生物多様性保全

基本的な考え方

当社グループは、植物原材料を中心とした様々な生態系サービスを利用し、事業活動を行っています。地球環境の重要基盤である生物多様性が生み出す自然の恵みは、当社グループが創出する『快』の根源であり、生物多様性を保全することは持続的に事業活動を行っていくために重要な課題だと考えています。

当社グループでは、2020年に生物多様性保全に関して基本的な考え方、活動指針を明確にしました。

全社員が生物多様性の重要性を認識し、国際社会や地域と深く関わることで良好な関係を築き、生物多様性に関する社会的責任を果たすことを通じて、持続可能な社会の実現に貢献します。

活動指針

  1. 実態の把握

    事業活動や製品の使用・廃棄物等が、生物多様性に与える影響について把握します。
  2. 影響の低減

    生物多様性に配慮した資源の有効利用を図り、生物多様性に与える影響を低減します。
  3. 法令の遵守

    各国・各地域の生物多様性条約に関連する法律や条例、国内ABS(Access and Benefit-Sharing:「遺伝資源へのアクセスとその利用から得られる利益の配分」)指針等を遵守します。
  4. 従業員教育と社内外連携

    生物多様性保全に資する従業員教育の実施や、社内外の関係者との連携・協働を通じ、社会全体の生物多様性に関する保全意識の向上に努めます。

目標

持続可能な原材料調達

当社グループは、地球環境の重要基盤である生物多様性が生み出す生態系サービスが自社事業の根源であるという認識に基づき、持続可能な原材料調達に取り組みます。特に、紙やパーム油は当社にとって重要な原材料の一つと位置づけています。当社グループはその原材料調達において「森林破壊ゼロ」を実現するため、NDPEを支持し、持続可能な調達を推進します。

No Deforestation, No Peat and No Exploitation:森林減少禁止、泥炭地開発禁止、搾取禁止

  1. 保全価値の高い(HCV)地域及び炭素貯蔵力の高い(HCS)森林を保護します。
  2. 労働者及び先住民や地域社会の権利の尊重と保護のため、自由意志に基づく事前の情報提供による同意(FPIC)を担保します。

持続可能なパーム油の調達目標

当社グループは持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させるべく、持続可能なパーム油の調達目標を策定しました。

2030年までにRSPO認証油に100%切り替える

対象:国内(OEM/ODMは除く、富山小林製薬・仙台小林製薬・愛媛小林製薬・桐灰小林製薬・アロエ製薬・梅丹本舗)

取り組み

持続可能なパーム油

RSPOのロゴ

当社グループは植物原料のひとつとして、世界で最も生産量の多い植物油脂であるパーム油の誘導体を使用しています。そのパーム油は主にマレーシアやインドネシアで生産されています。このパーム油の原料であるアブラヤシはプランテーションによる熱帯雨林の伐採やそれに伴う野生生物の生息地縮小等の問題が生じています。また、不適切な農園経営による人権・労働問題も指摘されています。

上記の問題解決に向けた第一歩として、当社グループは「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO※1」に参画しました。今後は持続可能なパーム油の調達のため、RSPOサプライチェーン認証※2とRSPO認証油の取得等に取り組んでいきます。

  1. Roundtable on Sustainable Palm Oil(持続可能なパーム油のための円卓会議)
    RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)は、持続可能なパーム油の生産において、法令遵守、経済的持続可能性、環境的および社会的有益性を求めています。この要件は「RSPOの原則と基準(P&C)」に示されており、7つの原則と40項目の基準が設定されています。これを満たして生産されるパーム油のみをRSPO認証パーム油としています。
  2. RSPOサプライチェーン認証
    RSPO認証原料が全てのサプライチェーンで確実な受け渡しシステムが構築されていることを、外部審査員の監査を経て認証される制度です。

持続可能な紙の調達

当社グループは商品の個箱や台紙で主に紙・パルプを使用しています。これらの資源調達において「生物多様性の保全の基本的な考え方」や「持続可能な原材料調達の基本的な考え方」のもとに、サプライヤーと協力して、FSC認証紙等の持続可能性に配慮した紙の調達を進めていきます。

FSC認証紙とは、FSC(森林管理協議会)が定める責任ある森林管理や加工・流通の規格に基づいて認証された紙のことです。この認証は、適切に管理された森林から生産された木材や低リスクの木材を使用した製品に付与されます。FSC認証製品を選ぶことで、環境や地域社会に配慮した森林管理を支援し、森林保全に貢献できます。

自然資本に関する依存と影響(TNFDフレームワークに基づく開示)

当社グループでは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の理念に賛同し、取り組みを進めています。

自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD):民間企業や金融機関が、自然資本および生物多様性に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組み構築を目指す国際的な組織。Taskforce on Nature-related Financial Disclosuresの略。UNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)、UNDP (国連開発計画)、WWF(世界自然保護基金)、グローバルキャノピー(英国のNGO)により、2021年6月に正式発足。

当社グループにおける自然への依存と影響の関係を整理するため、TNFDのツールである「ENCORE」を使用し、一次評価を行いました。

ENCORE :Exploring Natural Capital Opportunities, Risk and Exposure。ビジネスセクターと生産プロセス毎の自然資本への依存と影響を評価するツール。Natural Capital Finance Allianceが主導でUNEP-WCMC(国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター)などと共同で開発。

サプライチェーン上流・直接操業における主要項目の依存・影響ヒートマップ

依存
影響
評価を行った結果、サプライチェーン上流の植物原材料の調達において、依存リスクが高いこと、陸上生態系や水利用において影響リスクが高いことが示されました。当社グループは取り扱う事業が多岐にわたることから、事業規模、自然依存の関係から植物原材料の中でもパームや生薬に関する事業を中心に、依存関係や陸上生態系、水利用などの詳細分析を行うこととしました。

今後は2025年でのTNFD開示を目指してLEAPアプローチを進める予定です。

LEAPアプローチ:TNFDが推奨する自然との接点、自然との依存関係、インパクト、リスク、機会など、自然関連課題の評価のための統合的なアプローチ