ニュースリリース

ニュースレター

40~50代の更年期女性は悪玉コレステロール値が急上昇!
コロナストレスによる自律神経の乱れも数値悪化に追い打ちをかける

女性は更年期にさしかかるとLDL(悪玉)コレステロール値が上昇する傾向にあります。それに加え、昨今のコロナ禍による運動不足や、在宅勤務におけるデジタルデバイスの接触機会の増加により自律神経が乱れ、体内の調整機能が低下し、それらがLDL(悪玉)コレステロール値の上昇に影響します。すなわち、現代の40~50代女性は更年期とコロナ禍の影響によるダブルパンチで、悪玉コレステロール値急上昇の危機に直面していると言えます。そこで今回は、そのメカニズムと対策について、大妻女子大学家政学部食物学科教授の青江誠一郎先生にお話を伺いました。

1. コロナ禍がコレステロール量のバランスに影響を与える

コレステロールのほとんどは肝臓で合成される

コレステロールとは、脂質の一種で、男性・女性ホルモンや胆汁酸の原料になる、体にとってとても重要な役割を担っています。

普段の食事から摂取しているイメージの強いコレステロールですが、食事から吸収されるのはたったの3割程で、残りの7割は肝臓などで生成されています。
コレステロールには、「HDL(善玉)コレステロール」と「LDL(悪玉)コレステロール」があります。「善玉コレステロール」は余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す、「悪玉コレステロール」は肝臓からコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。悪玉コレステロールは増え過ぎると、健康リスクが高まるため注意が必要です。
また、コレステロールの生成と回収がバランス良く行われるよう、悪玉と善玉の量(L/H比)を整えることも重要と言われています。

肝臓の働きイメージ図

LH比

◆コロナ禍のストレスが、コレステロールのバランスを崩す

体全体のコレステロールの量は、食事から体内に吸収される量、肝臓で生成される量、体の中で利用される量、そして体外へ排出される量のバランスが適切に保たれるように調整されています。しかし、体内での調整機能が低下すると、肝臓での合成量が増えたり、食事からの脂質吸収が増えたり、細胞において悪玉コレステロールを取り込む入り口(受容体)が減ったりすることで、血液中の悪玉コレステロールが増えます。
体内での調整機能が低下する原因として、加齢やストレス、食生活の乱れが挙げられますが、特にこのコロナ禍においては在宅によるストレス・生活リズムの変化による自律神経の乱れや運動不足などが加わり、より調整機能が低下しやすい状態にあると考えられます。

2. 40~50代女性は更年期になると悪玉コレステロール値が急上昇

ストレスによるコレステロール値の上昇リスクに加え、女性は更に気を付けたい点として、更年期特有のホルモンの影響があります。

女性は50代を境に悪玉コレステロール値が急上昇

女性ホルモンの”エストロゲン”は、悪玉(LDL)コレステロールの生成を抑制したり、余分な悪玉コレステロールを肝臓に回収することを促す作用があるため、女性は悪玉コレステロールが上がりにくい傾向にあります。加えて、エストロゲンには、善玉(HDL)コレステロールを増やす働きもあるため、悪玉と善玉の量のバランス(L/H比)維持にも貢献しています。

しかし更年期になると、そのエストロゲンが急激に減少してしまう為、男女・年代別で悪玉(LDL)コレステロール値の平均値の変化をみてみると、女性は50代を境に急激に上昇し、なんと男性の数値をも上回ることがわかります。L/H比のバランスも同様に崩れていきます。

血清LDL-コレステロール濃度の平均値

血清LDL-コレステロール濃度の平均値

出典:「令和元年 国民健康・栄養調査」(厚生労働省)を加工して作成

脂肪のつき方が「男性化」していく… お腹周りの脂肪はコレステロール上昇のサイン?


更年期になってから、お腹周りが気になるようになったと感じる方も多いのではないでしょうか。実はエストロゲンは、脂肪が増えすぎないように守ってくれるありがたい作用もあるのですが、更年期になるとその心強い見張りがいなくなり、内臓脂肪が増え、お腹周りが太くなる男性型の脂肪のつき方に変化していくのです。腹囲の上昇はエストロゲンの低下とコレステロール上昇のサインの可能性があります。

お腹周りの脂肪はコレステロール上昇のサイン?

