循環型社会の実現
基本的な考え方
当社グループは、循環型社会の実現に向けて、様々なステークホルダーと協働した取り組みを行っています。
特に製品容器包装においてはReduce(減らす)、Reuse(再利用)、Recycle(再資源化)、Renewable(再生可能原料への転換)の4視点での取り組みを重視しています。具体的には、つめ替え・つけ替え製品の拡充、容器の軽量化や薄肉化、部品点数の削減、外装箱の設計改善、再生プラスチックやバイオマスプラスチックなどの環境配慮樹脂の積極利用、持続可能性に配慮した紙の導入等を実施しています。資源を消費するのではなく4Rの活動によって循環させていくサーキュラーエコノミーの実現はさまざまな廃棄物問題の解決や気候変動への対策としても有効な手段となります。
目標と実績
プラスチック削減目標
2030年までに売上高あたりの化石資源由来のバージンプラスチック使用量を2020年比で33%削減
当社は、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させるべく、化石資源由来のバージンプラスチック使用量の削減目標を策定いたしました。当社では、製品に年間約16,000トンのプラスチックを使用しています。一般的な化石資源由来のバージンプラスチックは、その製造過程において多くの温室効果ガスが排出され、地球温暖化を推し進める一因とも言われています。加えてプラスチックごみの海洋流出も問題となっており、化石資源由来のバージンプラスチック使用量の削減に取り組むことは、企業の社会的責任であると考えています。
このたび、新たに使用量削減の数値目標を掲げることで、製品開発における環境負荷の低減をさらに推進してまいります。
当社のプラスチック ※使用量推移
2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | |
---|---|---|---|---|
プラスチック総使用量(千トン) | 16.7 | 17.3 | 16.9 | 14.6 |
バージンプラスチック使用量(千トン) | 16.7 | 14.6 | 14.2 | 12.1 |
連結売上高(千億円) | 1.5 | 1.6 | 1.7 | 1.7 |
売上当たりのバージンプラスチック使用量(kg/百万円) 【バージンプラスチック使用量/連結売上高】 |
111.2 | 94.3 | 85.3 | 69.8 |
基準年(2020年)からの削減率 | — | △15% | △23% | △37% |
容器包装プラスチック
取り組み
Reduce:減らす
プラスチック製アイキャッチシール廃止
当社は小林製薬 製品開発エコ指標にて、製品に添付しているプラスチック製アイキャッチシールの廃止を掲げ、プラスチック使用量の削減に努めています。パッケージデザイン上の工夫、環境配慮素材への切り替えなどを行うことで、お客様の視認性を確保しつつ、環境負荷低減へ貢献出来る製品開発に取り組んでいます。

新しい梱包方法の導入で梱包資材ごみを約50%削減
当社として初めて、販売店舗に納品する際の梱包資材としてシュリンクフィルムとエアクッションを採用しました。多品種でサイズも形状もさまざまな当社製品に対し、これまではダンボールの緩衝材を組み合わせて対応していましたが、この取り組みを行うことでより少ない資材での梱包が可能となります。今回導入したいずれの製品も、従来の梱包方法と比べて、梱包資材の総使用量が重量比換算で約50%削減できます。
店頭販促物の「香りサンプル」にMAPKA®を採用
お客さまに芳香・消臭剤製品の香りを実際に確かめていただくことを目的に店頭に設置している「香りサンプル」は、従来包装カバーと設置用フックの素材にプラスチックを使用しておりましたが、2021年春より包装カバーを紙製の箱に置き換え、設置用フックについても「MAPKA®(マプカ)※」という紙パウダーを主原料とした素材に切り替えました。これにより、石油由来のプラスチック使用量を年間約5t削減できます。
この取り組みは、当社独自の社内制度「アイデア提案制度」がきっかけとなっています。2019年にある従業員から、「香りサンプルを年間200万個ほど生産しているのに、環境負荷低減の検討がなされていないことが良くない」と提案があったことを機に、担当部署での検討がスタートしました。
環境負荷を低減できる素材について様々な面から検証を重ねた中で、強度や実現性の観点から、今回の新しい「香りサンプル」にたどり着きました。提案から約1年3ヶ月での実現となり、新製品や業務改善について従業員一人ひとりが“あったらいいな”のアイデアを考え続ける、当社らしい取り組みとなりました。
- MAPKA®(マプカ)は株式会社環境経営総合研究所の登録商標です。
詳細はHPをご覧ください。
Reuse:再利用
「消臭元SAVON」が「消臭元」ブランドで初
つめ替えの発売でプラスチック使用量を約76%削減
2023年4月に発売した「消臭元SAVON」は、大容量リキッドタイプの「消臭元」ブランドで初めて、つめ替えを発売しました。使用後に、本体容器は毎回廃棄することになっていましたが、「消臭元SAVON」は、本体容器とつめ替えを購入・併用するだけで、プラスチック使用量を約76%※削減できます。
「消臭元」ならではの製品構造により、つめ替え対応品の開発ハードルは高かったことに加え、つめ替えがまだ浸透していない市場においてチャレンジングな取り組みとなる本製品は12年の歳月をかけて開発しました。
本体容器を買い替えて使った際のプラスチック使用量と比較

