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- News Letter -
家庭トイレの環境衛生と手洗い
~新型コロナウイルスの家庭内感染リスクを減らすためにできること~

新型コロナウイルス感染症を予防するためには、「感染源を絶つこと」「感染経路を絶つこと」「抵抗力を高めること」が重要だと言われています。本ニュースレターは、NPO法人日本トイレ研究所と小林製薬株式会社が共同で作成いたしました。

家庭内感染のリスクを少しでも減らすために、ご活用いただくことを目的としております。

資料監修:菅原 えりさ(東京医療保健大学大学院医療保健学研究科 教授)

1.家庭トイレで手が触れる箇所の環境衛生

接触感染を予防する観点から、トイレを衛生的に保つことはとても重要です。特に使用時に手を触れる箇所は、適宜消毒液を使用して清掃を行うなどして、環境衛生を良好に保つことが求められます。

トイレで主に手が触れる箇所

2.トイレ消毒の方法と注意点

ウイルスは物に付着してもしばらく生存しているため、上記1のようにトイレ使用時に手を触れる箇所には、ウイルスが付いている可能性があります。適宜消毒を行うように心がけましょう。

【トイレ消毒の方法】
手を触れる箇所を消毒する場合は、消毒液(消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムなど)を使用する。次亜塩素酸ナトリウム消毒液(有効塩素濃度0.05%~0.5%)で清拭する場合、該当箇所を消毒液で浸すようにペーパータオルなどで拭いた後、水拭きを行う。消毒する場合は、目に見える汚れを除去してから行う。

※市販の漂白剤(塩素濃度5%の場合)を10倍から100倍に薄める

【主な注意点】
「次亜塩素酸ナトリウム消毒液」について
・次亜塩素酸ナトリウムの濃度は製品によって異なるためよく確認し、作り方が表示されている場合は参照する
・皮膚に直接触れると炎症を起こし、目に入ると危険なので、扱う場合は十分な換気を行ったうえで、直接手に触れないよう家事用手袋をする
目に入った場合は流水で流し眼科医に相談するなど、製品の記載に則って対処する
・塩素系漂白剤を酸性溶液と混ぜると、塩素ガスが発生する場合があるので、絶対に混ぜない
・消毒成分である有効塩素濃度は、時間経過とともに徐々に低下する

塩素系漂白剤

出典 厚生労働省 経済産業省
「新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。」
https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf

3.換気の方法と注意点

感染症のリスク要因の1つである「換気の悪い密閉空間」を改善するため、換気により空気を入れ替えることが重要です。換気方法には、窓などの開放による自然換気や換気扇などによる機械換気があります。

【換気の方法】
・換気の悪い密閉空間にしないため、こまめな換気を実施する
・可能であれば、2方向の窓や扉を同時に開けて空気の流れをつくる
・窓がない場合でも、通常は機械換気により換気ができる
・換気回数は毎時2回以上(目安:30分に1回以上)とし、窓を数分間程度全開にする

※首相官邸「3つの密を避けるための手引き!」
http://www.kantei.go.jp/jp/content/000062771.pdf
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大に向けた職場における対応について(要請)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/000617466.pdf

【主な注意点】
・自然換気だけでなく、機械換気(換気扇、扇風機など)を併用するなどの工夫により、換気の効果はさらに上がる
・換気の設備にホコリがたまっていると空気が流れなくなるので、掃除する
・「広ければ大丈夫、狭ければ危険」というものではなく、また冷暖房効率が悪くなったとしても、きちんと換気をすることが大切

4.手洗いの考え方と注意点

新型コロナウイルス感染症を含む感染症予防の基本は、手洗いによる感染経路の遮断です。手指に付着している可能性のある新型コロナウイルスを不活化し、その数を減らすためには、特に石けんによる手洗いが効果的です。流水と石けんでの手洗いができない場合は、アルコール手指消毒薬を活用しましょう。

【手洗いの考え方】
・流水での手洗いだけでも、15秒程度しっかりとやれば残存するウイルスの数は100分の1になる
・ハンドソープを使った衛生的な手洗い(もみ洗い10秒、すすぎ15秒)で、ウイルスの数が10万分の1以下になる
・手洗いの際は、指先、指の間、手首、手のしわなどに汚れが残りやすいため、特に念入りに洗うことが重要

