低炭素社会への貢献
CO2排出量削減への取り組み
「環境中期目標」の最終年度である2020年度は、オフィス部門では積極的な省エネルギー活動に取り組んだものの製造部門ではエネルギー使用量が増加し、CO2排出量は前年比1.6%増となりました。 連結売上高の減少により売上原単位は悪化いたしました。
環境中期目標の省エネルギー・CO2削減目標である「2020年 売上原単位2005年比20%削減」に対し、24%削減となり目標を達成いたしました。
気候変動問題への対策は全世界の共通課題となっており、小林製薬グループとしても、最優先事項と位置づけております。
2015年に採択された「パリ協定」の考え方に基づき、2019年にCO2排出削減目標の見直しを行い、「グループ全体のCO2排出量(スコープ1、2)を2030年までに2017年比54.6%削減」という長期削減目標を設定しております。
CO2排出量の推移
CO2排出量につきまして、ここ数年電気利用の排出係数が変動しておりますが、弊社においてはこれまでの取り組みとの比較のため、固定値(0.378kg-CO2/KWh)を使用して算出した数値を掲載しております。
売上原単位
CO2の排出量を総量ではなく活動あたりの排出量で規制する考え方。当社では、売上金額を基準に算出しています。
製造部門における取り組み
2020年度は、3工場(富山小林製薬、仙台小林製薬、小林製薬プラックス)が省エネ法(エネルギーの使用の合理化に関する法律)における第2種エネルギー管理指定工場となっており、法令に基づく適正管理と届出を行っています。
各工場では、空調機の更新やエアー使用量の削減、冷熱設備の断熱強化の効果等の運用改善を行い、電力使用量の削減に取り組みました。
今後も生産活動の拡大により、エネルギー使用量が増加することが予想されますが、生産効率のアップと工程上のロスや在庫削減などにつとめ、省エネ効果の高い設備更新などの省エネルギー活動を行ってまいります。
また、CO2排出の多い国内主力工場を中心にCO2排出ゼロ電力の導入などを進めており、2020年度は仙台小林製薬の使用電力をCO2排出ゼロ電力に切り替えました。
電気消費量の推移

製造部門における原油換算消費量の推移

物流における取り組み
配送トラックの大型化による台数削減や積載量の効率化を図っています。そしてミルクランを推進して、車両の効率的な運用に取り組んでいます。
配送方法だけでなく、トラックなどにより効率的に積載するために、パッケージや積み方を変更することで積載効率を上げるなど、資源の有効利用・廃棄物の削減も図っています。
また、船舶を使った輸送などモーダルシフトも推進し、「エコシップマーク」も取得しています。

オフィス部門における取り組み
(1)室温管理の徹底、(2)照明の間引きやLEDへの更新、(3)クールビズの実施、などの取り組みを行っています。

間引かれた電灯
ハイブリッドカーの導入促進
近年、環境面への配慮として、製品の生産から物流までのすべての段階において、資源の有効活用やエネルギー、廃棄物の削減に取り組んでいます。
小林製薬グループにおいても、前年比5%の燃費向上を目指したエコドライブに取り組んでおり、ハイブリッドカーの導入率は86.0%となりました。今後もハイブリッドカーの導入を進めてまいります。

ハイブリッドカーの導入促進
【富山小林製薬㈱】CO2削減の取り組み
富山小林製薬は、第二種エネルギー管理指定工場であり、健康補助食品の生産増加などに伴い、CO2排出量は増加する傾向にありますが、継続して削減の取り組みを行っています。
まず、設備機器の使用に伴う排気を暖房に利用する、配管を保温するなど、生産を行う上で使用する設備の効率化、再利用などを行っています。
また、海外の原料や資材のルートを変更するなどして、船舶輸送を増やすことでモーダルシフトを進めています。その他遮熱塗装や室外機への散水など空調の効率的運用も行い、省エネルギーに努めています。
グリーンカーテンで節電・エコ活動
2012年に、夏の節電への取り組みとして、事務所建屋の東側と南側にゴーヤ、ヘチマ、ひょうたんの苗を植え、グリーンカーテンとして育てました。成長したグリーンカーテンにより、夏場の事務所内は涼しくなり、扇風機だけで過ごせる日もありました。その後は、植物から遮光性の高いカーテンに変更し、植物と同等の遮光性を担保することで室内温度の上昇を抑制しています。植物を植えるより育成の手間がかからない上、台風・大雨等の自然の影響も受けにくいため、より効率的な省エネ効果を得ることができました。

成長したグリーンカーテン

事務所建屋を覆うグリーンカーテン
【仙台小林製薬㈱】CO2削減の取り組み
仙台小林製薬では、「アイボン」や「液体ブルーレットおくだけ」など小林製薬グループの主力製品の製造を行い、グループの中核製造拠点という役割を担っています。新たに「サワデー香るスティック」の製造を開始する等、生産品目は増加傾向にありますが、継続して様々な環境への負担を抑える取り組みを行っています。
【3Rの取り組み】危険物廃液処理から有価物へ
以前は危険物廃液を特別管理産業廃棄物として産業廃棄物処理業者に委託処理して頂いていましたが、現在は補助燃料として有効利用出来るようになり、有価物として売却しています。

