PEOPLE

PROJECT STORY / 01

アイデアから製品が⽣み出されるまで

「全社員アイデア大会」から
製品化された漢方薬

『テイラック』

小林製薬の強みの源泉
「全社員アイデア大会」

小林製薬では毎年創立記念日である8月22日に、全社員が通常業務から離れて新製品のアイデアを考える「全社員アイデア大会」を実施しています。このアイデア大会は、創立100期の記念イベントとして2014年にスタートし、組織としての一体感や新製品開発の重要性を再認識する風土づくりを目的として実施しています。当日は、所属部署ごとにアイデア会議が行われ、各人が渾身の新製品アイデアを持ち寄り各部署の代表アイデアを決定。その後製品事業部の選考を通過したアイデアは、ブラッシュアップを重ね、社長をはじめとする経営陣への最終プレゼンに進みます!優れたアイデアは、製品化に向けて検討が進められます。
また、2023年からはChatGPTを小林製薬用に最適化した「kAIbot」が導入され、AIの力も活用したアイデア大会となっています。

「全社員アイデア大会」について
詳しくはこちら

販売名:テイラック[第2類医薬品]

効能・効果:体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:暑気あたり、頭痛、むくみ

社員自身の悩みから誕生した
漢方薬「テイラック」

低気圧不調とは、気圧変化によって体内の水分バランスが乱れることで起こる体調不良です。「天気痛」や「天気頭痛」とも言われたりします。
主に、血管拡張による神経圧迫で起こる「頭痛」と自律神経の乱れによる「だるさ・めまい」などがあります。
そんな悩みを解決する製品として開発されたのが、体内の水分バランスを整え、血管拡張と自律神経の乱れの両方に作用することで低気圧による複数の不調を改善できる漢方薬「テイラック」です。

Project Member

お客様相談室
アイデア起案、プレゼン

田中さん

2013年キャリア入社/生活学科

ブランドマネージャー
広告戦略の立案、実行

井上さん

2012年入社/経済学部

研究開発
ブランド育成

植田さん

2020年キャリア入社/
食物栄養学専攻

マーケティング
製品戦略立案
コンセプト・パッケージ開発

重田さん

2018年キャリア入社/経営学科

技術開発
製造設備の設計・検証

山岡さん

2015年キャリア入社/理工学研究科

Episode01

SNSから潜在ニーズを発見!製品アイデアにどう繋がった?

田中さん

私自身が低気圧による頭痛の症状に悩んでいました。特に雨や台風の前は症状が酷くなり、起き上がれないこともあるほど。どうして悪天候の前に症状が出るのだろうと調べていたら、低気圧が影響していると知ったんです。さらにSNSを見ていると、同じ症状で悩んでいる方が多く、ここには需要があるなと思い全社員アイデア大会の場で提案。その後、予選を勝ち抜いて経営陣へプレゼンする機会を得ました。

重田さん

それまでにもさまざまな原因から来る頭痛に対処できる漢方薬を検討していたのですが、田中さんのアイデアを受け、「低気圧による複数の不調を改善できる漢方」として、開発を本格化することになりました。

Episode02

低気圧による不調で悩む方へ届くよう、パッケージの表示にもこだわりを。

植田さん

低気圧による不調を改善する効果的な処方を複数検討し、現在の処方を導き出しました。また、形状も頭痛薬をよく飲まれる方は錠剤で慣れている方が多いので、「テイラック」は錠剤にしています。

重田さん

低気圧によって引き起こされる症状には、頭痛のほかにも倦怠感やめまい、むくみ等さまざまなものがあります。調査では、頭痛以外の症状も併発される方が半数以上いらっしゃることがわかりました。
そのため、「テイラック」ではパッケージに「低気圧によって起こる不調を改善する医薬品」であることを表示し、頭痛以外にもお悩みがある方へ製品が届くように工夫しています。

Episode03

お客様から多くの声をいただき、製品が求められていたと実感。

井上さん

発売後、テレビCMを放映するとその反響はかなり大きく、世の中の多くの方にテイラックという製品を知っていただくことができました。
低気圧不調に悩んでいる方は多く、やはりお客様はこういう製品を求めていたんだ!と実感し、開発、ブランド育成に携われたことに喜びを感じました。

植田さん

不調の原因がわからずに困っているお客様に対し、低気圧が原因になっている可能性や、それに対処できる製品があるとお伝えできるようになったことで、お客様のお悩みに少しでも役立てたと感じることができています。また、私は研究担当ですが製品の発売後もマーケティング担当とともに、ブランド育成に携わることができており、そこにも大きなやりがいを感じています。

重田さん

この製品は、実際に低気圧不調に悩んでいる社員の悩みが全社員アイデア大会によって形になり、製品にまでなった小林製薬らしい製品だと思います。
開発を進めるなかでも、具体的なターゲットを常に描くことができたことで、製品戦略やパッケージ開発にも大いに役立ちました。今後も、常に一人ひとりのお困りごとに目を向け、お客様自身も気づいていないようなお悩みを解決できる製品開発を行っていきたいと考えています。

