気候変動への対応

基本的な考え方

当社グループは、マテリアリティのひとつに「気候変動課題への挑戦」を掲げています。パリ協定に基づき、省エネルギー活動にとどまらず長期的なGHG排出量の削減に取り組みます。

体制

製品開発部門(日用品・ヘルスケア・国際事業部)・製造本部・中央研究所・サステナビリティ経営本部の代表メンバーで月1回環境推進会議を開催し、GHG長期排出削減目標の設定から具体的な削減施策の協議まで幅広いテーマを取り扱っています。環境推進会議を経てから、サステナビリティ委員会、取締役会にて審議・報告・協議する体制を取っています。

目標と実績

GHG長期排出削減目標

Scope 1,2 の GHG排出量を 2030 年までに 51%削減 (基準年 2018年)
Scope 3 の GHG排出量を 2030 年までに 15%削減 (基準年 2018年)

SBTロゴ

当社では、ESGテーマの中でも気候変動対応を最重要課題と捉え、2030年までにグループ全体のGHG排出量(基準年2018年)をScope1,2は51%削減、Scope3は15%削減する目標を設定しました。※1
この目標は2022年10月にSBTイニシアチブ※2より「1.5°C水準」の認定を取得しました。

また、当社は、2050年までに、グループ全体のScope1,2についてはカーボンニュートラルを目指します。

  1. Scope1,2,3とは
    Scope1:事業者自らによる直接排出
    Scope2:他社から供給された電気などの使用に伴う間接排出
    Scope3:Scope2以外のすべての間接排出
  2. SBTイニシアチブは、パリ協定目標達成に向け、企業に対して科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標を設定することを推進している国際的なイニシアチブ。
    環境情報の開示に関する国際 NGO である CDP、国連グローバル・コンパクト、WRI(世界資源研究所)、WWF(世界自然保護基金)の 4 団体が共同で 2015 年に設立。
    SBTイニシアチブのWebサイト(英文)

GHG排出量の推移

  単位 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
Scope1 千t-CO₂ 7 6 6 6 6 6
Scope2 千t-CO₂ 23 24 18 18 18 18
Scope3 千t-CO₂ 596 616 447 508 525 559

取り組み

Scope1,2 削減のための取り組み

当社は、国内を中心に工場、オフィス、研究所などの拠点が存在します。特にScope1,2は国内工場によるGHG排出が多い状況です。そのため、削減施策として空調機の更新、冷熱設備の断熱強化、照明のLED化など、工場の電力使用量を抑える活動を進める一方、今後生産拡大によるエネルギー使用量の増加が予想されることから、国内主要工場の使用電力をCO₂排出ゼロ電力へ切り替えています。
2020年には、仙台小林製薬を100%、2023年には富山小林製薬、小林製薬プラックスの一部電力をCO₂排出ゼロ電力に切り替えました。
今後も段階的にCO₂排出ゼロ電力に切り替えることで2030年の長期排出削減目標の達成を目指していきます。

国内拠点の電力使用量推移

国内拠点グラフ

Scope3 削減のための取り組み

サプライヤーとの協働

当社は、グループ全体のCO₂ 排出のうちScope3 が約95%を占めています。多くのサプライヤーと関わりながら製品開発を行っており、サプライチェーン全体におけるCO₂排出量の削減は重要課題です。
2022年よりCDP(世界的な環境情報開示システムを運営する国際環境非営利団体)が実施する「CDPサプライチェーンプログラム」に参加しています。同プログラムを通じて、サプライヤーとのGHG排出量削減に向けたエンゲージメントを行っていきます。

CDP Supply Chain Memberロゴ

GHG排出量の見える化

製品ごとの原料の調達から製造・廃棄までのGHG排出量を見える化し、削減に向けた施策を検討するためカーボンフットプリントの算定体制を整え、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SUMPO:さんぽ)の「SUMPO/第三者認証型カーボンフットプリント包括算定制度」の認証を取得しました。本認証の取得は、日本で3社目であり一般消費財メーカーでは初めての取得となります。今後も製品開発における環境負荷低減に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

GHG排出量の見える化

物流における取り組み

エコシップマーク使用継続通知書

配送トラックの大型化による台数削減や積載量の効率化を図っています。そしてミルクランを推進して、車両の効率的な運用に取り組んでいます。

配送方法だけでなく、トラックなどにより効率的に積載するために、パッケージや積み方を変更することで積載効率を上げるなど、資源の有効利用・廃棄物の削減も図っています。