委託処理していた危険物廃液
【省エネの取り組み】照明LED化、自動点滅による省エネ
従来の蛍光灯からLED照明にすることにより、電力消費量を68%削減(85W→26W)、また生産現場の照度を58%向上(315lx→500lx)しました。また、照明に人感センサーを積極的に導入して自動点滅させ、ムダな電力削減に努めています。
【環境委員会活動】
各グループが身近な環境問題の改善に取り組み、毎月進捗状況を環境委員会で報告し協議しています。
- 生産現場では生産で使用するエアー使用量削減、エアー吐出圧削減
- 冷熱設備の断熱強化
- 物流では、自動ラップ巻機の設定変更によりラップ使用量削減
- 品質管理では、試験アルコール使用方法見直しにより廃液量削減 など
【愛媛小林製薬㈱】CO2削減の取り組み
愛媛小林製薬は、「熱さまシート」や「サラサーティ」など、不織布加工技術に特化した製造工場です。
地域の、そして地球の自然にやさしい会社であることを目指し、省エネや廃棄物削減等には専門の対策チームを設けて、積極的に環境活動を推進しています。「環境への負荷を低減する事業経営」が認められて、2004年に全国でもいちはやく環境省の認定制度「エコアクション21」を取得しました。
高効率モデルの設備に更新
大電力を消費する老朽化設備を高効率モデルに順次更新しました。
従来品に比べ、エアコンは使用電力が年間で13%の削減、エアコンプレッサは年間で3%の削減となりました。新たなCO2排出削減長期目標の設定
長期削減目標
「グループ全体のCO2排出量(スコープ1、2※1)を2030年までに2017年比54.6%削減」
小林製薬では、ESGの中でも気候変動問題を最優先課題と捉え、 2015年に合意された「パリ協定」の考え方に基づきCO2排出削減目標の見直しを行い、「グループ全体のCO2排出量(スコープ1、2※1)を2030年までに2017年比54.6%削減」という新たな長期削減目標を設定しました。削減施策として、CO2排出の多い国内主力工場を中心にCO2排出ゼロ電力の導入などを進めます。
今後、スコープ3※2についても削減目標を設定し、サプライチェーン全体でのCO2削減に取り組んでいきます。
- スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出。
スコープ2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出。 - スコープ3:スコープ2以外の間接排出
環境負荷軽減に向けた環境中期目標の進捗
小林製薬では、事業を行う上で発生する環境への負荷軽減に向け、2020年度を目標とする環境中期目標を設定し取り組んでいます。
重要課題であるCO2排出削減では、工場・オフィスでの積極的な省エネルギー活動の結果、2019年度売上原単位で2005年度比32.5%削減と、大幅に目標を削減できています。
2020年度環境目標と実績
テーマ | 対象部門 | 2020年12月期目標 | 2019年12月期に実施したアクションプラン | 2020年12月期結果 |
---|---|---|---|---|
省エネルギー CO2削減 |
製造 | 売上原単位 2005年3月期比20%削減 (2005 年 0.162t-CO2 /百万円) (2020 年 0.129t-CO2 /百万円) |
|
売上原単位 2005年3月期比24%削減 (2005 年 0.162t-CO2/百万円) (2020 年 0.124t-CO2/百万円) |
オフィス |
|
|||
廃棄物削減 | 製造 | ― |
|
廃棄物排出量 2019年12月期27%削減 |
リサイクル | 製造 | 全事業のリサイクル率を99.5% 以上 |
|
リサイクル率99.8% |
化学物質対策 | 製造 | PRTR(有害化学物質)対象物質の各工場排出量を100kg以下に維持する |
|
大気、水系、土壌への排出量としては0 (ただし、移動量としては一部工場で100kg超) |
省資源 | 製造 | 環境配慮型製品の拡大 |
|
2020年3月より環境配慮樹脂を使用した製品を発売 |
グリーン 調達/購入 |
製造 | 調達先、委託先との関係性強化 |
|
2020年にCSRに配慮した調達を調達先とともに取り組む旨説明会実施 |
当社は、2020年12月期の中期計画より、売上原単位で目標を設定しました。
中期経営計画
2020-2022 年中期経営計画においても、戦略骨子の一つに「ESG視点で経営を磨く」を掲げ、ESG各項目における重要課題を設定しています。環境においてはCO2 排出量削減や製品開発における環境負荷低減を優先テーマとし、取り組みを進めています。
優先テーマ | 活動の方向性 | 優先テーマ | 活動の方向性 |
---|---|---|---|
製品開発における環境負荷削減 | ● 「 小林製薬 製品開発エコ基準」の導入/「エコをカタチに」マークの付与 | CO2排出量削減 |
● CO2長期削減目標の設定
|
● 環境に配慮した製品開発
|
● スコープ 1・2※1の削減施策実施
|
||
その他 | 廃棄物・有害物質管理/ 資源管理(水)/生物多様性 |
- ※1 スコープ1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出 スコープ2:他社から供給された電気等の使用に伴う間接排出
- ※2 スコープ3:スコープ2 以外の間接排出