山岡さん

より早くお客様にお届けするため、開発においては大変な面もありましたが、チーム全体で協力し合うことで、予定通り発売することができました。
発売後も順調に売り上げを伸ばしており、お客様から求められいてることを実感でき、とても嬉しく思っています。

田中さん

私は普段、お客様相談室で勤務しているのですが、「テイラック」へのお褒めの言葉をいただく機会があり、とても嬉しかったです。
お話しを伺うと、お客様も長年私と同じ悩みを抱えていらっしゃり「テイラックを飲んで症状が改善された!」と言っていただけました。私自身も必需品となっており、自分のアイデアが製品化され、店頭に並んでいる光景を見ると大きな達成感を感じます。

アイデアの足し算から生まれた

『ナイトミン 耳ほぐタイム』

ナイトミン 耳ほぐタイム

「寝つきづらさ」に新たな策を!
メンバーのアイデアが結集した
「ナイトミン 耳ほぐタイム」

小林製薬が実施した調査※にて、20代〜60代の男女のうち約半数の方が「寝付きが悪い」と感じていることがわかりました。また、睡眠関連市場は需要増加の一途をたどっており、2017年に発売した睡眠時の口呼吸を予防する「ナイトミン 鼻呼吸テープ」がお客様に好評をいただいていました。そんな「眠り」に着目し、「寝付きづらさ」への新たなアプローチとして2021年に誕生したのが「ナイトミン 耳ほぐタイム」です。
専用のイヤーピースで、周囲の雑音による入眠の妨げを防ぎ、発熱体で耳を温めることで、リラックスを促すこの製品は、プロジェクトメンバーが既存製品や市場にあるあらゆるアイデアを足し算したことで、これまで市場になかった製品を創出した事例となっています。
※弊社調査(2020年2月 N=40,000 20~60代男女)

Project Member

プロジェクトリーダー/研究開発
「睡眠」に関する
新製品開発を推進

山中さん

2012年入社/生物科学専攻

研究開発
アイデア創出から
仕様検討までを担う

泉谷さん

2016年入社/農学研究科

ブランドマネージャー
顧客のニーズ把握、
訴求ポイントの創出

甲斐さん

2012年入社/生物学科

技術開発
耳栓本体の設計、
発熱体の仕様検討

関戸さん

2015年入社/電子光情報工学科

研究開発
耳栓の形状設計、
処方設計

氏原さん

2015年入社/生命科学専攻

研究開発
商品機能の目標値設定、
データ取得

浅野さん

2012年入社/応用生物科学専攻

マーケティング
商品コンセプト、
パッケージ、ネーミング開発

菅野さん

2013年入社/経済学科

Episode01

睡眠市場に新たな製品を!製品アイデアはどのようにして生まれたか?

泉谷さん

開発当時、「ナイトミン 鼻呼吸テープ」の売り上げが伸びていることから、睡眠に関する製品をお客様が必要としているのではないかと気づきました。
実際、弊社にて実施した調査でも20代〜60代の男女のうち約半数の方が「寝付きが悪い」と感じていることがわかったんです。そこで、これまで世の中になかった小林製薬らしい睡眠の新製品を開発したいと「睡眠プロジェクト」を立ち上げ、何度もアイデア会議を重ねました。

山中さん

当時、チームのなかでも「そもそもアイデアはどう生まれるのか?」を本気で議論していた時期でもありました。結果、アイデアとは既存のものの足し算だと腹落ちし、睡眠プロジェクトでも足し算するためにあらゆる要素をインプットしていたことを覚えています。

泉谷さん

有識者の先生にヒアリングにいったり、プロジェクトメンバーで“眠らない街”として知られる新宿歌舞伎町に行ってみたり…
普段のアイデア会議とは少し違ったスパイスを取り入れながら、いろんなアイデアを出しましたよね。

山中さん

とにかくいろんな方向からアプローチして、インプットに時間を費やしたのが他にはない製品を生み出せたことに繋がったと思います。
医師の方にヒアリングした際に、睡眠には副交感神経が深く関わっていること、体の中でも耳には多くの副交感神経が存在していることを知ったのが大きかったですね。また、開発メンバーから「耳栓をつけて寝ている」という声や、「赤ちゃんがリラックスして寝ている時、耳が赤く温まっているのではないか」という気づきをヒントに、そこから議論を重ね、イヤーピースに発熱体を組み合わせる現在の仕様にたどり着きました。発熱体には既存製品の『桐灰カイロ』の発熱技術を転用しています。これも既存アイデアの足し算をした例ですね。

Episode02

どんな耳でも安心・快適に使えるよう、試作と調査を繰り返す。

氏原さん

耳栓の形状を採用することは決まったのですが、人の耳の形状は千差万別。万人の耳に合う形を作るのに非常に苦労しました。耳に詳しい専門家の方にヒアリングに行き、社内で男女約100名以上の方に耳のサイズを計測させてもらいました。