また、船舶を使った輸送などモーダルシフトも推進し、「エコシップマーク」も取得しています。

オフィス部門における取り組み

(1)室温管理の徹底、(2)照明の間引きやLEDへの更新、(3)クールビズの実施、などの取り組みを行っています。

オフィス部門における取り組み
間引かれた電灯

エコカーの導入促進

近年、環境面への配慮として、製品の生産から物流までのすべての段階において、資源の有効活用やエネルギー、廃棄物の削減に取り組んでいます。

当社グループにおいても、燃費向上を目指したエコドライブに取り組んでおり、2023年度 エコカーの導入率は94.1%となりました。今後もエコカーの導入を進めてまいります。

ESGデータ集

ハイブリッドカーの導入促進
エコカーの導入促進

業界団体・イニシアチブとのかかわり

当社グループは、日本製薬団体連合会とその傘下にある日本OTC医薬品協会に加盟し、それらの団体が取り組む「カーボンニュートラル行動計画(旧・低炭素社会実行計画)」に参画しています。また、当社グループは、日本政府が掲げる、2050 年カーボンニュートラルの実現を最も重要なゴールと位置づけている「カーボンニュートラル行動計画(旧・低炭素社会実行計画)」に賛同し、2024年にカーボンニュートラル宣言をいたしました。
当社グループは、気候変動戦略において加盟する業界団体の立場と自社の立場の一貫性を持たせるため、気候変動に関する経済産業省、環境省などの政府系主催のセミナーや業界団体主催のセミナー等に参加し、各種関連団体の気候変動に関する議論等を行い、それらを社内に報告・共有しています。その内容が当社グループの立場・考えに沿っているかを確認し、異なる場合は代表取締役社長を委員長としたサステナビリティ委員会を通じて調整を行います。このプロセスを通じて当社グループの気候変動戦略との活動を一致させています。

富山小林製薬CO₂削減の取り組み

富山小林製薬は、第二種エネルギー管理指定工場であり、健康補助食品の生産増加などに伴い、CO₂排出量は増加する傾向にありますが、継続して削減の取り組みを行っています。

まず、設備機器の使用に伴う排気を暖房に利用する、配管を保温するなど、生産を行う上で使用する設備の効率化、再利用などを行っています。

また、海外の原料や資材のルートを変更するなどして、船舶輸送を増やすことでモーダルシフトを進めています。その他遮熱塗装や室外機への散水など空調の効率的運用も行い、省エネルギーに努めています。

仙台小林製薬CO₂削減の取り組み

仙台小林製薬では、「アイボン」や「液体ブルーレットおくだけ」など当社グループの主力製品の製造を行い、グループの中核製造拠点という役割を担っています。新たに「サワデー香るスティック」の製造を開始する等、生産品目は増加傾向にありますが、継続して様々な環境への負担を抑える取り組みを行っています。

照明LED化、自動点滅による省エネ

従来の蛍光灯からLED照明にすることにより、電力消費量を削減しました。また、照明に人感センサーを積極的に導入して自動点滅させ、ムダな電力削減に努めています。

従来の蛍光灯

従来の蛍光灯

LED照明

LED照明

環境委員会活動

各グループが身近な環境問題の改善に取り組み、毎月進捗状況を環境委員会で報告し協議しています。

  • 生産現場では生産で使用するエアー使用量削減、エアー吐出圧削減
  • 冷熱設備の断熱強化
  • 物流では、自動ラップ巻機の設定変更によりラップ使用量削減
  • 品質管理では、試験アルコール使用方法見直しにより廃液量削減 など

愛媛小林製薬CO₂削減の取り組み

愛媛小林製薬は、「熱さまシート」や「サラサーティ」など、不織布加工技術に特化した製造工場です。
地域の、そして地球の自然にやさしい会社であることを目指し、省エネや廃棄物削減等には専門の対策チームを設けて、積極的に環境活動を推進しています。

「環境への負荷を低減する事業経営」が認められて、2004年に全国でもいちはやく環境省の認定制度「エコアクション21」を取得しました。

高効率モデルの設備に更新

大電力を消費する老朽化設備を高効率モデルに順次更新しました。
従来品に比べ、エアコン、エアコンプレッサの使用電力が削減できました。

更新したエアコン

更新したエアコン

更新したエアコンプレッサ

更新したエアコンプレッサ

第三者保証の実施

当社グループでは温室効果ガス排出量(海外のScope1、Scope2、国内のScope3カテゴリー1)の開示情報の信頼性を高めるために外部の第三者機関による保証を受けました。

今後も、第三者保証を有効に活用し、継続的に排出量算定の精度向上に取り組んでいきます。

GHG排出量2023のGHG排出量
GHG排出量(国内)の算定方法
国内Scope3カテゴリー4~15に関して
独立した第三者保証報告書