製品を通じた社会的課題解決
“あったらいいな”をカタチにする、を世界へ
50年にわたり、当社は“あったらいいな”をカタチにすることで、『ブルーレット』や『熱さまシート』『のどぬ~る』『アイボン』といったニッチ製品を生み出し、新しい生活習慣を作り、新市場を創造してきました。ニッチ製品は大部分の人にとってはなくてもよいものに見えますが、特定のお困りごと(プロブレム)を持つお客さまにとっては、なくてはならない存在です。もし私たちが手がけなければ、そういったお困りごとは取り残されてしまい、お客さまが我慢するしかなかったものです。私たちはそんなお困りごとを見つけ出し、解決のアイデアを製品として生み出すことを得意としています。このようなお困りごとはまだまだ多く存在しており、しかも潜在しています。今後、さまざまな社会的課題にも視野を広げ、ますますスピードを持ってこのようなお困りごとを見つけ、解決策となるアイデアをひねり出し、お客さま一人ひとりの快適な生活や社会での活躍をサポートしていきます。現在、当社は150以上のブランドを保有しています。そのすべてがお客さまのお困りごとを解決していると言っても過言ではありません。当社の事業活動が広がれば広がるほど、さらに多くのお客さまのお困りごと、ひいては社会的課題を解決することになると考えています。それこそが私たちの使命であり、「誰一人取り残さない社会」の実現に向けた貢献にもつながります。日本で“あったらいいな”をカタチにしていくことはもちろんのこと、それをスピーディに海外にも展開していきます。それだけでなく、今後は世界各国に存在するお困りごとを見つけ出し、現地で独自の“あったらいいな”開発を実行できるよう挑戦していきます。
代表的なブランドと解決している社会的課題
社会的価値の創出
小林製薬で展開している社会的価値創出の一例として、『命の母』ブランドを通じた活動をご紹介します。女性保健薬『命の母A』は、1世紀以上女性の心と体の健康を応援したいという想いを受け継いできました。日本では、ほてりや動悸といった身体的な不調、また不安や突発的な怒りなどの精神的な不調がホルモンバランスの変調に起因することについて、十分に認識されているとはいえません。『命の母』ブランドは、そうした女性に多く見られる症状を緩和する医薬品としての貢献だけではなく、インターンシップなどを通じた女性ホルモンの啓発活動や、主要原料であるカノコソウの生産支援に取り組んでいます。
カノコソウ生産農家支援
CSVの取り組みの一環として、『命の母A』の主要原料であるカノコソウの生産者(北海道名寄市など)を支援しています。
収穫前後に必要な農業機械や洗浄装置の開発を官・民・生産者と協働することで、カノコソウ生産量の安定生産に取り組んでいます。生産者の経営安定に貢献することができるとともに、当社では高品質な国産生薬を安定的に調達することが可能となっています。
社会的課題の啓発活動
女性薬『命の母ホワイト』は、生理時の痛み(生理痛)や頭痛、腰痛やイライラなどの心身不調や生理不順、冷え症などを改善する医薬品です。
「PMS(月経前症候群)」と呼ばれる生理前の不調は女性ホルモンの乱れによるもので、年代を問わず多くの女性が悩まされています。女性ホルモンは、女性の一生に関わる、切っても切り離せないもの。正しく知り、理解し、自分なりのケアの仕方を見つけることが重要です。当社では女性ホルモンについて考えるきっかけとなるよう、将来の社会人である就職活動生を対象に『命の母ホワイト』リモートインターンシップを開催しました。女性ホルモンに関する講義の受講後、『命の母ホワイト』のWebCM(アニメーション動画)やバナーを制作、最優秀作品は、実際にGoogleやTwitterで広告として活用しました。今後も女性が全力で働ける世の中を目指し、女性ホルモンバランスについての啓発活動を推進していきます。
WebCM部門最優秀賞作品
バナー部門最優秀賞作品
CSV活動
当社は2023年2月にパーパスを制定し、全社一丸となって、社会課題解決への貢献と企業成長の両立を目指しています。パーパスの体現として、当社の強みを活かした社会課題解決と持続的な企業価値の向上を目指すCSV活動に注力しています。
これまでヘルスケア事業・日用品事業のさまざまな製品ブランドにおいて、製品やサプライチェーンにおける「お客様のニーズ」にとどまらない「その背景にある社会課題」の解決への貢献を目指しています。その一環として製品ブランドごとに「社会的価値の可視化」ワークショップを開催し、製品ブランドが解決できる社会課題、生み出せる社会的価値の可視化を行っています。
また、SDGsの目標17に「パートナーシップで目標を達成しよう」とあるように、小林製薬単独では解決できない社会課題に対し、行政・民間企業・NPO・教育機関などさまざまなセクターと連携した取り組みを進めています。
オリオンビール社と協働した沖縄県における「生活習慣改善プログラム(血糖値対策)」
当社では2016年より特定保健用食品、血糖値対策サプリメント「サラシア100」を販売し、血糖値対策の浸透に努めてきました。厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」によると、男性の19.7%、女性の10.8%が糖尿病に罹患しており、中でも沖縄県は糖尿病での死亡率が女性は全国ワースト1位、男性はワースト2位と深刻な社会課題となっています。
そこで、沖縄県に本社を置き、健康経営に力を入れているオリオンビール株式会社とパートナーシップを組み、沖縄県民の健康促進に貢献すべく2023年2月に「生活習慣改善プログラム(血糖値対策)」を発足させました。
本プロジェクトは、血糖値が気になるオリオンビール従業員が適度な運動や休肝日設定など、生活習慣の改善に取り組みながら、小林製薬の血糖値対策サプリメント「サラシア100」を6カ月間摂取し、被験者の健康状態や意識・行動変容の様子を確認する実証実験です。
被験者の健康向上はもちろんのこと、適正飲酒文化を推進するオリオンビールにおいて同社従業員が生活習慣の改善に取り組み、その過程・結果を積極的にホームページやリリース等で発信することで、沖縄県の皆さまの生活習慣病(糖尿病)に対する理解促進や生活習慣の改善意識向上に貢献します。
「ニンテスト」における認知機能・健康増進プログラム
当社は2021年に香りを嗅ぐことで認知機能の状態を判定するキット「ニンテスト」を開発しました。6種の香りを嗅ぐだけで、その場で認知機能レベルが判定でき、非常に簡便で迅速なスクリーニングが可能な製品です。
日本では昨今、認知症が大きな社会課題となっています。65歳以上の認知症患者の数は約600万名(2020年現在)と推計され高齢社会の日本では認知症に向けた取り組みが今後ますます重要になります。
認知機能の低下を早期に発見し、早期対策につなげることが有益であることから、「ニンテスト」を活用した自治体と連携した認知機能・健康増進の取り組みを行っています。