人権の尊重

基本的な考え方

当社グループは、経営理念に「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」ことを定めており、人権の尊重は、経営理念に基づく事業活動の前提であり、企業の責任として取り組むべきものであると考えています。

当社は、2019年8月に国連グローバル・コンパクト(UNGC)への参加を表明し、人権を含めた10原則を支持しています。

これまで、当社においては「小林製薬グループグローバルコンプライアンスポリシー」の基本ポリシーにおいて、人権尊重と人権侵害への非加担について定め、人権尊重の取り組みを行ってきました。2023年2月に、取締役会の承認のもとグローバルスタンダードである国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した形で「小林製薬グループ人権方針」を策定しました。

国連グローバルコンパクトロゴ

本方針では、国際人権章典などの人権に関する国際規範の支持・尊重、あらゆる差別・強制労働・人身取引・児童労働等の禁止、人権デュー・ディリジェンスの実施、人権尊重に関する教育・啓発の実施、ステークホルダーとの対話等について定めています。
本方針に基づき、当社グループ全体で人権尊重の取り組みを実践し、社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

方針

人権方針策定のプロセス

本方針の策定にあたっては、サステナビリティ推進部門が中心となって、社内主管部門や労働組合と対話の機会を持ち、国際社会において求められる広範な人権課題への理解を深めるとともに、①人権方針(案)に関する意見、②当社グループにおける人権に関する取り組みの現状認識について意見交換をしました。また、弁護士・NGO等の社外専門家からの助言を受ける等の活動を経て策定しました。

小林製薬グループ 人権方針

当社グループは、経営理念に「人と社会に素晴らしい『快』を提供する」ことを定めています。全ての人が生まれながらにして、人間らしく尊厳を持って幸せに生きる権利である人権の尊重は、経営理念に基づく事業活動の前提となるものです。小林製薬グループ企業行動憲章の第5条には、人権の尊重について定めており、取り組みの指針として、ここに、小林製薬グループ人権方針を策定し、本方針に基づき企業としての人権尊重の責任を果たすべく力を尽くします。

企業行動憲章抜粋

(人権の尊重)
5. 多様な価値観・すべての人々の人権を尊重する経営を行い、またいかなる人権侵害にも加担しません。

  1. 国際人権規範の支持・尊重
    小林製薬グループは、「国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)」、「労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関の宣言」、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」、「子どもの権利とビジネス原則」等の人権に関する国際規範を支持・尊重します。また、「国連グローバル・コンパクト」の署名企業としてグローバル・コンパクト10原則を支持します。
  2. 適用範囲
    この方針は小林製薬グループのすべての役職員(役員、正社員、専任職社員、契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト等を含む小林製薬グループの業務に従事するすべての者)に適用します。また、ビジネスパートナー、サプライヤーおよび小林製薬グループの事業・製品・サービスに直接関連する関係者に対しても、人権を尊重し、人権侵害を回避するとともに、関与する人権への負の影響に対処するよう期待します。
  3. 適用法令の遵守
    小林製薬グループは、事業活動を行う国と地域において適用される法令を遵守し、国際的に承認された人権を尊重します。もし各国・地域の法令等やその執行によって国際的な人権が適切に保護されていない場合においては、国際的な人権を可能な限り最大限尊重する方法を追求します。
  4. 人権尊重責任

    小林製薬グループは、事業活動において影響を受ける人びとの人権を侵害しないことを約束します。

    小林製薬グループは、性別・年齢・国籍・人種・思想・信条・宗教・障がい・性自認・性的指向などによるあらゆる差別を禁止します。強制労働、人身取引、児童労働の禁止、過剰な労働時間の削減、結社の自由と団体交渉権、同一労働同一賃金、安全で健康な作業環境の保障、最低賃金のみならず生活賃金の保障、雇用における機会均等、ジェンダー平等・女性の権利尊重、格差と貧困の是正、表現の自由とプライバシーの保護の取り組み等、小林製薬グループの事業活動の影響を受けるすべての人の人権の尊重に努めます。

    万一、小林製薬グループの事業活動が人権への負の影響を引き起こし又は助長した場合は、その負の影響を防止・軽減すべく、是正・救済に向けて適切に対処します。小林製薬グループの事業・製品・サービスが、ビジネスパートナー、サプライヤーその他取引関係によって、人権への負の影響に直接関連する場合には、人権への負の影響を防止・軽減するために適切な対応をとるよう促します。

  5. 人権デュー・ディリジェンス
    小林製薬グループは、ビジネスと人権に関する国連指導原則に従って、事業に関係する人権への負の影響を特定、防止・軽減し、取り組みの実効性を評価し、どのように対処したかについて説明・情報開示する一連の取り組みを進めていきます。
  6. 救済窓口
    小林製薬グループでは、救済窓口の設置・運営について、人権尊重の取り組みの中で人権デュー・ディリジェンスと相互補完関係を成し、人権デュー・ディリジェンスではアプローチが難しいステークホルダーの人権尊重のための重要な要素であると考えています。
    救済窓口について、小林製薬グループでは、小林製薬グループのすべての役職員向けに、各国・地域において適用される法令、人権方針を含む社内規程に違反またはそのおそれがある場合に通報ができる内部通報窓口を設置しています。
    社外向けの相談窓口としては、小林製薬グループの事業活動における人権侵害に関してご相談いただけるよう、人権に関する相談窓口 を設置しております。
    内部通報窓口及び救済窓口の体制や運用については、実効性のある救済を可能なものとすべく今後不断の見直しを行っていきます。
  7. 教育
    小林製薬グループは、本方針が理解され実践されるよう、小林製薬グループのすべての役職員に対し、本方針の周知および人権尊重に関する適切な教育・啓発を行います。
  8. 対話と協議
    小林製薬グループは、人権に関する社内外の専門家の知見を活用するとともに、ステークホルダーとの対話を通じて人権課題への理解を深め、人権尊重への取り組みを進めていきます。
  9. 情報開示
    小林製薬グループは、人権尊重の取り組み及びその結果について、ウェブサイトや統合報告書等で定期的に開示します。