40代から始める早めの肝臓ケアの重要性

40代の女性は加齢や女性ホルモン減少に伴いコレステロール調整バランスが崩れやすい状態です。悪化してから正常に戻すのは大変。大きく崩れるその前に、対策をしていく事が大切です。
体内のコレステロールの7割は肝臓で合成される上、食事由来のコレステロールが減ると体内での合成を増やすよう働くため、食事のコレステロール制限はもちろんですが、肝臓ケアも重要と言われています。
コレステロール値は、運動・食生活の改善行動を続けると、3ヶ月で有意な改善が見られたという報告があります。内臓脂肪の量にも変化が現れ始めるので、ウエストサイズの変化でも実感があるかもしれません。日々の食生活改善と運動習慣に加えて肝臓ケアも始めてみませんか。

3.3つのアプローチで悪玉(LDL)コレステロール値を下げよう

悪玉(LDL)コレステロールを下げるための3つのアプローチについてご紹介します。

①摂りすぎない


食事からの脂質摂取量を減らしましょう。
特に、動物性脂肪(飽和脂肪酸)やトランス脂肪酸のとりすぎに注意。
使用するなら良質な油(魚油やオリーブ油)を。

①摂りすぎない

②排出を促進


余分なコレステロールは体外へ上手く排出しましょう。
胆汁酸排泄(原料としてコレステロールを消費)を増やす食品を摂ったり、コレステロールを絡め取って排出してくれる食物繊維を積極的に摂る。
生活に有酸素運動を取り入れる。

②排出を促進

③生成を抑える

肝臓でのコレステロール生成を抑えましょう。
腸内環境を整え、コレステロール生成抑制作用のある短鎖脂肪酸を増やしたり、コレステロールの生成を抑える食品を摂る。
コレステロールの合成を促進する生活習慣(睡眠不足、欠食)を改める。

<コレステロールの上昇をケアする食品や栄養素>

■紅麴

米などの穀類を紅麹菌で発酵させてできた紅色の麹です。醤油や味噌などに使用される麹(黄麹)とは異なり、中国では紹興酒の製造、日本では沖縄の発酵食品、「豆腐よう」に使用されています。紅麹には、肝臓でのコレステロール生成を抑制する働きが報告されています。

紅麴

■EPA(エイコサペンタエン酸)

体内でほぼ合成されない必須脂肪酸の一つ。
サバ・イワシなどの青魚などによく含まれ、血液をサラサラにしたり、中性脂肪を下げるのに効果的であることが報告されています。

EPA(エイコサペンタエン酸)

■食物繊維β-グルカン

β-グルカンはグルコースが多数つながった食物繊維です。大麦やオーツ麦などの穀物に含まれています。β-グルカンはコレステロールを絡め取り便として排出したり、腸内環境の改善を介した腸内の短鎖脂肪酸の増加作用によりコレステロールを低下させることが報告されています。

食物繊維β-グルカン

■杜仲葉

杜仲は中国原産の落葉高木で、日本では焙煎した葉が健康茶として利用されています。杜仲葉に含まれるゲニポシド酸には、胆汁酸の分泌を増やす働きがあることが報告されています。

杜仲葉

4.コレステロールを溜める生活をしていませんか?コレステロールリスクをセルフチェック!

悪玉コレステロールの上昇は、自覚症状がなく、気が付きづらいと言われています。
普段の生活習慣などからあなたのコレステロールリスクをチェックして、毎日のセルフケアに役立ててください。
また、チェックリストの結果に関わらず、気になる方は病院への受診をおすすめします。

①下記のリストであてはまる項目にチェック

【遺伝素因と肥満度】【生活習慣】チェック

※本チェックは医学的な診断ではなく、あくまで目安です。
 定期的な健康診断が大切です。血中コレステロールに異常がある方や、気になる方は医師にご相談ください。

②チェックⅠとⅡの✓の数を表に当てはめて結果を確認

セルフチェック 結果

Aランクの方は・・
今のところコレステロールリスクは低め。ただ油断は禁物!定期的な健康診断でチェックを。

Bランクの方は・・
コレステロールリスク要注意。健康診断の数値は注意しておきましょう。チェックⅡで多く当てはまる方は食事や生活習慣の見直しを。

Cランクの方は・・
コレステロールリスクが高い生活習慣です。今すぐ改善に取り掛かりましょう。気になる方は病院への受診をおすすめします。

【監修】青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)先生

学内 ・大妻女子大学大学院人間文化研究科人間生活科学専攻教授
   ・大妻女子大学家政学部食物学科教授
学外 ・日本食物繊維学会 理事長
   ・日本肥満学会 評議員
   ・日本酪農科学会 常務理事
   ・日本栄養改善学会 評議員
   ・日本栄養・食糧学会 評議員

青江 誠一郎(あおえ せいいちろう)先生