従業員エンゲージメント
従業員意識調査の実施
当社は、従業員の声を経営の重要指標と位置づけ、2024年より従来の「従業員意識調査」と「コンプライアンス意識調査」を統合した「声サーベイ(KObayashi Engagement Survey)」を実施しています。
2025年の結果は、前年比でエンゲージメント(「誇り」「継続意欲」「推奨意向」「将来性」等)のスコアに改善が見られたものの、紅麹事案前の水準には至っておらず、向上への道半ばであると認識しています。また、「経営への信頼」も改善傾向にあるものの、依然としてネガティブな回答が上回っており、会社に対する不安を完全には払拭できていない現状が浮き彫りとなりました。
また同年より、数値の単純比較に加え組織状態を可視化するための因子分析・構造分析を導入しました。その結果、エンゲージメント向上には単一の課題解決では不十分であり、複雑な要因が絡み合っていることが判明しました。特に「協調的な組織風土」の醸成と、その基盤となる「組織への信頼・共感」を並行して高めることが最優先課題であると特定しました。
この結果を受け、経営層によるワークショップを開催しました。エンゲージメントの向上には、経営層と従業員の「縦のつながり」だけでなく、部門を超えた「横のつながり」の活性化が不可欠であることを再確認したうえで、硬直化した議論を打破し、多角的な視点や迅速な合意形成を引き出すための戦略的手法として、経営会議として初めて「ゲーミフィケーション」の手法を導入しました。
多角的な視点から議論を深めた結果、他部門間での対話の場をはじめとする7つの具体的なコミュニケーション施策が決定しました。これらの施策を速やかに実行に移してまいります。
従業員の意識の変化
紅麹事案の発生以降、当社では従業員アンケートを定期的に実施し、現場の声を経営に反映する体制を強化しています。2024年8月の社長交代の時が最も悪く、その時と比較して、2025年8月には「会社の将来に対しての不安」や「会社からの情報発信が少ない」に関する項目で大幅な改善が認められました。
一方で、「現場の声が経営に届いているか不透明である」といった課題が顕在化しています。これは情報発信の迅速化により経営判断が可視化された結果、自身の意見の反映プロセスや現場の実態把握に対する期待がより高まった一段階上の課題であると分析しています。
この期待に応えるべく、経営層は従業員から寄せられたほぼすべての意見・質問(約320件)に対して、自ら目を通し、真摯に回答・フィードバックを行う異例の取り組みを実施しました。単なる「集計」にとどまらず、経営層が個々の声に直接返信し、現場の葛藤や提案を血の通った言葉で受け止めることで、「声が届いている」という実感を組織の隅々にまで浸透させることを狙いとしています。
こうした「双方向の徹底した対話」を通じて、経営層と従業員が互いの視点を共有し、共に未来を創るパートナーとしての信頼関係を再構築していきます。そして、より強固で一体感のある組織へと進化させてまいります。
従業員意識調査結果
インターナルコミュニケーショングループの取り組み
当社は2025年1月に、当時の広報部内に「インターナルコミュニケーショングループ(ICG)」を新設しました。そして、経営層への信頼回復と協調的な組織風土への変革を加速するため、2026年1月に広報・総務本部長直下の独立組織として再編しました。これは、社内コミュニケーションを単なる情報伝達手段ではなく、「持続的な成長を支える経営基盤(インフラ)」と再定義したことによる戦略的配置です。
「声サーベイ」等の分析で浮き彫りとなった組織課題に対し、ICGが主導となり、エンゲージメント向上に向けた施策を重層的に展開しています。主な取り組みは下記の通りです。
- 経営層と従業員の信頼構築:経営層によるライブ配信や対話機会の創出など
- 従業員同士の相互理解:部門をまたいだ対話や感謝を伝え合う機会の創出など
- 外部知見の注入:他社の弁者による講演会、他社訪問記事(社内報)など
- 愛社精神と一体感醸成:創業精神を語るミュージアムの進化、家族イベントなど
- この先も紅麹事案を会社として風化させないための取り組み
今後も、ICGは速やかで透明性の高い情報発信はもちろん、それにとどまることなく、経営と現場を双方向でつなぐ「組織の潤滑油」としての役割を徹底してまいります。
具体的には、従業員一人ひとりが抱く感情や現場の切実な状況を、バイアスのない「生の声」として経営層へ正しくフィードバックし、同時に、複雑化する経営環境下における戦略や想いを、全従業員が自身の業務に結びつけて理解できるよう、迅速かつ平易な言葉で浸透させていく「翻訳者」としての機能も強化してまいります。
こうした経営層と従業員の双方向のコミュニケーションを通じて、従業員が「自らの声が経営に届く」という実感を持てる環境を整えます。その結果、すべての従業員が誇りと働きがいを持ち、自律的に挑戦し続けられるエンゲージメントの高い組織の構築を目指します。

