ニュースリリース

レポート

ふきとりケアがニキビ・肌あれ予防/改善のカギ!
洗顔後でも角質層には菌・汚れが潜んでいる!!
―2019年11月27日 第85回日本化粧品技術者会研究討論会(東京)にて発表―

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩)は、洗顔後の角質層には『洗顔で落としきれなかった皮膚常在菌(アクネ菌など)・汚れ』が潜んでいることを発見いたしました。

角質層

本研究成果は、2019年11月27日に東京都で開催された「第85回日本化粧品技術者会研究討論会」にて発表。

*角質層:表皮の最外層に位置し、体内からの水分蒸発を防ぎ、外部刺激から守る役割を果たす。
角質とも呼ばれる。角質細胞が層状に重なった構造をとっている。

研究の背景

ふきとり化粧水を含ませた化粧用コットンでお肌をふきとるスキンケア(ふきとりケア)は、古くから美容目的で行われています。当社はこのふきとりケアによってニキビ・肌あれの原因となるアクネ菌・古い角質・皮脂汚れを除去することがニキビ・肌あれの予防・改善に効果的であると考え、効果検証および作用メカニズムの解明を進めてまいりました。

これまで当社では、殺菌成分・抗炎症成分を配合したふきとり化粧水による皮膚常在菌・角質・皮脂汚れの除去効果*1、及び、殺菌成分・抗炎症成分を配合したふきとり化粧水の4週間連用によるニキビ・肌あれの予防/改善効果*1を確認しております。

本研究では、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた洗顔後の角質層の観察により、洗顔でも落としきれていない皮膚常在菌や汚れが残存しているか、また次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析により、洗顔後の角質層に残存する皮膚常在菌の種類について確認いたしました。

*1日本防菌防黴学会第45回年次大会、日本薬学会第139年会にて発表

研究結果 ダイジェスト
  • ・洗顔をしても角質層にはまだ皮膚常在菌・汚れが残存していることを発見した。
  • ・角質層表面だけでなく角質層内部*2にも皮膚常在菌・汚れが潜んでいることが明らかとなった。
  • ・洗顔後の角質層にアクネ菌が残存していることが明らかとなった。(ニキビ肌女性の一例)

*2「角質層内部」とは角質細胞の裏面や角質細胞間のこと

今後、製造販売する製品に、今回の知見を活かしてまいります。

試験方法:

走査電子顕微鏡(SEM)観察
20~30代女性5名の洗顔後のフェイスラインの同一部位にテープを貼ってはがすこと(テープストリッピング)を5回繰り返し、角質細胞を採取。採取した角質細胞の表面・裏面を走査電子顕微鏡(SEM)にて観察した。

遺伝子解析
ニキビ肌の30代女性1名の洗顔後のフェイスラインをテープストリッピングし、角質細胞を採取。採取した細胞のDNAを抽出し、次世代シーケンサーを用いて角質層中に存在する菌種の同定・存在比率の解析を行った。

研究の結果

20~30代女性の洗顔後のフェイスラインの角質層をテープストリッピングにより5枚目まで採取し、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて角質層表面および角質層内部を観察しました。その結果、洗顔後の角質層の表面に皮膚常在菌が残存していることを発見いたしました(図1A)。さらに角質層表面だけではなく、角質層内部にも皮膚常在菌や汚れが存在していることが明らかとなりました(図1B,C,D)。皮膚常在菌や汚れの一部は混じり合ったり、角質細胞にべったりと貼り付いた状態で存在していました(図1C,D)。

また、ニキビ肌の30代女性の洗顔後の角質層を採取し、次世代シーケンサーを用いて遺伝子解析を行いました。その結果、洗顔後の角質層から、ニキビの原因となるアクネ菌が検出されました(図2)。

*「角質層内部」とは角質細胞の裏面や角質細胞間のこと

■ 図1: 洗顔後の角質層の電子顕微鏡写真
A:角質層表面(テープ1枚目)、B:角質細胞裏面(テープ5枚目)、C,D:角質細胞裏面(テープ3枚目)

A BC D

■ 図2: 洗顔後の角質層の遺伝子解析結果(30代ニキビ肌女性の一例)

図2:洗顔後の角質層の遺伝子解析結果(30代ニキビ肌女性の一例)

以上の結果より、洗顔後でも、角質層表面や角質層の裏面や角質細胞間にニキビ・肌あれの原因となるアクネ菌などの皮膚常在菌や汚れが潜んでいることが明らかとなりました。当社のこれまでの研究成果からも、古い角質とともにアクネ菌などの皮膚常在菌や汚れを物理的に除去することのできる「ふきとりケア」は、ニキビ・肌あれの予防/改善に効果的なスキンケア方法であると考えられます。

【用語解説】

・走査電子顕微鏡(SEM):光よりも波長の短い電子線を利用することで、数nm程度の微細な構造を観察することのできる顕微鏡。

・次世代シーケンサーを用いた遺伝子解析:大量の遺伝子(DNA)の塩基配列を高速で解析する装置(次世代シーケンサー)を用いて試料中のDNAの塩基配列を決定し、その遺伝情報をもとに生物種の同定、存在比率の解析などを行うこと。

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