石けんやハンドソープを使った丁寧な手洗いを行ってください。

出典 厚生労働省
「新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。」
https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf

【主な注意点】
・新型コロナウイルスを不活化・除去するためには、石けんなどをしっかり泡立てて、丁寧に洗い流すことが重要
・厚生労働省はタオルの共用は避けるように注意喚起しており、手を拭く際は個人持ちのタオルまたはペーパータオルの使用を推奨している
・手洗い後にしっかりと乾燥させることによってウイルスの残存数を低下させることができる

5.手洗い石けんの使い方と維持管理

石けんに含まれる界面活性剤は、新型コロナウイルスのようなエンベロープを持つウイルスを不活化する働きがあり、石けんを使った丁寧な手洗いが効果的です。家庭内で共用する際に気をつけるポイントをまとめました。

※コロナウイルスは、粒子の一番外側に「エンベロープ」という脂質からできた二重の膜を持っている

【石けんの使い方】
・固形石けんは他人と共用する際に、表面の汚れが残りやすいため、表面を水で流しながら使用する
・ポンプ式の液体石けんを使用する場合、ポンプを押すたびに適量の新しい石けん液を使用できるため、容器内に汚れが移りにくい
・他人との共用による感染症予防を主目的とする場合は、基本的に液体石けんが好ましいが、洗浄効果に差はない
下記の注意点などを考慮しながら使い勝手に合わせて選ぶ

【主な注意点】

固形石けん 液体石けん
・濡れたまま置いておくと泡成分が溶けだしてしまい、泡立てにくくなるため、使用後は水気をよく切る
・他人と共用する場合、水で流しながら泡立てて使う
・基本的に容器内によごれが移りにくいが、まれに微生物が入り込んでしまう可能性があるため、ポンプの吐出口には手を触れないよう注意をする
・詰替えの際に石けん液を継ぎ足して使用してはいけない。詰め替える前に容器を水道水でよく洗い、洗った容器はしっかりと水気を切って清潔な状態を保つ

参考資料一覧

・首相官邸:3つの密をさけるための手引き!(令和2年4月15日)
https://www.kantei.go.jp/jp/content/000062771.pdf
・文部科学省:学校環境衛生管理マニュアル「学校環境衛生基準」の理論と実践(平成30年度改訂版)
http://kenkoukyouikusidousyakousyuukai.com/img/1292465_01.pdf
・文部科学省:新型コロナウイルス感染症に対応した学校再開ガイドライン(令和2年3月24日)
https://www.mext.go.jp/content/20200406-mxt_kouhou01-000006156_1.pdf
・文部科学省:文部科学省 緊急経済対策パッケージ(令和2年4月7日)
https://www.mext.go.jp/content/20200407-mxt_kouhou02-000004520-3.pdf
・文部科学省:学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル ~「学校の新しい生活様式」~(令和2年5月22日)
https://www.mext.go.jp/a_menu/coronavirus/mext_00029.html
・厚生労働省:新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(令和2年3月19日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000610566.pdf
・厚生労働省:新型コロナウイルス感染症の大規模な感染拡大防止に向けた職場における対応について(要請)(令和2年3月31日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10631.html
・厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)(令和2年5月13日時点版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
・厚生労働省:新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)(令和2年5月13日現在)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/newpage_00009.html
・厚生労働省 経済産業省:新型コロナウイルス対策 身のまわりを清潔にしましょう。(令和2年5月13日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000617981.pdf
・厚生労働省:手洗いの時間・回数の効果(令和2年5月15日参考)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000105095.pdf
・国立感染症研究所:SARS 診断マニュアル(平成16年10月)
https://www.niid.go.jp/niid/images/lab-manual/SARS-manual.pdf
・国立感染症研究所:中東呼吸器症候群(MERS)のリスクアセスメント(平成27年7月17日現在)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/alphabet/mers/2186-idsc/5802-mers-riskassessment-20150717.html

本ニュースレターは、NPO法人日本トイレ研究所と小林製薬株式会社が、学校トイレでの感染予防を目的として作成した教職員の方向け資料を、家庭トイレ用に抜粋し再編集したものです。

以上

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