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コンタクトレンズユーザーに愛され続けて25年、
目を丸ごと洗う新習慣を生んだ小林製薬「アイボン」誕生物語

  1. I.「アイボン」誕生秘話
    1.「アイボン」のルーツ
    2.異例の長期におよぶ開発
    3.限定販売から大ヒット
    4.ぶれない姿勢
  2. II.進化し続けた25年
    1.ニーズに応えて拡充
    2.防腐剤フリーへ
    3.眼病予防に貢献するブランドを目指して
    4.「アイボン」独自のアイカップ
  3. III.これからの「アイボン」
  4. APPENDIX
    1)コンタクトレンズユーザーの目を取り巻く環境の変化
    2)ニーズに応えてラインナップが充実
    3)ニーズをとらえたCMコミュニケーションの変遷

I.「アイボン」誕生秘話

コンタクトレンズ使用後の“目全体を洗う”という洗眼薬「アイボン」が、誕生から今年で25周年を迎えます。
目を洗うという習慣が一般的ではなかった中、コンタクトレンズ使用者というあえて少ないユーザー層を狙うことで洗眼薬の新市場を創造した「アイボン」は、小林製薬の「小さな池の大きな魚」というマーケティング戦略を体現し、大きな成功を収めた製品です。小林製薬のニッチ戦略を凝縮した「アイボン」のこれまでを振り返ってみます。

■1.「アイボン」のルーツ

「アイボン」誕生のルーツは、コンタクトレンズがまだまだ普及していなかった1980年代までさかのぼります。その当時、目を洗う「洗眼薬」はスイミング用の児童向け製品があるだけ。目を洗う=プールの後、というのが一般常識でした。
そんな中小林製薬では、コンタクトレンズの使用は目に負担をかけるのではないかという発想のもと、「コンタクトレンズ使用者」にターゲットを絞り、まだまだマイナーだった洗眼薬に焦点を当て直しました。「コンタクトレンズは洗うのに、なぜ目は洗わないの?」という素朴な疑問から、「コンタクトレンズユーザーのための洗眼薬」というコンセプトが生まれたのです。

汚れているコンタクトレンズ ※TVCM素材より

汚れているコンタクトレンズ
※TVCM素材より

■2.異例の長期におよぶ開発

コンタクトレンズユーザーのための洗眼薬として開発が始まった「アイボン」でしたが、それまで小林製薬には洗眼薬を開発した経験がなく、薬液の配合などを一から探るという手探り状態でのスタートでした。
その当時、新製品開発の現場では、開発責任者と経営トップだった小林一雅社長(現・代表取締役会長)による1対1での対話が基本的なスタイル。洗眼薬に思い入れが強かった社長の厳しい要求に対して、開発陣も負けじと応えるというやりとりの中で「アイボン」の開発は進められましたが、社長の妥協しないこだわりの姿勢ゆえに製品化にはなかなかたどり着けず、時には開発中止命令が出され、「アイボン」はお蔵入りの危機に直面することもありました。7年の開発期間を経て、ようやく製品化前までこぎつけることが出来ました。

■3.限定販売から大ヒット

小林製薬の中でも前例のない長期の開発期間を経た「アイボン」でしたが、製品化された時点ではコンタクトレンズ使用者はまだまだ多くありませんでした。そこで、「コンタクトレンズが普及している地域から」という社長の着想で、1995年10月に「関東地区限定」での発売となりました。
ターゲットを「コンタクトレンズユーザー」に絞った「アイボン」は、発売間もなく大ヒット製品に。しかし、市場の高い需要に応えるには、無菌製剤の設備を早急に拡大させなければならないという難問がのしかかってきました。そこで日本各地からパートナーとして協力してくれる無菌製剤メーカーを探し、その設備も活用するなど工夫することで、洗眼薬液の生産量を飛躍的に増やすことに成功。1996年4月、「アイボン」は晴れて全国発売され、日本中のコンタクトレンズユーザーに「目を丸ごと洗う新習慣」を届けられるようになりました。

初代「アイボン」

初代「アイボン」

■4.ぶれない姿勢

「アイボン」の大ヒットを受けて「裸眼の人やメガネをかけた人もターゲットにしたらどうか?」という意見が社内から出ましたが、社長はこれを一蹴しました。「コンタクトレンズユーザーという限定されたマーケットに強いブランドを当てることが重要である」という社長の考えは、「小さな池の大きな魚」という小林製薬のマーケティング理念を強く反映させたものでした。

II.進化し続けた25年

■1.ニーズに応えて拡充

「アイボン」が切り開いた洗眼薬市場には、競合他社が次々と参戦したこともあり、洗眼薬市場全体が大きく拡大しました。
競合品に負けじと「アイボン」も花粉対策の「AL」、爽快感を持たせた「クール」、ビタミンを配合した「Wビタミン」など、時代が求める商品を加えていき、コンタクトレンズユーザー向けという軸はぶらすことなく進化を続けてきました。

第三類医薬品

第三類医薬品

<販売名>
上段左から:アイボンwプレミア、アイボンd、アイボンクール c、アイボンマイルド c
下段左から:アイボンうるおいケア、アイボンAL d、アイボン メディカル a、アイボン トローリ目薬 ドライアイ
<効能、効果>
アイボントローリ目薬ドライアイを除く全ての製品:目の洗浄、目病予防(水泳のあと、ほこりや汗が目に入ったときなど)
アイボントローリ目薬ドライアイ:涙液の補助(目のかわき)、ハードコンタクトレンズまたはソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感、目の疲れ、目のかすみ(目やにの多いときなど)

