ニュースリリース

レポート

角栓内アクネ菌について独自の殺菌評価方法を確立
~ニキビができやすい人の角栓内にはアクネ菌が多く存在~

-2023年12月5日~7日 第1回日本化粧品技術者会 学術総会にて発表-

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林 章浩)は、ニキビの原因であるアクネ菌の殺菌効果について研究を進めていく中で、ニキビができやすい人の角栓の内部にはアクネ菌が多く存在していることを発見し、角栓内のアクネ菌に対する殺菌効果を評価する独自の方法を確立しました。本研究成果は「第1回日本化粧品技術者会 学術総会」(2023年12月5日~7日に埼玉で開催)にて発表いたしました。

研究結果 ダイジェスト

  1. ニキビができやすい人の角栓内にはアクネ菌が多く存在
  2. 角栓内に潜む細菌への殺菌効果を可視化
  3. アクネ菌を均一混合した疑似角栓を調製し、角栓内のアクネ菌殺菌評価方法の確立

研究の背景

ニキビは尋常性ざ瘡とも呼ばれ、10代から30代の男女に発症する皮膚の慢性炎症性疾患の一つになります。ニキビができる原因は、古い角層などが堆積して角栓となり、毛穴が詰まることで皮脂が過剰に毛穴中に溜まり、その皮脂をエサにして毛穴などにいる皮膚常在菌であるアクネ菌(Cutibacterium acnes)が増殖して炎症を起こすことで発症します。
当社ではニキビの原因であるアクネ菌に着目し、アクネ菌の殺菌効果を向上させるべく日々研究を行っており、2023年8月にヘパリン類似物質にアクネ菌に対する殺菌剤の効果を高める作用があることを発見しています。この度、ニキビができている人の角栓内にはアクネ菌が多く存在することがわかり、ニキビの発生を防ぐには、角栓内のアクネ菌を殺菌することが重要と考え、角栓内のアクネ菌殺菌評価方法を確立しました。

※ヘパリン類似物質の新たな作用を発見~アクネ菌のバイオフィルム形成抑制作用を発見、殺菌技術に応用~(小林製薬2023年8月)
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2023/20230830/

研究の結果

1.ニキビに悩む人の角栓には、アクネ菌が多く存在

ニキビの原因の一つであるアクネ菌は、皮膚常在菌として皮膚上に存在している菌になり、ニキビができやすい人の皮膚上にも多く存在していることが知られています。今回、毛穴に詰まった角栓内にも細菌が存在し、ニキビができやすい人の角栓には細菌の構成比率としてアクネ菌が90%以上存在することを新たに発見いたしました(図1・図2)。
ニキビができやすい人の角栓内にもアクネ菌が多く存在し、皮膚上だけではなく、角栓内に潜むアクネ菌も殺菌する必要があることが示されました。

図1 角栓内の観察画像(左:角栓を5,000倍に拡大)

図1 角栓内の観察画像(右:角栓を15,000倍に拡大)

図1 角栓内の観察画像
(左:角栓を5,000倍に拡大、右:角栓を15,000倍に拡大)

図2 角栓内の細菌叢解析(赤枠がアクネ菌の構成比率)

図2 角栓内の細菌叢解析
(赤枠がアクネ菌の構成比率)

試験方法:
ニキビができている30代男性の鼻より採取した角栓を化学固定した後、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察を行った。また、ニキビができている30~40代男性3名から採取した角栓からtotal DNAを抽出し、16S rRNA遺伝子部分塩基配列をPCRにて増幅し、本配列を標的として次世代シーケンサー(NGS)を用いアンプリコンシーケンスを行い、角栓の細菌叢を解析した。

2.角栓内細菌への殺菌効果の可視化

角栓内部に多くの細菌、特にニキビができやすい人にはアクネ菌が多く存在していることを認めたことから、殺菌剤として医薬品等で配合されているイソプロピルメチルフェノールが角栓内の細菌に対して、殺菌効果があるのか確認しました。イソプロピルメチルフェノールを配合したモデル化粧水を調製し、採取した角栓をモデル化粧水に浸漬して細菌の生死を判別したところ、角栓内の細菌は死滅していることが確認できました(図3)。

図3 モデル化粧水に浸漬した角栓の生死判別(緑色:生菌、赤色:死菌)

図3 モデル化粧水に浸漬した角栓の生死判別
(緑色:生菌、赤色:死菌)

試験方法:
採取した角栓をモデル化粧水に浸漬した後、角栓をLIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kitを用いて染色し、共焦点レーザー顕微鏡にて観察を行った。

3.角栓内のアクネ菌殺菌評価方法の確立

角栓内に殺菌剤がしっかりと浸透すれば角栓内の細菌を殺菌できることがわかりましたが、人から採取した角栓は、角栓の大きさやアクネ菌の数が揃っていないため、正しい殺菌効果を評価するには不向きです。そこで、人の角栓を模した疑似角栓を調製し、疑似角栓内にアクネ菌を均一混合することで、角栓内のアクネ菌殺菌効果を評価する方法を確立しました。コントロールとして水に浸漬した疑似角栓中のアクネ菌は減少しなかったのに対し、モデル化粧水に浸漬した疑似角栓中のアクネ菌は減少しました(図4)。この手法を用いれば、角栓内に存在するアクネ菌への殺菌効果を正しく評価できることがわかりました。

図4 疑似角栓中のアクネ菌殺菌力評価

図4 疑似角栓中のアクネ菌殺菌力評価

試験方法:
アクネ菌を均一混合した疑似角栓をモデル化粧水に浸漬した後、アクネ菌の生菌数を測定した。

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