
本成果は、小林製薬の外用医薬品に活用してまいります。

研究の概要

近年、新型インフルエンザウイルスや、SARS(サーズ)MERS(マーズ)などが次々と報告されています。また、世界保健機関(WHO)によるパンデミック宣言などをきっかけに、生活者の感染症への予防意識はますます高まっており、効果的な予防法・治療法が期待されています。

のどはウイルスが感染するルートの一つです。感染すると、のどに痛みや腫れが起こり、悪化すると発熱などの全身症状に広がります。のど風邪の8割以上がウイルスに起因すると考えられているため、感染する様々なウイルスに効果のある殺菌消毒剤が求められています。

ヨウ素は、ワカメなど海藻類にも多く含まれる天然成分で、古くから殺菌消毒に使われてきました。その作用メカニズムは、細菌やウイルスを包む膜(タンパク質)の性質を変えて殺菌するものです。

今回の研究では、『のどから感染する代表的なウイルス5種類(図1)』に対して、"ヨウ素"が幅広く殺菌できることを確認しました。

図1 のどから感染する代表的なウイルス

のどから感染する代表的なウイルス

※イメージ図

今回の研究により、"ヨウ素"を含む殺菌消毒剤は感染初期段階での対処や予防に特に有用であり、生活者のセルフメディケーションに貢献できるものと考えられます。

研究の詳細

【研究の方法】

型の異なる3種類のインフルエンザウイルスに対して、ヨウ素、ポビドンヨード、セチルピリジニウム塩化物水和物、アズレンスルホン酸ナトリウム、エタノールを15秒間作用させ、その殺菌効果を評価しました。

また、3種類のインフルエンザウイルスに加えて、急性上気道炎や咽頭炎の原因となるコロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、ライノウイルスに対して、上記成分を含むのど用剤を15秒間作用させ、その殺菌効果を評価しました。

【研究結果】

1.ヨウ素やポビドンヨードはインフルエンザウイルスを殺菌する。
ヨウ素とポビドンヨードは、インフルエンザウイルスを殺菌することが分かりました。また、ヨウ素のみ、濃度0.1%でも効果が確認できました(図2)。これは、ポビドンヨードに含まれるヨウ素量が全量の約10%であることが要因の一つと考えられます。

図2 インフルエンザウイルスへの効果

インフルエンザウイルスへの効果 インフルエンザウイルスへの効果

2.ヨウ素を含むのど用剤は幅広いウイルスを殺菌する。
ヨウ素を含むのど用剤は、インフルエンザウイルスをはじめ、コロナウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど、幅広いウイルスを殺菌することが分かりました。殺菌消毒剤への耐性が高いとされるアデノウイルスに対しても効果が認められたことは、ヨウ素の高い殺菌力を示したものです。

図3 のどから感染する代表的なウイルスへの効果

のどから感染する代表的なウイルスへの効果 のどから感染する代表的なウイルスへの効果

また、近年、抗生物質の不適正使用による薬剤耐性菌の出現が大きな社会問題となっており、2017年6月には、厚生労働省が「風邪には抗生物質を使わないことを推奨する」という手引きを出して警鐘を鳴らしています。これに対してヨウ素は、細菌やウイルスのタンパク質を変性させて(性質を変えて)死滅させるという抗生物質とは異なるメカニズムのため、薬剤耐性菌を作らないというメリットもあるのです。

【耳鼻咽喉科医師のコメント】

川本将浩先生(耳鼻咽喉科川本医院 院長)
『のどはウイルスが感染するルートの一つです。感染すると、のどに痛みや腫れが起こり、悪化すると発熱などの全身症状に広がります。ウイルスに対して殺菌効果を持つ"ヨウ素"を含むのど用剤等は、初期段階での対処や予防といったセルフメディケーションとして有用と考えられます。ただし、症状が治まらない場合は病院で医師の診察を受けて欲しいと思います。』

【ヨウ素研究の今後について】

研究開発担当:野崎学、小原文太
当社では、海藻類にも豊富に含まれ、殺菌力に優れたヨウ素そのものにこだわって研究開発を続けてきました。今後、ヨウ素がウイルスを殺菌している様子のビジュアル化や、のどの症状がどのように改善するかといった臨床的研究に取り組んでまいります。また、多くの方に今以上に自信を持ってお薦めできるよう、使用感や効果実感の向上を目指したヨウ素剤の進化や、更に使いやすい容器や仕様の開発にも挑戦したいと考えています。そして、ヨウ素の有用性について分かりやすく情報発信することで、殺菌・消毒にはヨウ素が一番と思っていただける未来を目指していきます。

研究開発担当:野崎学、小原文太

【用語解説】

  • ○ヨウ素
    元素記号「Ⅰ」。酸化力による殺菌作用を示す。
  • ○ポビドンヨード
    水に溶けにくいヨウ素をポリビニルピロリドンと結合させたもの。ヨウ素量は全量の約10%。
  • ○セチルピリジニウム塩化物水和物
    第4級アンモニウム塩で、レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、真菌に殺菌作用を示すとされる。
  • ○アズレンスルホン酸ナトリウム
    カミツレ(カモミール)に含まれているアズレンを安定化させたもの。抗炎症作用がある。

以上