水資源
基本的な考え方
当社では、製造工程における水の直接利用をはじめ、原材料のパーム油や漢方生薬等を製造する工程において多くの水を必要としています。そのため、限りある水資源を大切に利用するため、「小林製薬 新・環境行動指針」に沿って、事業活動全体の水リスク調査とその対応、生産拠点の水使用量(取水量)削減、水の循環利用などの取り組みを行っています。
体制
当社は毎月、製造本部長を委員長とした製造本部環境委員会で水資源に関する重点課題について計画と進捗を共有し、取締役会で承認を得た上で、目標達成に向けたPDCAサイクルを回しています。
また、水使用量(取水量)については全量がメーターによって常時計測され、モニタリングによって管理されており、定期的な取水量チェックとデータベースへの記入を行っています。取水量及び排水量に大きな変動が確認された場合には各拠点の水削減委員会、または担当者が原因の調査、究明を行っています。
目標と実績
当社では今後ますます深刻化することが予想されている水資源問題を重要な環境課題の一つとして捉え、各国内生産工場での水使用量の削減、水質保全活動に取り組んできました。
2022年に新たに「水使用量の削減に関する定性目標」を設定したことで、今後さらなる活動の推進を図っていきます。
削減目標の達成に向け、国内生産工場全8工場で、水管理計画を策定し、水使用量の削減に取り組んでいます。
水使用量の削減に関する定性目標
取水量・排水量・排水の質などについて毎年継続的にモニタリングを行い、良質な製品の安定的な生産を実現しつつ、水使用量を可能な限り削減する。また、事業に影響を与える水関連のリスクの把握を継続的に行い、リスクの低減に努める。
水使用量
対象範囲 | 単位 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|---|
取水量 | 国内工場 | 千m³ | 263.0 | 255.1 | 258.0 |
海外工場 | 千m³ | 104.2 | 110.9 | 115.1 | |
排水量 | 国内工場 | 千m³ | 84.6 | 95.2 | 96.3 |
海外工場 | 千m³ | 55.2 | 58.6 | 65.5 |
取り組み
水使用量の削減に向けた具体的な取り組み
当社は、芳香剤「消臭元」や洗浄剤「液体ブルーレットおくだけ」、目の洗浄液「アイボン」などの原材料として水を使用するほか、生産ラインの品目切り替えの際の洗浄作業で水を使用しています。水使用量(取水量)の削減のため、工程の見直しや節水機器の導入などの取り組みを行っています。
リサイクル水の利用
仙台小林製薬では純粋EDIシステムから出た排水をトイレの排水やクーリングタワー水に2次利用することで取水量の削減に取り組んでいます。
外部イニシアチブへの参画
当社グループは、健全な水環境の維持または回復を目的とした取り組みの促進等を推進する官民連携のプロジェクトである「ウォータープロジェクト」へ2024年10月に加盟し、水リスクや水に関する取り組みについての他社との情報共有を通じて当社における取り組みの推進を検討しています。
富山小林製薬では地域の自然環境の保全および地域の健全な発展を図る「地下水の守り人」に登録し、地域の地下水の節水に協力するなど、各工場で環境に関する法規制の遵守や地域団体との協力を行いながら、水資源の保全に取り組んでいます。

水リスクの状況把握と対応
当社では製造拠点における水ストレスの高い地域を特定するために世界資源研究所(WRI)のツールであるアキダクト(AqueductOverall Water Risk Map)を用いて、国内外全ての製造拠点の水リスクを評価しています。
当社グループ全13工場のうち、アキダクトのBaseline water Stressの指標を用いて2024年度の水ストレスのスコアが「高い」2工場を特定しました。今後これら水リスクに対して、取水量の削減やリサイクルの推進等の検討を進めてまいります。
水ストレス地域における事業所数、取水量
水ストレス | 拠点数 | 取水量(千トン) | 全取水量に対する割合(%) |
---|---|---|---|
Extremely High(>80%) | 0 | 0 | 0% |
High(40-80%) | 2 | 104.6 | 28% |
Medium - High (20-40%) | 3 | 18.8 | 5% |
Low - Medium (10-20%) | 8 | 249.6 | 67% |
Low (<10%) | 0 | 0 | 0% |
拠点数計 | 13 | 373.1 | 100% |
集計対象:国内および海外生産拠点
水ストレス地域における取り組み事例
合肥小林薬業有限公司では噴霧乾燥工程に冷凝水収集タンクが設置されており、発生するドレンをボイラ給水として再利用し、水の使用量削減に取り組んでいます。
水質汚染汚濁防止
排水については、各国・地域の行政が定める法規制に基づいて、BOD(生物化学的酸素要求量)やCOD(化学的酸素要求量)等を測定し、排水処理基準を満たす処理を行った上で排水しています。日本では「水質汚濁防止法」、中国では「中華人民共和国水質汚染防止処理法」等に基づき、遵守することで汚染防止に努めています。なお、2023年度も法規制・自主基準ともに違反はありませんでした。