■2.防腐剤フリーへ

また当時、市販の目薬や洗眼薬の中で防腐剤フリーの製品がごくわずかな中で、「アイボン」は2003年に防腐剤を使わない「防腐剤フリー」を達成しました。少しでも目に良いものを、という思いで取り組んだ防腐剤フリー化では、製造現場で従業員の管理を厳格に行う必要がありました。たとえば、「作業服は洗濯後に高温で滅菌」「ICタグで管理された作業服は着用100回で廃棄」「無塵服と手袋は二重に着用」など厳しい基準が設けられています。

※防腐剤とは、ベンザルコニウム塩化物、パラベン等のことを指します。

■3.眼病予防に貢献するブランドを目指して

花粉や黄砂、長時間のPC・スマートフォン利用に伴うドライアイなど、年々、「目の環境」が過酷になっていく中で、小林製薬の研究チームは「アイボン」の安全性や有効性についての研究成果を国際学会で発表したり、眼科医に情報を提供したりしています。

たとえば、「アイボン」の「花粉症に伴う目アレルギー症状」への有効性を報告しています。花粉症治療において花粉など抗原を取り除く対症療法は有効ですが、洗浄に水道水を用いると角膜障害など感染症を発症するリスクがあることが知られています。
小林製薬では花粉症に対する洗眼で「アイボン」を使った場合、弱酸性の「アイボン」では花粉から抗原が溶け出すリスクが少ないことを発見。花粉症を抱える被験者を使った実験では、「アイボンWビタミン」を使って洗眼することで、痒みなどの花粉症で現れる自覚症状が有意に低減し、その効果が2時間も持続することを確かめており、論文でも発表しました。
「アイボン」は、数ある小林製薬の製品ブランドの中で指折りの論文発表数を誇ります。眼病予防に貢献するブランドをめざし、日夜、研究・改良を続けています。

「アイボン」の研究に励む様子

「アイボン」の研究に励む様子

「アイボン」の学術活動

「アイボン」の学術活動

■4.「アイボン」独自のアイカップ

「アイボン」の誕生には洗眼薬液を入れる「アイカップ」の開発が不可欠でした。理想は水泳中でも目に水が入らない「ゴーグル」。プール用のゴーグルのフィット感であれば、使用時に液が漏れることもないというわけです。
開発担当者はスポーツ用品店でゴーグルを購入し、徹底的に形状を研究。プラモデル用のパテと耐水ペーパーで原型を作り、それをもとにシリコン製のアイカップを試作しました。当時の社長だった一雅も着用テストに加わり、時にはびしょ濡れになりながら納得のいくフィット感を求めて試作されたアイカップは、50種類に及んだのです。
試作段階から念入りに研究された「アイボン」のアイカップでしたが、一部のお客様からは「使用時にカップから液が漏れる」という声が寄せられました。
そこで2013年、カップの端に柔らかい素材の「ふち」を付けることでより高いフィット感を追及しました。3Dプリンターを駆使して異なる樹脂を用いて40パターンを試作し、カップ底部分の直径を0.1mm単位で調整するなど15か月に及ぶ試行錯誤を繰り返してようやく完成した新しいアイカップは、見事にお客様から高い評価をいただきました。

また、同年には小林製薬製品で初めてグッドデザイン賞を受賞するなど、「アイボン」の魅力を構成する重要な要素として、アイカップは存在感を示しています。

試作段階から完成品まで、各段階のカップ

試作段階から完成品まで、
各段階のカップ

「グッドデザイン賞」の賞状

「グッドデザイン賞」の賞状

「グッドデザイン賞」応募時の提出写真 アイカップのフィット感をPR

「グッドデザイン賞」応募時の提出写真
アイカップのフィット感をPR

III.これからの「アイボン」

PCやスマートフォンが普及した現代社会では、画面を見つめる時間が1日の多くを占めるようになっており、人間の目は今後も過酷な環境に置かれ続けることが予想されます。そんな過酷な環境にいるコンタクトレンズユーザーの皆さんに、目を洗浄した際のすっきり感や眼病予防効果を「アイボン」によってお届けし、その良さを多くの方に知ってもらいたいです。
また、近年、子どもの視力低下が進行しているといわれており、コンタクトレンズユーザーは増加していくことも予想されます。将来、「家に帰ったら目を洗うことが当たり前」という世の中が来るかもしれません。ますます増えるコンタクトレンズユーザーのお悩みを解決するため、手洗い、うがい、歯磨きに続く新しい健康習慣としての「洗眼」を、「アイボン」は支えていきたいと願っています。

田土 陽介

ヘルスケア事業部
マーケティング部
洋薬グループ
田土 陽介

「アイボン」による目の洗浄は、眼病予防効果が認められている他、様々な目の不快症状の軽減に有用です。我々はこれまでに様々な研究を重ねておりますが、一般消費者の方々にお伝えできていない情報が沢山ございます。今後はそれらの有効性をしっかりとお伝えしていき、「コンタクトレンズを外したあとに洗って目がスッキリ」だけでなく、健康習慣の1つとして「眼病を予防する」というアイボンの真価を、多方面にお届けしていけたらと考えています。

佐伯 貴史

ヘルスケア事業部
研究開発部
洋薬開発グループ
佐伯 貴史

<appendix>

「アイボン」の歩み ~コンタクトレンズ利用者の「過酷な目の環境」の変化に合わせて常に新しい価値を提供~

appendix

以上

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