Recycle:再資源化
競合の垣根を超えた協働でつめ替えパックの水平リサイクルに挑戦
2021年より神戸市、小売・日用品メーカー・リサイクラー18社が連携し、神戸市内の小売店舗で洗剤やシャンプーなど使用済みの日用品のつめ替えパックを回収してつめ替えパックに戻す「水平リサイクル」を目指すプロジェクト「神戸プラスチックネクスト」に参画しています。
2024年6月までの総回収量約4.17tのつめ替えパックを回収できました。

段ボールクローズドリサイクルの取り組み
当社グループ・国際紙パルプ商事(株)および保有するネットワークが協業し、流通過程で発生する使用済みの段ボールの一部を古紙として回収、段ボールを循環製造に活用する取り組みを行います。
段ボールの購入から廃棄までという従来のプロセスを拡大し、使用済み段ボールの再資源化とリサイクル段ボールの購入まで含む、循環型プロセスとなり環境負荷の低減を図ります。
当社グループとサプライヤーの協業により実現された包括的なリサイクルであり、使用済み段ボールの廃棄量を削減するとともに、リサイクル包材のさらなる利用促進につながります。
Renewable:再生可能原料への転換
「アイボン」で洗眼薬市場初※バイオマス原材料配合ボトルを採用
当社の販売する医薬品の中でも、特にプラスチック使用量の多い「アイボン」の本体ボトルを、環境保護を考えたバイオマス原材料を配合したものに変更しました。これにより、従来品と同等の機能・品質を維持しながら、石油由来のプラスチック使用量を年間で19t削減することを見込んでいます。
OTC医薬品市場における洗眼薬として初(2022年12月時点、当社調べ)

廃棄物の削減
当社グループでは、生産効率の向上、資源の有効活用と廃棄物の徹底した分別による再資源化、リサイクルに取り組み、ゼロエミッションの実現に向けた廃棄物の削減に努めています。
ゼロエミッションとは
一般的には、発生した廃棄物を徹底分別しリサイクルすることで、単なる焼却や埋立てによって処分する産業廃棄物をなくすことです。当社グループでは、発生した廃棄物のうち、最終処分地で処理する廃棄物量を1%未満にすること、と定義しています。
産業廃棄物排出量とリサイクル率の推移
2023年度のリサイクル率は、99.9%となりました。
今後は、リサイクル率の向上とともに、サーマル・リサイクル(焼却の際に発生するエネルギーも回収・再利用)からマテリアルリサイクル(使用済み製品や生産工程から発生するゴミを回収し利用しやすいように処理して新しい製品の材料や原料に使用)へのシフトをさらに進めていきます。
単位 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | ||
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廃棄物排出量 | 総排出量 | t | 2,984 | 2,969 | 2,338 | 2,371 | 2,342 | 2,497 |
最終廃棄処分量 | t | 25 | 5 | 4 | 3 | 3 | 3 | |
リサイクル量 | t | 2,959 | 2,964 | 2,335 | 2,368 | 2,339 | 2,494 | |
リサイクル率 | % | 99.2 | 99.8 | 99.8 | 99.9 | 99.9 | 99.9 |