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「ブレスケア」発売25周年ニュースレター(前編)

「ブレスケア」 誕生ストーリー

I.若手社員による新分野へのチャレンジ

小林製薬の口中清涼剤「ブレスケア」が、1997年の発売から25年を迎えます。いつの時代も尽きない“お口のニオイ”のお悩みですが、当時はガムなど「お口の中」をケアする製品が一般的でした。そんな中、ニンニクやアルコールといった「お腹の中」が原因となるニオイに着目をしたブレスケアは、入社4年目というフレッシュな若手社員たちが開発し、初年度10億円の大ヒットを記録しました。四半世紀を経たロングセラー製品ブレスケアの誕生について、当時のメンバーに話を伺いました。

「ブレスケア」

遠嶋記与子:初代研究者(当時、入社4年目)

秋田理香子:初代開発者(当時、入社4年目)

安藤利治:初代ブランドマネージャー(当時、入社10年目)

(左から)遠嶋記与子:初代研究者(当時、入社4年目) 、秋田理香子:初代開発者(当時、入社4年目)
     安藤利治:初代ブランドマネージャー(当時、入社10年目)

■「ブレスケア」誕生のきっかけ

ブレスケアのアイデアが生まれようとしていた1996年当時、小林製薬では入れ歯洗浄剤「タフデント」に続くオーラルケアの主力品を作ろうと、担当者が日夜アイデア会議を行っていました。そのひとつが、秋田ら初代ブレスケアの開発担当である入社3、4年の若手社員で構成されたチームでした。
生活者のお困りごとを調べていく中で、メンバーらが注目をしたのは息ケアの根深い悩みでした。その頃、息をケアする製品といえばマウススプレーやガムなど、“お口の中”のニオイをケアするものがほとんどで、ニンニクやアルコールなどの“お腹の中”から上がってくるニオイに着目したものはありませんでした。「ニンニクやアルコールのニオイはいくら歯磨きをしても対処できないというお悩みの声が多く集まりました」(秋田)

「ブレスケア」誕生のきっかけ

息ケア製品は世の中にたくさんあるけれど、まだまだ解決されていない悩みがあることを確信したメンバーらは、“ニンニクやアルコールのニオイをお腹の中からケアする 飲み込む歯磨き” というコンセプトを作り、ブレスケアの開発に着手しました。

■小林製薬初の“食品”開発は困難の連続

開発をスタートしてまもなく、海外では、お腹で溶けて息がリフレッシュされるカプセル錠剤がすでに販売されていることを知り、すぐに製品が取り寄せられました。「見た目から清涼感を感じる透明できれいなカプセルは日本の製品には無い新しさがありました。このカプセルを開発する新製品にも取り入れたいと思いました」(秋田) 


しかし、お腹で溶けるカプセルは歯磨きの区分ではなく、“食品”ジャンルの製品。医薬品やオーラル製品を手掛けてきた小林製薬には知見がなく、手探りでの開発となりました。

小林製薬初の“食品”開発は困難の連続

初めてゆえに乗り越えるべきハードルは少なくありません。その一つが食品ならではの基準作り。「賞味期限や品質試験などの知見がないため、基準作りから始める必要がありました。社内外のつてをたどり、いくつかの食品会社を訪問しては情報を集めてまわりました」(遠嶋)

それ以外にも倉庫での温度管理は医薬品とは勝手が異なるなど、開発が進むにつれて食品ならではのハードルが次々と現れました。社内の基準を変えることは並大抵のことではありませんでしたが、若手ならではのパワフルさで関係者を必死に説得。一つ一つ課題を乗り越えていきました。
「モノや基準がなくても、情報をかき集めて自分たちで近いものから作っていく。世の中にない新製品を生み出す小林製薬らしい開発スタイルをこのときに学びました」(遠嶋)