関戸さん

耳は左右でも形状に違いが出るのですが、コストのことを考えると左右分けた仕様は難しい。共通して使用できるものがなんとか作れないかと耳の構造を理解することに努めました。

浅野さん

この製品が持つもう一つの大きな特徴が遮音性です。市販の耳栓と遜色ないレベルまで遮音性を上げることも大きな課題。試作し、無響室を借りて検証するなど、我々にとっても初めての試みがたくさんありました。

氏原さん

耳を温めるための発熱体はその小ささ故、安定した温度で長時間発熱をさせることが難しく、開発には非常に苦労をしました。何度も試作を繰り返したことで、最終的に安全で心地よいモノに仕上げることができたんです。

関戸さん

耳栓の形状で空気の供給量をコントロールできれば、温度の持続時間を延ばせるかもしれないと考え、そこも形状設計する際に気をつけていました。

浅野さん

この製品では、チーム一丸となって「どんな風にお客様の役に立てるか?」を職種問わず、真剣に議論しました。お客様にインタビューさせていただき、寝付きに関してどんな風に困っているのかを知り、共感することで製品のコンセプトやネーミングも一緒になって考えることができました。
「ナイトミン 耳ほぐタイム」のような前例のない製品でも担当者の情熱次第で実現できるのが、小林製薬の魅力だと改めて実感できた製品でした。

Episode03

本当に必要としているお客様に、製品を届けられるネーミングを。

甲斐さん

寝付きに悩む方に製品が届くよう、まずはターゲットを「ストレスで寝付けない人」をメインにすることに決めました。そうすると、本製品の特徴である耳栓を押し出すと、ターゲットに届かない可能性があります。そこで、当初は製品名にも耳栓という単語を使用していたのですが、思い切ってやめてみようという結論に達しました。

菅野さん

最初に考えていた案は調査結果もよく、「この製品はどんなものか」が分かりやすかったこともあり、見直す必要があるのかと社内で言われることもありました。
議論を重ねて生み出した現在のネーミングは、一見小林製薬らしくないものだったため、反対意見もあったのですが私たちが本当に届けたいターゲットには、こちらの方が絶対に良いと提案を続け、再検証の機会を得たんです。結果、想定していたターゲットには現在のネーミングの方が価値を感じていただけると分かり、安堵したことを覚えています。
チームが一丸となって「お客様により多くの喜びを提供する」ことに取り組む姿勢を、上司や経営層も応援してくれ、夢中で開発に取り組むことができました。

Episode04

「これまでにない」製品が、世の中に受け入れられていく喜び。

山中さん

睡眠という多くの人が抱える現代社会の課題に、小林製薬らしい「あったらいいな」を届ける『ナイトミン』ブランドを立ち上げ、拡大できたのが、とても大きな成功体験と自信になりました。
睡眠に関するお悩みはさまざまで、まだ多くの人が困っていらっしゃると思います。これからもアイデアを積み重ね、新たな「あったらいいな」を生み出していきたいですね。

泉谷さん

アイデアを考案するのにこんなにも苦戦したのは、この製品が初めてです。仕様が決定するまでに幾度も検討を繰り返し、ボツになったものもたくさんあります。
その後、製品がどんどん形になり、実際に発売された時には喜びもひとしおでした。今後、新しいメンバーが加わり、またちがった方向から睡眠のお困りごとを解決できる製品が生まれるのが今からとても楽しみです。

氏原さん

開発当時は、耳を温めるというこれまでにない習慣が受け入れられるのか不安もあったので、SNSで話題になったときは、非常に嬉しかったです。テーマや剤型も前例にない製品を生み出せたことは、非常に刺激的な経験となりました。

関戸さん

発売後、当初想定を上回る反響をいただくことができました。アイデアを聞いた当初は、これまでにない製品ということもあり、本当に喜ばれるのか不安でしたが、設計を進めるうちにどんどん自信が湧いてきたことを覚えています。

浅野さん

発売後は家族や友人からもメッセージをもらったり、SNSでの反響もたくさんいただけたりと、自分の仕事と社会のつながりを実感することができたプロジェクトになりました。
この製品は、前例がないことが多く、社内外のたくさんの方の協力を仰ぎながら手探りで開発を進めていきました。これも、前向きな失敗に対して寛容な企業風土だからこそできたと思っています。今後もお客様のお困りごとを解決できるよう、どんどんチャレンジしていきたいと思えるようになりました。

甲斐さん

開発時には苦難や壁がたくさんありましたが、思い入れの強い製品だったので諦めずに挑戦し発売に至りました。最高のチームメンバーと熱意を持って取り組み、無事に発売を迎えた日は今までに味わったことのない達成感を得ることができましたね。

菅野さん

反響が大きく、発売直後はこれまでにない出荷数を記録したことから、改めて新市場の創造や新製品開発にやりがいを感じることができました。
最高のメンバーに恵まれたことはもちろん、小林製薬にある柔軟な発想でモノづくりを行える環境が、この製品を生み出したのだと思っています。