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レポート

日本初報告*!40歳以上女性の10人に1人が発症!?
~閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM)とは~

小林製薬株式会社(本社:大阪市、社長:小林章浩、以下「小林製薬」)は、日本性機能学会 女性性機能委員会共同のもと、外陰膣症状質問票 (VSQ:Vulvovaginal Symptoms Questionnaire)の日本語訳を用いた閉経関連泌尿生殖器症候群(GSM:Genitourinary Syndrome of Menopause)の疫学的調査を実施し、日本で初めてVSQを用いてGSM有病率を明らかにしました。本研究成果は、2021年11月14日にオンライン開催された「日本性機能学会第31回学術総会・第30回日本性機能学会東部総会」での発表内容となります。

*日本で初めてVSQの日本語訳を用いてGSMに関する疫学的調査を実施し学会発表を行った。

【研究背景】

従来GSMに該当する所見や症状は外陰腟萎縮症(VVA:vulvovaginal atrophy)と呼ばれていましたが、VVAは閉経に伴うエストロゲンの低下による性器の萎縮症状に限定されたものでした。医学的に正確かつ包括的な一般的にも受け入れやすい症状名が求められる中、2014年国際女性機能学会(ISSWSH:International Society for the Study of Women's Sexual Health)及び北米閉経学会(NAMS:North American Menopause Society)により、新しくGSMが提唱されました。

GSMはVVAだけでなく、更年期頃からの性ホルモン低下による膣萎縮が原因で生じる外陰部の乾燥や性ホルモンの低下に伴う性交痛や尿失禁などの生殖泌尿器系の様々な症状の集合体として定義されます。比較的新しい概念であるGSMに関する研究は世界的にも少なく、日本における年代別の有病率などは明らかにされていませんでした。

【研究概要】

今回新たに作成したVSQの日本語版を用いてGSMに関する疫学的調査を実施した結果、日本における40歳以上79歳以下の女性のうち11.6%がGSM症状を有していることが確認されました(図1)。

(図1)年代別GSMの割合

【調査内容】

【期 間】
2019年12月23日~2019年12月24日
【対 象】
日本在住の30歳以上79歳以下女性
(N=5,167、内訳:30歳代=1,033、40歳代=1,034、50歳代=1,033、60歳代=1,033、70歳代=1,034)
このうち40歳代以上の4,134名をGSM対象者として解析しました。
【方 法】
Webアンケート
【質問表】
外陰膣症状質問票 (VSQ)の日本語訳
女性性機能質問票 (FSFI:Female Sexual Function Index)
主要下部尿路症状スコア (CLSS:Core LUTS Score)
尿失禁症状・QOL評価質問票(ICIQ-SF:International Consultation on Incontinence Questionnaire-Short Form)
【統計処理】
各年代のGSM症状を有する人の割合の比較:Fischerの正確確率検定
(総当りで実施。多重比較の補正はBonferroniの方法を用いました。)

【研究結果】

1.年代別GSM症状を有する人の割合

今回の調査ではGSM症状を有する人を、VSQ 調査票:Q.3,5,19,20(図3)でいずれかに「はい」と回答した人と定義すると、日本におけるGSM症状を有する割合は全体で11.6%であり年代が上がるにつれてGSM症状を有する人の割合が減少していました(図1)。70歳代でGSM症状がある人の割合が有意に低く(Fisherの正確確率検定)、40歳代で最も割合が高い結果となりました。GSM症状は性ホルモン低下による症状のため加齢に伴い症状を持つ人の割合は増加すると想定していましたが、より若年の層が症状を有するという結果になったため更に解析を行いました。

2.性的活動の有無別にみた年代別通常時痛み・乾燥の各割合

性的活動の有無で層別解析を行うと、性的活動がある群は、通常時の痛み、乾燥共に年代と関連があり加齢に伴い症状を有する人の割合が増え、70歳代が高い結果になりました。(図2)。また性的活動がある群は性的活動がない群と比較し、外陰部の痛みや乾燥の症状をもつ割合が高い結果になりました。

(図2)性的活動の有無別にみた年代別通常時痛み・乾燥の各割合

【結語】

今回の調査結果では、海外と比較し日本でのGSM症状をもつ人の割合は低い結果でした。今回は外陰部の乾燥、痛みの症状だけに限定したものでしたが、今後は下部尿路症状や性行為関連症状も含めて解析していきます。また、外陰部いわゆるデリケートゾーンの痛みや乾燥などのGSM症状に対し市販の医薬品や保湿剤の使用、外陰部に触れるおりものシートなどについて肌・腟粘膜への刺激が少ない素材の製品を選択することで、GSM有病率が低下する可能性があると考えられます。

【参考】

・外陰膣症状質問票 (図3)
(巴, 関口, 尾崎, 二宮, 佐藤, 高橋. 日泌尿会誌, 2021; 112: 173-178.)

(図3)外陰膣症状質問票 (VSQ)

・本研究は下記日本性機能学会 女性性機能委員会の医師共同のもと実施致しました。
高橋悟先生(日本大学医学部泌尿器科)
巴ひかる先生(東京女子医科大学東医療センター骨盤底機能再建診療部泌尿器科)
関口由紀先生(女性医療クリニックLUNA ネクストステージ女性泌尿器科)
尾崎由美先生(東海中央病院泌尿器科)
二宮典子先生(二宮レディースクリニック)
佐藤嘉一先生(三樹会病院泌尿器科)

以上