この方針は、小林製薬株式会社の取締役会において2023年2月14日に承認・制定され、2024年11月5日付けで小林製薬株式会社の取締役会が監督機能を有するサステナビリティ委員会において承認・改定されています。

制定日:2023年2月14日
改定日:2024年11月5日

小林製薬株式会社
代表取締役社長
山根 聡

English

体制

推進する体制と仕組み

事業活動による人権侵害リスクの防止・低減に向け、サステナビリティ委員会にマテリアリティの一つである人権をテーマとする人権推進会議を設置しました。人権方針や人権尊重に関する取り組みは、サステナビリティ委員会(委員長:代表取締役社長)で審議・報告され、取締役会に報告されます。
社内体制としては、「ビジネスと人権」についてはサステナビリティ推進部門、自社従業員の人権については人事部門、調達仕入先への取り組みは購買部門、コンプライアンスについては総務部門など、関連部門が連携しながら取り組みを進めています。社内においては、万が一、問題が発生した場合は社内の相談窓口はもちろんのこと、外部の専門機関や弁護士に相談できる窓口を設け、問題の迅速な解決と個人を保護する仕組みを構築しています。
また、社外においても外部団体に加盟し加盟企業との情報交換や人権啓発活動にも積極的に取り組んでいます。

人権に関する相談窓口

当社グループの事業活動における人権侵害に関してご相談いただけるよう、人権に関する相談窓口を設置しております。窓口へのご相談受付においては、ご相談者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。

ご利用対象者:当社グループの事業活動の影響を受けるすべての皆様
(例:当社グループのお取引先様、一般のお客様、株主様、採用活動応募者様など)

取り組み

人権デュー・ディリジェンス

当社は、人権方針に基づき、事業に関係する人権への負の影響を特定、防止・軽減し、取り組みの実効性を評価し、どのように対処したかについて説明・情報開示する一連の取り組みを進めていきます。

 人権デュー・ディリジェンス

本格的な人権デュー・ディリジェンスを実施する前に、人権方針の策定にあたって、当社が負の影響を与える可能性のあるステークホルダー(従業員、サプライチェーン上の人々、消費者、地域住民等)に関連して想定される人権課題を抽出しました。これらは、関係省庁が取りまとめた情報や社内関連部門との対話において認識をすり合わせた上、外部専門家の意見を踏まえ簡易的に抽出したもので、取締役会でも協議を行いました。

ステークホルダー 重要と考えられる人権課題
(一部課題化されていないものは分野)
従業員等当社グループで働く人々 過剰・不当な労働時間の削減
労働安全衛生の確保
差別・ハラスメントの防止
外国人技能実習生の適切な処遇
サプライチェーン上の人々 サプライチェーン上の人権
消費者 消費者の安全と知る権利
地域住民 地域住民
あらゆる人々 広告・CM等における差別的な表現

英国現代奴隷法に関する声明文

当社は、英国の「2015年現代奴隷法」に基づき、「Modern Slavery Statement」を公表します。本声明は、当社グループが、当社グループおよびサプライチェーンにおいて、奴隷労働や人身取引などが起こらないようにするため、2024年度に行った取り組みを開示することを目的としています。

人権に関する教育・啓発

国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則った活動を進めていくための土壌づくりとして、人権方針を制定する前に次のとおり、「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとして、人権尊重の意義や企業に求められる人権尊重責任について理解促進のための勉強会の実施や情報発信を行いました。

① 2022年5月16日:
グループ統括本社勉強会(参加人数:約60名)
テーマ:「ビジネスと人権」
② 2022年7月2日:
役員研修(参加人数:9名)
テーマ:「ビジネスと人権」
③ 2022年9月21日、27日:
サステナビリティMeet Up!(参加人数:計121名)
テーマ:「改めて人権について考える」
④ 2022年10月20日、28日:
サステナビリティMeet Up!(参加人数:計124名)
テーマ:「楽しみながらロールプレイを見て学ぶ CSR 調達を理解する」
人権役員研修ロゴ

ロールプレイでは、人権問題が発生したという設定で「生産者」「現地加工業者」「一次サプライヤー」「小林製薬社長」「NGO」「機関投資家」「健康系YouTuber」「小売業者」の配役を製造本部や営業本部の方にも演じていただき、その内容を見て学ぶという企画に参加してもらう形式で実施しました。

 MeetUp人権
⑤ 2023年6月
コンプライアンス15分研修:(対象)国内の全従業員
テーマ:「小林製薬グループ人権方針」
⑥ そのほか全従業員向けメールマガジンにて啓発(オリンピックと人権/フェアトレード/現代奴隷/ビジネスと人権)

(注)上記の参加人数は、いずれもアーカイブ視聴は含みません。