■試験方法なし、試行錯誤の連続

もちろん開発の肝は製品の機能。ニンニクやアルコールのニオイに対して、当初は歯磨き粉などのオーラル製品にも使用される水溶系の清涼成分を検討していましたが、これではカプセルのゼラチンに成分が吸着してしまい製剤化(経時的安定性)が難しいという大きな問題が発覚しました。打開策を模索する中、油系の清涼成分に関する論文を発見。これが現在のブレスケアにも採用されている“パセリオイル”との出会いでした。
その後の開発でも懸命な作業が続きます。「当時は、呼気中のニンニクやアルコールを区別して個々のニオイを測定する方法がなかったので、ニオイセンサーへ実際に息を吹きかけて調べていました。そのため、ニオイの元をできるだけ単一にしようと、ひたすら大量のニンニク入り餃子だけを食べたり、アルコール飲料だけを飲み続けたりしては、ニオイセンサーで計測する日々が続きましたね (笑)」(遠嶋)
テスト前日にはメンバー全員がニンニクを食べ、翌朝は歯も磨かないで出社し、息の状態を測定していました。そのかいもあり、無事、有用性を実証することができました。

試験方法なし、試行錯誤の連続

また、ニオイセンサーの計測値と同じく開発チームが重視したのが、実際に口にしたときに感じられる“効果感”でした。ブレスケアを飲んだ後にお腹から上がってくるミントの香りは爽快感があるものの、実感するにはしばらく時間を要します。そこで、カプセルを口に入れた瞬間から効果を感じられるように、カプセルの表面にもわずかにミントの香りや味をつけるなどの工夫が凝らされました。
一方で、香りや味をつけるとカプセルの透明感が失われてしまうという問題もあり、透明感を保ちつつ香りをつける調整にも苦労がありました。透明感が保たれたカプセルは、思わず噛みつぶしたくなるような見た目だったため、モニター調査で実際に誤って噛みつぶしてしまった人も現れましたが、噛んだときのパセリオイルの何ともいえない苦みによって「これは効きそうだ」と、かえって効果を感じるポイントとなり、担当者の予想に反して良い評価をいただく結果となりました。

■初年度10億円の大ヒット

連日のアイデア会議から約1年、若手社員がゼロから生み出したブレスケアは、流通の方々向けの発表会で大きな反響を呼ぶこととなりました。


「実際にブレスケアを飲んでもらったところ、しばらくしてから『(爽快感が)来ました!これは良い製品ですよ!』とわざわざ戻ってきてくれた人もいたほど。これで手ごたえを感じましたね」(安藤)


初年度10億円の大ヒット

発表会で上々の反応を得た後、ブレスケアは1997年9月に発売されるとすぐに市場に受け入れられ、目標値を大きく上回る初年度10億円というヒットを記録。気になったときにすぐケアできる手軽さから、小林製薬では過去に例がないほどコンビニエンスストアでよく売れる人気製品となりました。


ブレスケアの好調な売上から、安藤の心の中には「駅のキヨスクでブレスケアを売りたい!」という目標が生まれました。飲み会の後や出勤前に息をケアしたい人がいる駅ナカでの需要は明白でした。しかし、コンビニ以上に激戦と言われるキヨスク。上司や同僚からも「採用されるはずがない」と言われてしまいました。それでも諦めきれず、ダメでも良いのでチャレンジしたいとキヨスクの商談に向かうと、周囲の予想に反し、コンビニでの成功実績を認められ見事に採用されることとなりました。

ブレスケア

初代パッケージ

■ブレスケア成功の教訓

若手社員たちがゼロから生み出したブレスケアは、アルコールやニンニクに特化した口中清涼剤として新たな市場・新たな生活習慣を創り出しました。ブレスケアは発売から25年経った今もお客様に愛され、「噛むブレスケア」や「スピードブレスケア」などラインナップも拡大。小林製薬の看板製品のひとつとなっています。

ブレスケアのラインナップ

ブレスケアの成功から分かること……。それは、社員の経験や知識がヒットを生むのではなく、何事もやってみるというチャレンジ精神と粘り強く取り組む積み重ねが大きな成果を引き寄せるのだということ。
自分たちでも世の中を変えるヒット製品が生み出せるかもしれない。ブレスケア開発の舞台裏には、私たちモノづくりに向き合う人間に強い希望を与えてくれるストーリーがありました。