従業員エンゲージメント
従業員意識調査の実施
当社は、従業員を重要な経営資本と捉え、従業員自身の働きがいや品質に対する意識を高めることが、会社全体の生産性や品質の向上をもたらし、会社としての持続的成長につながると考えています。
そのために、会社と従業員の関係性を定点観測し、良好な状態を維持・向上させる「会社の定期健康診断」として2019年から従業員意識調査を、また、コンプライアンス意識の状況や会社・職場の改善すべき点を把握することを目的に、「コンプライアンス意識調査」を2012年から実施しています。目には見えない従業員の意識を見える化することで、働きがいを高め、会社全体の生産性向上、各組織の改善、企業としての持続的成長を目指す指標にしています。
2024年に、これら2つの意識調査を「声サーベイ(KObayashi Engagement Survey)」として統合し、課題と対策立案の一元化や回答者の負担軽減につなげ、より効率的に意識調査を実施する体制を整備しました。
現在策定中の中期経営計画において、声サーベイのどの指標をKPIに定めるべきかについては、改めて精査のうえ開示いたします。また、今後、声サーベイの結果をより有効に活用すべく、分析を高度化し、職場でのディスカッションを活性化させていく予定です。
ここで、従業員意識調査の結果を活用した事例をご紹介します。将来性に関するスコアが近年下降傾向にあったことを受け、2022年から2023年にかけて、有志の従業員を対象としたグループディスカッションや役員研修において、当社の未来を考えるテーマで問題を掘り下げ、対策を検討しました。その中で、今後もお客様が気づいていない必要なものを発見し、“あったらいいな”をカタチにし続けていくために、私たちの社会での役割や存在意義を改めて議論し、これからもより多くの人々の可能性を支援していきたいと考え、パーパスとして明文化しました。
従業員とのコミュニケーションの強化
2024年12月期に発生した紅麹関連製品の回収事案(以下「本件事案」)に関する再発防止策において、「品質・安全に関する意識改革と体制強化」を3本の柱のひとつとして策定しており、品質・安全に関する社長メッセージを全従業員向けに発信したり、従業員との対話の機会を増やしたりすることで、「品質・安全ファースト」の意識改革を行っています。
1点目の社長メッセージでは、当社の社風をより風通しが良いものに変え、正しいことを力強く進めていくことができるような内容も発信しています。このように、社長の考えや思いを、週2通のペースで発信される全役員・従業員向けのメールマガジン、全社向けに実施した経営方針発表会や年初の年頭訓示等の機会を活用し、定期的に発信することを継続しています。
2点目の従業員との対話の機会については、社長と全従業員が対話する全社ワークショップや、役員と管理職とのワークショップの実施、そして、社長が全国の工場・営業所・研究所などの事業所を訪問する際にも、現場とのワークショップの実施を継続しています。
定期的な社内アンケートの実施
本件事案の発生以降、当社では従業員を対象とするアンケートを定期的に実施しており、従業員の声を経営に反映させる体制を取っています。これまでにアンケートは2024年10月に実施した声サーベイを含めて7回(2024年5月、7月、8月、10月、11月、2025年1月、3月)実施しており、2024年5月に実施した1回目のアンケート結果と最新の2025年3月のアンケート結果とを比較すると、「会社からの情報発信」に関するスコアにおいて大きく改善が認められます。
2024年8月のアンケートまでは、原因究明の進捗状況や品質向上施策について、従業員から情報提供を求める多くの意見が示されていましたが、再発防止策を公表して以降は、今後の当社の成長戦略に関する説明が多く求められるようになりました。今後は、新たな成長戦略について、経営陣からのメッセージや社内報などを通じて従業員に共有していく予定です。
一方で、依然として「会社の将来に対する不安」に関するスコアは高く、品質と安全に関わる方針の整備やその実現に向けたリソース等の強化、人材育成体系の充実化、経営と現場間のコミュニケーション強化などの課題も上がっており、今後、これらの課題解決を図ることで、従業員のエンゲージメントの向上を推進していきます。
従業員意識調査結果
インターナルコミュニケーション グループの新設
上記のような課題意識のもと、当社は、経営陣と従業員との間のコミュニケーションを活性化させ、相互の信頼を醸成し、従業員エンゲージメントの向上を図るための専門組織として、2025年1月1日付で、広報部内に「インターナルコミュニケーショングループ」を新設しました。
インターナルコミュニケーショングループは従業員意識調査の実施を推進するとともに、社内報を運用する役割も担っています。経営陣からのメッセージや会社にとって重要な情報を社内報に集約し、正しい情報を速やかに従業員に共有する体制を整えています。
引き続き、従業員が生み出す価値を最大化できる環境の構築を目指し、従業員一人ひとりの意識や職場の状況を経営陣に正しく届け、一方で経営に関する情報を速やかに従業員に伝えることで、従業員の働きがいや品質意識の向上に貢献し、それによって当社が持続的に成長できるよう推進していきます。

